【コラム】 イヤホンチェックの基本的な考え方について
バイオリンを想像してください。
へたな人がひくとキーキーと耳障りな音を立てますが、プロがひけば甘い真綿で撫でるような音色を出します。
本来はこの音が正しいのです。
ピアノもそうですが「本来はエッジが尖ったキツイ音」などしていないのです。
もちろん弾き方で柔らかい音や硬い音などの個性はありますが、けっして耳障りな音はしていません。
ところがへたなイヤホンやヘッドホンだと耳障りなあり得ない音がします。
もちろんスピーカーもそうです。
ですが、これは「正しくない」のです。
僕はエッジがマイルドな音を好みますが、これは本来の楽器の音がそういう物だからです。
この事を理解していないとバイオリンの音色がシンセサイザーのような音色の物を聴いて大喜びしたりすることになります。
本来はフェルトで弦を叩いた優しいピアノの音色が似ても似つかぬキツイ音に聞こえてきます。
いろいろなイヤホンを聴いてもむしろこう言ったデタラメな音がするイヤホンは数が多いのです。
こういったレベルの低いあり得ない音がする機器を聴いて評価することがちょっと理解が難しいのです。
原音再生はそもそも不可能ですが、原音どころか「全く違う音になってしまっている」イヤホンは評価することができません。
本来は優しく甘い音色の楽器が、キツイ電子音のような音を出していたら、それは間違っていると僕は思います。
低音もそうです。
本来低音をスピーカーでキチンと再現することは至難の業なのですが、イヤホンの低音もアンプの電源部の作りに大きく依存します。
なるべく駆動力のあるアンプを使う必要が出てきますが、それでもイヤホン側のドライバーの能力によって低音の再現性というか階調表現は格段に違います。
ハッキリ申し上げると、重低音も低音もガンガン入っていて、更にそこからボーカルや他の楽器が重なり合うような複雑な音源でないとそのイヤホンの持っている底力は評価できません。
よくあるそこらの音源では普通に鳴ってしまうイヤホンも、厳しい音源を入れた途端に音を上げ出します。
そういう厳しい音源でないと帯域バランスや音の乱れのチェックがキチンとできないと云うのが僕の考えです。
僕は、つたないながらもそういった事に特に気をつけながらレビューをしていきたいと考えています。