【コラム】BAドライバについて 神経質な音と使いこなし
別な記事で少しだけ触れましたが、検索で来てくれる人のことを考えるとキチンと1記事として独立させておかないとマズいな思ったので、まだ幾つか検証項目が残っているのですがBAドライバについていま感じていることを少しだけまとめておきます。
そもそもイヤホンのBAドライバについては端から疑問がありました。
特にこのドライバを使いこなす上でいわゆる多ドラ・複数のBAを実装する事に関してはかなり初期の段階で僕は疑問を呈してきています。
これはスピーカーの時の経験で6個や8個などのドライバーを多数実装したスピーカーでまともな音のするモノが無いこともあり、いまのスピーカーを見ても大型でも3WAYを基本としてせいぜいが4WAYです。
つまり基本は高域と中域それに低域の3つのドライバーで低音は更にバスレフ等で補完するのが基本となっています。
逆に言えば長い年月で洗練され続けたスピーカーという分野ではこれで十分と云う結論が出ているとも言えます。
この事から考えるとイヤホンという分野で多数のBAドライバーを実装する状況は正に異常で、他の何らかの理由、たとえば「価格を釣り上げて売りつける」などの事が考えられたりするわけです。
そもそもクロスオーバーで被る領域が必ず発生する事などを考えるとドライバー数には必ず「適正数」があるはずで、いまの多ドラはとても「音で決めた」とは云いがたいのではないかと感じています。
ちなみに幾つなら適正かはまだ分かりませんが、おそらく低域のDDを入れたとしても合計で3-4つくらいでたぶん限界なのではないかと推察しています。
それでもたぶん多すぎるのではないかと・・
ですが、ここ最近音を聞く限りでは本当にBAドライバーは必要か?
と云う疑問を感じていることも本当です。
僕の耳ではBAを使って多ドラにする最大の理由は「音の分離」だけであり、音そのものはBAがDDを上回っているようにはとても聞こえないのです。
ただしやはりBAをうまく使ったときの音の分離は明確に違いますが、それでも音のハーモニーをDD並に出すのは結構難しいのではないかと思ったりもします。
それに加えてBAドライバの本質的に持つピーキーな特性と相性が悪い機器との間に発生する「神経質な音」はちょっと目に余るものがあると思うのです。
ちなみにBAドライバはアンプとケーブルとの間に相性問題があり、これがある範囲を超えると明確に音に現れてしまうようで、これでは「音の基準」がどこにあるのかまったく分からなくなります。
こんな不安定なドライバーを使った上で音質も「たいした音は出ない」という事になればBAドライバーの存在意義は何か?と云うことを本質的に各自が自問自答しなければならないのではないかと最近は思うのです。
いまや自分の耳を信じて音が聞ける方は多ドラのマジックに騙されず、プラセボを廃して謙虚に音を聞かなければならないと僕は思うのです。
そういう意味ではBAドライバーの音に関しては少し疑問を持って聞き込んでみてもらいたい、のです。
今の僕ではまだ検証が足りずそれ以上の多くを語れませんが、使いこなしの難易度が高く音が劣化する要素は多い割に良くなる事はほとんどなく、どうにもこうにも最近のBAドライバーの音には疑問が有り、分離に関しては確かに効果的だがそれ以上の「何か」を感じさせてくれないのです。
分離だけが優秀で、音そのものは「この程度」のドライバーのためにより多くの得られるであろう収穫を失っている可能性があると僕は言っておきます。
と云うわけでまずダイナミックドライバー(DD)に対してBAドライバの音は本当に優れている、のかどうかをまず各自で見定めて欲しいと思うのです。
少なくとも僕にとっては優れたチューニングのDDと差異のない音を出しているときのBAは良いのですが、そこからズレて歪みの発生したBAの音はどうにも我慢のできない時があるのです。
これではDDよりも上だとはとてもいい難いのではないでしょうか?
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