イヤホンと音量調整について【コラム】
たぶんキチンとイヤホンを聞き込んでいる方なら特に詳しくお話ししなくても良いかなと思っていたこともあり、いままで「ボリューム」つまり音量調整について詳細に話してきませんでした。
イヤホンにはそれぞれの機種で「適正音量」が存在します。
これはスピーカーやヘッドホンでも同じ事で、「設計時想定音量」というものがあり、その音量で適正な音を出すという設計したときの基準となる音量のことです。
この音量はざっくりいうと「高め」なのが普通です。
つまり、あなたがイヤホンを聴くときに耳を大事にするあまり「小さな音量」で聞き込む、と云う場合、そのイヤホンは往々にして持っている本来のポテンシャルを発揮しません。
お気に入りのイヤホンを聴くときにそのイヤホンが最善の結果を出す適正な想定音量があり、その音量で聞くことによりイヤホンは潜在的なポテンシャルを開放します。
僕のブログで紹介したイヤホン評価をよく読んでいただけると分かりますが、イヤホンによっては「音量を高めに取るとドライバーが破綻する」と書かれていたり「小音量時に音痩せする」などと書かれているものはこの音量時に極端に音が変わってしまうと云うことを示しています。
特にこう言ったことが書かれていない場合、あまりに小さな音量や大きな音量でなければその変化は想定範囲内で極端な音の劣化現象を示さない、ということでもありますが、基本的には何らかの変化を絶えず起こすのは事実なので、強弱はあるがボリューム調整で音は変化してしまうということは頭の片隅に入れておくべきです。
【適正ボリュームを外れた場合の音の変化】
たいていの場合、小音量時には音が痩せます。
大音量時には、ひとつひとつの音が聞きづらくなり、音が団子になります。
この原因ですが、ハッキリとしたことは分かりません。ただ小音量時の音痩せというのは極一部の製品を除いて防ぐ方法がなく、スピーカーやヘッドホンを含めてそういった現象が起こりやすくなります。
しかもデジタルアンプではビット落ちによる問題となる変化を聴感上は引き起こしませんが、アナログアンプを導入している場合、ボリュームに使われる部品の品質で更に加えて音が劣化するので注意が必要です。
音痩せとは簡単に言うと帯域バランスが大きく変化してしまう場合を指します。
また大きな音量に比べて酷く音が劣化したりします。
特にヒドイものになると音色そのものが変わってしまう、と云うケースも多く、基本的に小音量でキチンと音が出せるイヤホンは非常に少ないのが現状です。
ですが特に症状が顕著に表れるものでなければ、イヤホンの場合、スピーカなどと比較すると変化が幾らか小さいのは確かなのですが、それでもなるべく小さな音で聴かないということで回避できます。
ちなみにスピーカーでは小音量で実力を発揮するものなどほとんど存在しません。
では大音量時はどうかというと、イヤホンによってはとにかく音が破綻して歪み出したり、音が団子になったりと云うケースがあり、これはドライバーもしくはハウジングなどに起因する根本的な問題です。
こういったイヤホンの場合、その音量を避ける、というのが解決策となります。
ですのでそのイヤホンの実力にあった「適正音量」を見極める、と云うことはとても重要なことで、ボリューム位置をキチンと探り、キチンとイヤホンの性能を引き出してやる、と云うことはおろそかにはできません。
と云う訳ですのでイヤホンの実力を十全に引き出すために、なるべく大きな音量を使い、音色と解像度、適正帯域バランスをそれぞれ見極めた上で最終的なイヤホンの実力を評価する必要があります。
あなたが聴いている音量が適正かどうかは実際の場面ではかなり大問題となり、そのイヤホンが実力を発揮する音量の範囲を見極める事は避けて通ることができないので、各自それぞれがそのイヤホンにあったそれぞれの適正音量でイヤホンの評価を行っていただきたいと切に願います。
つまり、イヤホンというのは音量ひとつで音がまったく変わってしまうモノだという事を決して忘れてはいけません。
そして、それは僕らピュアの人間の中ではごく当たり前のことなのですが・・・。
もし今ボリュームひとつでずいぶんと音が変わってしまうなと思って違和感を感じている方がいれば、その耳は極めて正しい。
ケーブルで音が変わるなどと言っている人の大半も実際は「音量が変化していることによる音の変化」であることも多いので、今後は注意深く適正ボリュームという問題に取り組んでいってもらいたいと思います。
追記
ゴチャゴチャ書いてしまったのでまとめておきます。
- ■小さな音量でイヤホンを聞かない
- ■小音量から大音量まで満遍なくテストソースを聞き込んでイヤホンの実力を引き出せる適正な音のする範囲を見極めてその範囲の中で音楽を楽しむ
- ■面倒な人はとにかく聞ける範囲で高めの音量でイヤホンをテストすれば良い。その場合で音が破綻するケースではそこから音量を下げて聞き込んでいく
ということになります。