【コラム】 DAPの音の差とは何か?
オーディオにおいて、基本的な事がなんとなくでも分かっていないとただ単に騙され、業界や中華の養分となる事が多発します。
逆に「なんとなくでも理解している」と、語弊がありますが、音を聞かなくても製品の立ち位置や投資すべき物がなんなのかある程度分かりやすくなります。
【オーディオは枯れ果てた技術】
オーディオというのは実際のところは既に「枯れ果てた技術」の集合です。
新しい技術などパラダイムシフトでも起こらない限り、ほとんどありません。
メーカーも業界もそんなことは百も承知なので、常に目新しいことを前面に出してユーザーを騙そうとしてきます。
要するにもう既に進化がないと云うことになれば新しい機器が売れないので、次から次に古い技術を新しい言葉で言い換えて、さも音が良くなったように思わせますが、実際には新しい技術などほとんどありません。
SACDが廃れたので今度はハイレゾで有り、更にハイレゾでもDSDだと、次から次へと詐欺商法がまかり通ります。
また、ヘッドホンならとうの昔に淘汰された平面駆動を再度持ち出してさも「音が良い」という宣伝で売り出します。
このような感じなので、これだけは憶えておいていただきたいのですが、一度廃れた技術はそもそも音に問題があるので廃れているわけで、同じ技術でリバイバルしてきても結局は以前と同じく廃れます。
例えそれが「新しいキャッチコピー」を身にまとっていたとしてもそれ自体には意味がありません。
オーディオの歴史を知るという事は、ある意味このように何度も騙されることが少なくなるので「過去は大切」というわけです。
ところが何十年に一度、大きな転換が訪れます。
技術の転換ともいえる事が起こりますが、この時は重大です。
具体的に云えばレコードからCDに置き換わったのはパラダイムシフトでした。
この変化はとても大きく革命的ともいえることでした。
大事なことは、こういった大きな技術革新が起こると、しばらく機器の性能が安定しません。
デジタルのCDでいえば特にDAC部分の性能差は初期においては確かに大きなモノがありましたが、マルチビットDACからワンビットDACに移行して、今現在ではDACの性能差など測定機器でやっと分かる程度の差で有り、後の差は倍音の描き方などのごくわずかな差になっています。
ハッキリ言えばDACなどはもう既に技術的に本質的な差はほとんど無く、強いていえば「味付けの差」程度で、これもしっかり分かっている人でなければそもそもDACを活用できなかったりします。
オーディオの技術は実際にはほとんどこのような感じで、パラダイムシフトが起こりしばらくすると機器の性能差はほとんど無くなります。
ありていに言えば進化の余地がもうほとんど無いのだと思います。
そして、大事なことは「これが正常な姿」だということです。
これが分かっていると、熟成された機器の分野では音は聞かなくても「差は小さい」というのが理解できるようになります。
オーディオの世界で「機器の価格に比例して音の差が小さくなる」と云われているのはまさにこの為です。
この言葉はアナログ機器の時代によく云われていましたが、コストをかけて良い部品を使ってしっかり作り上げたものは一聴して感じるような差はドンドン少なくなってくると言うことを言い表しています。
こうなると残ったわずかな差ですら、音質の差と云うよりも、「味付けの差」程度の話しになるという事になります。
なので、例えばアナログのプリアンプで50万の機器と100万の機器で同じ半導体の製品同士なら「聞いた瞬間に音質が上」などという事は既に起こらなくなります。
もしこんなことが起こったとすると「中身が粗悪品かプラセボ効果」のどちらかしかないということにもなるのです。
年月をかけて熟成されたオーディオ機器というのはこういうものです。
逆に言えば「熟成された機器の分野」ではあまりにも差が小さいので、オーディオ評論家などは「ごくわずかな差」を殊更に強調し出します。
もっと云えば、語るところがそこしかないとも言えるわけです。
更に突っ込んで云えば、誰もが一聴して分かるような差がある機器というのは「中身が欠陥品に近い」ものかまたは「発展途上の技術」であるという事を意味しています。
特性的に狂った音の機器ほど差が感じられるという皮肉な状況が起こります。
イヤホン系のアンプでいえば「中華製」もしくは「格安品」には音が悪いものが多いですが、これはまさに「中身がほぼ欠陥品」か「粗悪な部品」だったりするわけで、半導体系では基本的な音質にすら達していないアンプが多いです。
ですが、ある程度の価格のする「まともな設計のDAP」なら真面目に聞けば聞くほど差は小さいというのが実際のところです。
なのでもう一度ピュアオーディオで云われている格言を繰り返しておきます。
「機器の価格に比例して音の差が小さくなる」
10万のまともに作られたDAPと30万のDAPの音の差は、良し悪しではなく「味付けの差」程度の可能性が極めて高い、と云うのを申しておきます。
そもそも30万のDAPでも、僕に云わせればあの程度の薄型デジタルアンプでは「まともな音はしない」といっておきますが・・・
【コラム】 デジタルプレイヤーの音はなぜ悪いのか?
イヤホン用のデジタルポータブルプレイヤーについて思うことを書いておきます。
まだこちらの分野はピュアとは違い、経験が足りない部分があるのですが、現時点で感じていることを記しておきます。
これまでデジタル機器はかなりコストをかけたピュア用のパワーアンプなどを使ってきたりもしましたが、どうにも音に満足がいきませんでした。
それなりの定評のある機器を購入したりもしてきたのですが、ノイズと低音の問題は僕の耳にはデジタルそのものの問題にも感じたものです。
ですがノイズについてはうまく処理をするとほぼ背景は静かにできる可能性を感じていましたが、どうにもならなかったのが低音です。これは幾つかのデジタルアンプでスピーカを鳴らしたときに共通に感じた違和感でした。
デジタルではアナログのよく出来たパワーアンプの音と比較するとどうにもタイトな低音が出てきてしまい、特に重いウーファーを積んだスピーカーほど顕著にその傾向が現れたりしました。
いまはピュア用の機器は一部を残して真空管に切り替えてしまいましたが、ここ最近中華の格安DAPを含めてポータブル機器を数台手に入れてみると、やはりそれらの問題が奥底に潜んでいたりするので、ちょっと考え込んでしまった次第です。
そこで「ノイズと低音の出方」というのは少し横に置いておくとして、それ以外のデジタルプレイヤーの持つ問題を書いておきます。
まず一般的に音を出すためのアンプについて考えると幾つかの部分から構成されています。
- トランスポート/プレイヤー部分
- DAC
- プリアンプ部分
- パワーアンプ部分
これが普通のアナログ系オーディオでの最も一般的な構成となります。
音への支配力という事で云えば、影響が大きいのはプリアンプとパワーアンプで、DACやプレイヤー部分は相対的に音質の支配力はそんなに高くはありません。
スピーカーであればDACは倍音コントロールに欠かせないものなので、剛性の高いスピーカーであれば響きの多いものを使ったり、木製のスピーカーなら響きの少ないDACを使用して倍音を調整したりしますが、現在のDACであれば可聴帯域上の微少音が消えるなどと云う事は耳に聞こえる範囲ではほぼ起こらないので倍音以外での性能差は限りなく少なくなっています。
しかもイヤホンはあまりシビアな音の描き分けができないのでDACの違いをイヤホンで判定するのはほぼ不可能とは云いませんが、かなり面倒事になります。
DACでは、上記に示したようにイヤホンでの倍音コントロールなど「音場がそもそも表現できない」のでコントロールする意味がありません。
イヤホンではスピーカーのようにコンサートホールのどの位置に座っているのか「見える」という事にはならないからです。
にもかかわらずイヤホンの表現において「音場」等という言葉を使われる方が多いのには愕然としますが、人によってはイヤホンで「音像」などという言葉を平気で使われる方もいるのでちょっと考えられません。
あえて使うのなら「音場感」という言葉がいくらか正しいかもと思ったりします。
少し話しが脱線しましたが、要するにイヤホンではプレイヤーの送り出し部分いわゆるトランスポートとDACは少なくともイヤホンでの音質に対して決定的に重要ではないと云いたいわけです。
なので昨今の訳も分からずにDACに投資してイヤホンの音が良くなったと喜んでいる人たちは本当に何を聞いているのかと疑問が沸いてきますが・・・
さて、先ほど述べた4つの構成要素に対して、1つは抜いても音が出てしまう部分がありますが、それが「プリアンプ」となります。
古くからのピュアオーディオを嗜んでいる方は試した方も多いと思われますが、プリアンプ無しでもDACからの音を直接ボリューム付きのパワーアンプに送り込んでしまえば特に問題なく音は鳴ります。
しかもプリアンプを通さない方が解像度はかなり高くなります。
ではなぜ、わざわざ解像度の下がる余計なプリアンプを通すのかというと、全ては美しい音のためです。
プリアンプは音色に対する支配力が弱いのですが、音を滑らかに美しくする、という点では絶対に取り外すことのできない機器です。
市販のプリメインアンプのプリ部はかなり音が悪いのですが、キチンと作られたセパレートのプリアンプはもう一聴して実力が違い、これを通しただけで一気に音が変わります。
滑らかで立体感のある音を出そうと思えばプリアンプ無しでは不可能です。
美しく音を立体的に整えるのがプリアンプの仕事となります。
そしてその音をパワーアンプに引き渡すことで、初めて音が鳴ります。
パワーアンプは音色と駆動力が大事な部分となり、イヤホンの特に低音を制動すると云う大きな役目があります。
なぜなら低音が駆動できていないとそもそも中高音域はキチンと駆動できていないと云うことになるからです。
なぜ、わざわざこんな話をしているのかというと、鋭い方ならもうおわかりだと思います。
デジタルプレイヤーの音が悪い大きな原因のひとつが「プリアンプ」が省かれている、と云う理由によるからです。
ピュアの方はよく知っている話しだと思いますが、プリアンプを通さないと「鮮烈で解像度が高いがとても荒れた音」が出てきます。
そう、いまデジタルのポータブルアンプから出てきているのが正にこの音になります。
最初にX1を聞いたときにどうにもならない違和感のある音を感じましたが、それはどこか昔に聞いたことのある懐かしい音でもありました。
数ヶ月、音を聞きながら不思議なデジャヴのように「荒んだ違和感のある音」を聞いていましたが、ある日、「ああそうだ、このどうにもならない音は昔よく聞いたCDとパワーアンプを直結したときの音だ」と気がついたのでした。
僕は断言しておきますが、この音はどこにもたどり着かない音です。
この部分をしっかりと考えておかないとポータブルプレイヤーで「良い音」など永久に出て来ないので、少しでも良い音で鳴らしたいと願うのなら避けて通ることのできない問題となることを憶えておくと良いでしょう。
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【コラム】 一部の音が消える? イヤホンの音が消える解像度の問題について
イヤホンに限らずスピーカーでも「一部の音が消える」という事が起こります。
有名なところではスピーカーは「定在波」によって一部の低域が大きく落ち込んだりします。
今回書いておくのは、定在波ではなく、おそらくドライバーかハウジングに由来する問題だと感じている部分の話しとなります。
意外に数が多いので、この問題は注意深く聞き込まなければなりません。
特にここ最近、イヤホンの音を集中的に聞き込んでいるのですが、やはりどうも一部のイヤホンで音が消えてしまっていたり、出にくい音が出てきていますので、この問題について少し書いておくことにしました。
どのイヤホンなどもそうなのですが、スイープで音を流して確認する限りはすべてのイヤホンがキチンと音は出ているのです。
ところが複雑なソースを流し込むと途端に音が消えたり、出にくい帯域が出てくるものがあります。
具体例で上げるとDZAT DF10やtenmarkのダルシマー、JOYROOMのE100など、僕のレビューでは一部帯域が出にくいと書かれていたり、低音が出ないと書いてあるイヤホンはたいていこの問題を抱えています。
この問題を顕著に抱えているイヤホンの音を聞くと中高音域がスッキリと整理した印象がでてきます。
人によってはこういった見通しの良い音が好きな方もいらっしゃるかも知れませんが、こういうバランスの音は狙って作ったと云うよりも単なる設計ミスの可能性がとても高いと考えています。
僕も専門家ではないのであくまで音を聞いて判断しているのですが、この原因は主に2つではないかと考えています。
- 分割振動
- ハウジングの共振
この問題は特に音量を大きくしてチェックすると分かりやすくなるようです。
特に気がつきやすいのが「低域」だと感じています。
おそらく中高音域の帯域も一部消えてしまったりしてもおかしくはないのですが、どうも見通しが良くなる傾向があってもどの音が弱くなったり消えてしまったりするのかが確認できません。
ところが低域はかなり顕著にバランスが悪くなるのでどの部分がというのが比較すると分かりやすいのです。
この問題を抱えたイヤホンは先ほども述べたとおりで、「一部の帯域が弱くなったり、消えてしまったりする」ので、特に低域で発生すると中高音域は明瞭さが増したりします。
ですが、正しいか正しくないかと云われれば「おそらく正しくない」というのが本当のところだと思います。
なぜなら本来なら聞こえなければならないはずの音が聞こえないわけですから、せっかく解像度にこだわっても意味がないことになります。
そもそもドライバーは振動して音を出すわけですが、低域は低い周波数から振動し始め、高域は高い周波数で振動を始めます。
マルチウェイの複数ドライバをスピーカーが使うのはこの問題を解決する1つの手段な訳ですが、1ドライバーのイヤホンでは低域から高域までフルレンジで満遍なく同時に鳴らすので振動板は複雑に振動して各帯域に干渉を始めます。
この過程での振幅・振動が微妙なピークやディップを生み出し、結果的に聞こえなかったり出にくい音が出る原因になります。
また、おそらくドライバー側だけではなくハウジングの強度不足・設計ミスによる共振などでも音が打ち消し合って同じような現象が出ているのではないかと云う事もあると推察しています。
ただし、原因についてはおそらくという事で書いているものであって、これが確実に原因だとはエンジニアではないので言い切れません。
ですが、音を聞いている限りは間違いなくそのような現象が起きているので、特に1DDのイヤホンに関しては注意して音を聞く必要があると感じています。
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【レビュー】 JOYROOM JR-E100
総合評価×
前回、どちらかというと海外で好評を博しているとしてE107を紹介しましたが、今回は更にマイナーなE100を紹介しておきます。
E107とは違いドライバーの振動板直径はおそらく普通のサイズだと思われますので、E107よりも普通のDDに近い音ではないかと予想していました。
【JOYROOM e100 スペック】
【JOYROOM e100 音質】
帯域バランスは中高音寄りとなっています。再生の難しい曲でもボーカルが埋もれずに鳴らすことができます。
ところがやはり重低音の再生に難があり、ソースの中で鳴らすと重低音が出てきません。また低音がかなり不明瞭なところがあるので、低音重視で音を聞き込みたい方向けのイヤホンではありません。
この再生バランスはDZAT-DF10やダルシマーに近いバランスだと思います。
その分、中高音域はスッキリとした見通しが有るのですが、全体にわずかな雑味がのりますので、その見通し分を差し引いてしまい、全体的には興味のある音質だとは言いがたいと感じています。
ボーカル域もまたわずかに明るいのですが、やはりハウジングからくる雑味なのかが声に載ってくるのでイマイチと云う感想です。
【JOYROOM e100 まとめ】
低域側のエッジが緩く、量も少なく、また一部の音が積極的に出てこないところがあるのでこのあたりは問題が大きいと感じています。
また全体にうっすらと載る雑味は音質を汚しているので、こちらもまた看過できない問題であると思います。
一聴すると決定的にダメイヤホンであると言い切れるほどではありませんが、細部まで聞き込んでいくと細かな問題が多く、音質は全体的に汚れ気味です。
これはエッジの緩さからくると言うよりもハウジング側で音をボケさせてしまっている可能性が高い音です。
ドライバーも一部低域を出にくくさせてしまうようで、判定は×とさせて頂きます。バランスが似ているとはいえ、ボーカルの明瞭性という点で云えばDF10やダルシマーの方が明らかに上だと思います。
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【レビュー】 KZ ED8
総合評価△
こちらもマイナーなKZのED8となります。
ED1と同じくディスコン気味で手に入れづらくなっているようなので、コレクター傾向の方は早めに手に入れておくと良いかも知れません。
ED8mとED8sがあるようですが、スペックは結構違います。
購入時には間違えないようにした方が良いでしょう。今回レビューするのはmの方となります。
【KZ ED8スペック】
■モデルナンバー KZ ED8
【KZ ED8音質】
基本的な音質はニュートラル気味です。
ED8の特徴は、かなり強めの低音域それも重低音とその少し上の帯域のみがブーストされているという事に尽きます。
この為、ソースによっては普通に聞けてしまうのですが、重低音や低音が多めのソースを流し込むとわずかに混濁を始め、中域が少し埋もれます。また帯域バランスは崩れ気味になります。
音の分離や明瞭感はそこそこと云ったところでED3やED9あたりと比較すると分離よりも一体感と少し厚みのあるボーカルの質感で押し切っていくタイプです。
ただし、ED9のような中域の攻撃性が少ないので聞きやすさという点ではなかなか良いレベルを持っているといえると思います。
ボーカルのサ行は少し強めに出てきます。ボーカルの明瞭感はED9の方が上ですが、ED8のボーカルはKZ比較ではわずかに前に出るエネルギーが有り、質感は悪くありません。
【KZ ED8まとめ】
KZイヤホンの製品ピラミッドの序列で云えばED4やED7といったどうにもならない駄作からすると、それよりは上の位置にある事は確かです。
低音域の下の方の領域ののブーストがKZの中でもかなり強めなので、その点だけがかなり惜しいところとなります。
低音域はブーストされているとはいえ、階調表現などは意外にしっかりとしています。ただし、このバランスで低音もしっかりと聞きたいというのならDZAT DR20の方が上でしょう。しかもやはり低音が入り込むとソースだと少し混濁するのでこのドライバーの実力はこの程度だとはいえます。
こちらのED8は、低音があまり入らないソースでなら意外に力を発揮します。
KZシリーズの中では平均よりも上の実力があり、持っておいて損はありません。
聞き所はやはりボーカルの柔らかさと質感の良さによる聞きやすさという事になると思います。
低音域のブースト感がかなりあるので、その点では全体的に解像感は低くならざるを得ませんが、KZの中でもかなり質感の良い聞きやすいボーカルのひとつではあるので、ATRやATEあたりよりももう少しエッジを立てたボーカルの質感という事でコレクターアイテムとして勧めておきます。
ただし音全体の実力という事なら取り立てて購入する理由はなく、この帯域バランスで低音のブースト感なら階調表現力がかなり上であるDZAT DR20があれば必要ないとはいえます。
ちなみにこちらのED8はDR20よりもかなり低域を強めるので、相当に低域が盛り上がっているとみて間違いありません。
こちらはED8sです。
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【レビュー】 senfer PT15 グラフェン・イヤホン [インナーイヤー]
総合評価✖
senferのPT15となります。
今話題の新素材グラフェンを使用したインイヤータイプで格安という衝撃的なイヤホンです。
グラフェンとは、「炭素原子がハニカム状に互いに強固に共有結合した単原子シート」と云うことになり、原子一個分の厚さしかないにもかかわらず、非常に強靱でしなやかな特性を持っていて、引っ張り強度ならダイヤモンドよりも強靱だという素材です。
こういう素材は次から次に出てきますが、たいていの場合は「宣伝文句」に終わるという宿命を持っています。
こちらのグラフェンはかなり高価な素材のようで、こちらを使用したスピーカもマジコ社からM3として発売されていますが、M3はグラフェンをスコーカーとウーファーに使用しています。
ちなみのM3の価格は税別で950万なので、ピュアのハイエンドスピーカーの中でも更に上の領域に存在しているスピーカーです。
もうひとついっておけばこちらのM3はトゥイーターにベリリウムドライバーを使用しています。グラフェンという素材からいって「高域及び超高域向け」の素材だという認識があったのですがこちらのM3では中低域用にグラフェンを使用しているのが興味深いところです。
音の傾向というのは現時点ではまったく分かりませんが、PT15に限れば感度及びシート状の素材という事から類推すると「繊細な音だが低域が出ない」と予想していました。
イヤホン用としては最近発売されたMaGaosi K3がグラフェン仕様となっています。
発売時価格が確か19800円だったのですがセールで安くなっているところを見るとさすがに発売時の2万近い価格では価格が高いと云う事で売れ行きに問題があった可能性が想定されます。
ちなみにPT15の方はAliexpressではほぼ絶賛に近い評価でかなり売れているようです。
こちらはMaGaosi K3 グラフェン仕様の3WAYイヤホンです。
【senfer PT15スペック】
■モデルナンバー senfer PT15
【senfer PT15音質】
非常に明るく明晰だが雑味のある音がします。
最大の欠点は、高域に感じるエッジの鋭さと重低音がほとんど出てこないと云うことになります。
低音も少なめで、かなり出にくいイメージとなり、帯域バランスは全体的に腰高な中高音寄りの音となるのが特徴です。
中域はかなり特殊で雑味のある独特な音質となっていますが、サ行の引きずりはなく柔らかで明瞭感は高くなっています。
強いていえば、評価できるのはそこだけです。
高域側はBA単体よりも上に広がっていますが、よく出来たDDドライバよりも早く高域側が詰まります。
この音から判断するとおそらくこのPT15は高域側の音がかなりエッジ立ち気味の独特な音質ではないかと思われるところがあり、この高域のきつさは一種独特なものがあります。
なお、リバーブはかなり付け足してくるようです。
このPT15は、全体的に音にパワーがなく、音楽が鳴っているとはいいがたいと思います。
装着に音がかなり左右されますが、どう装着しても高域側のエッジの問題と重低音は出てこないので、これはこういう音だと判断せざるを得ません。
全体を覆う妙な雑味は普通に考えるとドライバ側の問題ではなく、ハウジングの設計ミスの可能性が高いのですが、KC06Aと同じく新素材ドライバーを使ってしまうとどちらの問題なのかが判別しにくくなると言うことでこの点は不明とさせて頂きます。
【senfer PT15まとめ】
ハッキリ申し上げてこの価格で本当にグラフェンを使用しているのかどうか?という疑いの目は当然向けておかなければならないわけですが、それは事実が分からないのでおいておくとして、音の評価はとても低いです。
新素材というのはかなり真面目にコストをかけないとたいてい碌でもない音がするものですが、こちらのPT15にもその傾向があります。
かなり明瞭感のある特殊な音で、強いていうのなら独特だが明るく前に出るボーカル専用という事になるでしょうが、エッジが立ち気味なので長時間の試聴は辛いものがあります。
帯域バランスもかなり中高音寄りとなっていますので、その点でも注意が必要です。
重低音が出なくても良い、低音にパワーがなくても良いが、明瞭感重視でユニークなボーカルが聞きたい方向けだと思います。
こちらのPT15は乱暴な言い方をするとKC06Aの劣化版のような帯域バランスと音の明晰感だと感じています。
要するにKC06Aの音のエッジを少し鈍らせて雑味を加えた感じとなっています。
もしかすると「膜系」の音はこういう方向性を持っているのかも知れませんが、全体の特性的に感心するような音ではないことだけは確かです。
以上のことは「音から判断」している事なのでこの価格で本当にグラフェン?というのは未だによく分かりませんが、ちょっとDDやBAとは傾向の違う音が出てきていることだけは間違いありません。
ヘッドホンで云うと平面駆動タイプの音の感覚に近いかも知れませんが、それを高いレベルでイヤホンを使って実現するのはちょっと難しいのかも知れません。
同じくsenferのイヤホン各種となります。
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【コラム】 中華イヤホン評価とテスト方法、リファレンスについて。
サイトを立ち上げてからほぼ1ヶ月が経過したわけですが、紹介する中華イヤホンのほとんどが「激安」価格でもあり、結構お手軽お気軽に変える価格帯のものを中心に据えてきましたが、これはひとえに僕のポリシーによるものです。
中華で高額なイヤホンを購入するのなら、何も中華である必要はほとんど無いような気がするわけで、単なる中華メーカーの「養分」と化してしまう傾向が出てくると僕は考えています。
イヤホン如きに数万円投資してもそれに見合うリターンというのがどうしても想像できず、特に格安品に限って紹介してきたわけです。
このあたりで一度振り返って「評価のあり方」をまとめておこうと考えましたので、何かの参考にしてください。
【テスト方法について】
途中から「ボーカルテスト」をより厳密に行うためのテスト曲を増やしたので、今のところ「合計2曲」がテストソースとなっています。
これは厳密に選定したので、基本的にはこの2曲だけで音質や帯域バランスを判定しています。
主にチェックしているのは以下の項目となります。
- ボーカルの質
- 各帯域のエッジ
- サ行の引きずり
- 低音の出方
- 全体の音質
- 帯域バランス
今後のテストですが、暫定的に一部のイヤホンの高域の周波数特性が実質的にどこまで出ているのか?という点をチェックするかどうか迷っています。
というのもダイナミックドライバ1発の方が高域が詰まらないのですが、1BAドライバはその性質上、どうしても ダイナミックドライバと比較すると上が頭打ちになるのが早いからです。これは聴覚上のテストでも確認しています。
音楽を聴くと言うことにおいて、高域が詰まっても特に問題なく聞けてしまうので、ハッキリ申し上げて本質的に重要なことでは無いと感じています。
元々高域はダラダラと下がっていくものなので、この頭打ちが少しくらい早くても耳で聞いて判別できるかはまた別なことだとも思います。
スピーカーなどでは「高域」はほぼ全部素材と駆動方式で音色は決まってしまいますが、イヤホンはどれを聞いてもそこまでシビアに音色の違いは描き分けないので、高域側はもう少しテストしてからチェックソースを導入するかどうか考えてみます。
【評価について】
基本的に✖評価は「ゴミに近い」と思っていただいて構いません。
△評価は「普通」です。これはいろいろな意味で一芸に秀でているイヤホンが多いと考えてください。ですので、購入するのなら△以上を目安にしてください。
〇評価のイヤホンに関しては特に一芸に秀でていたり、全体的に優れていたりと、買う価値を感じたものに付けています。
残念ながら、評価は随時変更しています。
といっても大幅に変更することはありませんが、いろいろなイヤホンをテストしているうちにバランスや音質などを再評価することはよくあります。
これはその日のコンディションで音が変わって聞こえたり、更に聞き込みを続けて居るうちに判断を変える場合があるからです。
音響機器の場合はこういったことがよくあるのは避けることが出来ません。
【リファレンス機器について】
いまのところHLSX808をリファレンスとして使用しています。
代用品としてKZ ATRもリファレンスとして使用することができます。
今のところ、この2つのうちのどちらかを持っていればモニター的な音の判定基準に使っても問題はありません。
DAPはDP-X1を使用していますが、デジタルなので音はあまり良いものではないです。
特に音の荒れ方が酷いのですが、昨今のデジタルDAPの音を代表するものとしてリファレンスとしています。
これはX1の問題と云うよりも他のデジタルDAPでも同じように音はダメ、なのですが今多くの方がプレイヤーとして使っているのはデジタルでしょうから、致し方なく推奨しているものです。
少なくともデジタルにありがちなノイズと低音の問題は見かけ上一応クリアしているので、今のところの判定機器としてX1を導入していると考えてください。
少なくともこれはイヤホン専用です。それでも少し厳しいくらいですが、それ以上の判定には音が悪すぎて使えません。
ちなみに良い音を追求するつもりならX1を含めたデジタルDAPではどうしてもエッジがキツくなるので高いレベルの音には「絶対に」たどり着きません。
もっとハッキリ言えばエッジどころか音自体が荒れるので・・・
なので例えば10万のイヤホンを購入しても送り出しがデジタルDAPではその音の限界はどうしても低くならざるを得ません。
良い音を目指すというのなら、DAC以降にアナログ系の機器を間に噛ませてそれで何とかいけるかどうかと云うのが本当のところです。
別にデジタルを全面的に否定しているわけではありませんが、デジタルの場合、そうとうに設計をうまくやらないと「デジタルの問題」を解決するのは難しいと感じています。ノイズとD級スイッチング電源による低音の問題、また音の荒れ、このあたりを解決するにはメーカー側の見識とコストのかけ方が問われていると思います。
もうひとつ言っておきますが、いまのDACはもうどれを選んでもほとんど音は変わりません。少なくともイヤホンやヘッドホン程度では判定はかなり難しいです。
なので、DACに投資してもそれに見合うリターンはありません。いまどきのDACで基音が変わるなどと思っているのならもう一度よく音を聞いた方が良いです。
DACでは倍音のコントロールと微妙なサウンドキャラクターのコントロールを行いますが、最もわかりやすくいうとこれはライブ盤などでコンサートホールでの座席位置の微調整などを主にスピーカーで行うものです。
最後に行っておきますが基音が変化してしまうようなDACは欠陥品です。
安物にはたまにあるようなのでその点だけは要注意です。
要するに低音が増えたり減ったりするようなものがあればそれはもうDACではなく、単なるイコライザです。DACの仕事はそんなことではありません。
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【レビュー】 Inateck BH1105M 木製イヤホン
総合評価✖
inateckの木製ハウジング・イヤホンBH1105Mです。
外観を見る限りは木のテクスチャーなどを貼り付けたものではなく、キチンと木製のハウジングのようです。
ほとんど無名のイヤホンにもかかわらずAmazonでは意外な高評価を勝ち得ています。
価格はわずか1000円ほどで木製ハウジング搭載の実力がどの程度なのか聞いてみました。
このイヤホンの出自はおそらくどこかのOEMだと思うのですが、元のイヤホンにたどり着かずスペック共々不明となります。
1000円でダブルドライバー搭載品で木製ハウジングというのが大きな特徴でしょう。ポートは背面に1つ設置されています。
【BH1105Mスペック】
【BH1105M音質】
木製イヤホンの「ぬくもり」などと云うつもりはありませんが、基本的に音質はスーパーウォームとなっています。
しかも帯域バランスは低域がかなり強めですが、問題なのは籠もったような音なので音自体にヴェールが2枚くらいかかったような雑味のある酷い音がします。
エッジはかなり丸まってしまい、なおかつ解像感が驚くほど低く、評価に値する以前の音だと思います。
特にこのイヤホンは音量を下げるとその傾向が強まるので、音量は上げ気味で使用するのが基本となりますが、間違って買ってしまったというのでもなければわざわざこちらを使用する意味がありません。
HI-FIとかウォームな音などという以前の問題で、こちらのイヤホンは欠陥品レベルの音だと思います。
真剣に聞きこむような音ではない事は確かだと思います。
【BH1105Mまとめ】
音はほとんど「籠もり」に近く、とてもではないですが「評価する以前の音」と云わざるを得ません。ギリギリ籠もってないといえるレベルですが、ソースによっては「籠もる」という事になるでしょう。
そもそもがかなり酷い音質でレベルはかなり低くく、唯一なんとか聞けるのはアコースティック系のボーカルのみだと思われます。
初期の頃の中華格安イヤホンを彷彿とさせる音質で、当時ほどの酷さはありませんが、もはや聞けたものではないというのが本音です。
「返品」レベルの音、それがこのイヤホンの特徴となります。
一応ダブルドライバー実装と言う事ですが、おそらくこの辺りのクロスオーバーなどに問題を抱えている可能性の高い音ではないかと感じています。
【レビュー】 KZ ED3
総合評価〇
KZ ED3となります。別バージョンでyouthバージョンという青少年バージョンが売られていますが、そちらとはまったく音が違います。
youthバージョンを購入するくらいならED3のノーマルバージョンであるこちらの方が音は格段に良いと思います。
【KZ ED3スペック】
【KZ ED3音質】
KZのED3 YOUTHバージョンとの比較ではちょっと落ち着いた音質となりますが、YOUTHバージョンの音が中高音寄りであえて言えば酷すぎる音なので、それと比較するのならば落ち着いたと云うことになりますが、一般的な基準で云えば「明るめ」でニュートラルよりな音質となります。
ボーカルは一般的には前に出るタイプとなります。
ボーカルの質感が正直イマイチなのですが、KZとしては明晰感があるボーカル域を持っていますので、好ましいところだと感じます。ただしボーカル域のエッジが立ち気味なのが気になるところです。
中域のエッジの攻撃性が多少強い分、比較的に音の分離感という意味ではKZの中では優秀な方です。
低音のバランスはいつものKZで多少強めとなっています。
低音域のエッジは比較的しっかりとしているのでそれほど悪い物ではなく、ドライバーの混濁もあまり感じられません。
このあたりはKZはもちろんのこと他のイヤホンと比較的しても優秀だといえると思います。
【KZ ED3まとめ】
一言で言うのならED9とバランスや音質が近似しています。
KZの中では音が比較的に立ち気味で派手目となりますが、基本的な音質は一般的には明るめの方向性と云う事になると思います。
ボーカル域のエッジの立ち方も他のKZと比較した場合はちょっと攻撃性が有り、明瞭なので短時間の試聴向きな音質です。
KZの中では1本持っておいても損するようなことはありません。YOUTHバージョンはどうにもならない音がしていましたが、こちらはKZの中でも比較的レベルの高い音を出します。
ボーカル域の明晰さはkZの中では上位に入りますが、質感が一段落ちることが残念なところとなります。
ちなみにボーカル域だけとればED9の方が上になりますが、全体的にはED3の方が明瞭でレベルは高いと感じています。バランス的にはED9と同程度だと思います。
総じてED3はなかなか分離の良い意外に良いポジションにあるイヤホンだと判定します。
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