【レビュー】JVC CLASS-S WOOD HA-SW02 ウッドヘッドホンは美音系なのか
つい先日、ウッドドライバを使ったイヤホンを聴いたのである。
JVCは随分長い間ウッドドライバを追求し続けているが、非常に特徴的な音色を持つので一芸に秀でているタイプド云える。
だがそれはイヤホンでの話しだ。
スピーカの音も聞いたことがあるが、あまり印象には残っていない。
今回はウッドドライバを使ったヘッドホンは初視聴である。日本製という事もあってあまり音には期待していないのだが、それでもごく希に目を見張るような音に出会えるので宝探し的な何かがあるとも云える。
そういう一種のギャンブルのような気持ちで聞くのだが、JVCは音作りがとてもユニークだ。
もともとウォーム系を得意とするブランドではあるのだが、JVCには二種類のチューニングが存在する。
ウッドかそれ以外かだ。
今回SW02ヘッドホンでJVCがヘッドホンでどのようにウッドをチューニングしたのか見てみたいと思う。
【レビュー】JVC HA-FW1500 JVCのウッドはたどり着けるのか?
JVCのウッドドライバはこれまで2本くらい聞いてきたような気がする。だが手元には1本もない。
JVCは日本ブランドの中では特に独特で聡明なのであるが、どうにもウッドドライバを使いこなしているとは言いがたく、悪くは無いが別に良くもない、と云うのが正直な感想である。
特にウッドにJVC独自のチューニングを施してしまうと特定ジャンルに極端に向いてしまうことと、低価格機は別としてエッジが溶けるほど柔らかい印象がある。
ただそれでもJVCに希望が感じられるのは本当だ。
こう言う信念を持ったチューニングを行えるメーカーは数は多くはない。
だがその上を目指せるかと云えば話は変わってくる。
○評価から◎評価まで行く間にくぐらなければならない扉はあまりにも重い。
僕はかつてあるJVCのイヤホンを聴いたときに、エッジが柔らかすぎると文句を言ったが、JVCに必要なのはむしろ音の硬さだ。
エッジがただ柔らかいだけではそこにはたどり着けない。
目の前に横たわるその河を渡れるかどうかは誰にも分からないが、渡ろうと努力したものだけがいつの日か彼岸に到達するだろう。
必要なのは飽くことなき挑戦だけだろう。
【レビュー】klipsch IMAGE X5イヤホン KG623ドライバの1BA
2008年発売のクリプシュimage X5イヤホンである。
当然のことながらクリプシュお得意の1BAであるが、X10シリーズのメインドライバであるKG926とは違うKG623ドライバ搭載である。
もともとX10と同時期に発売されたのだからいまから12年以上前のイヤホンである。
X10の下位機種という位置づけだが、当時の価格は堂々としたもので約3万円ほどであった。
これが予想以上に売れなかった・・・・と思う。
現況の中古品で比較すれば非常に入手困難。
ただこちらには偽物がない。
だからオークションだろうがメルカリなどの個人売買であろうが破損などが無い限り、幾らか心に余裕を持って手にいれられるだろう。
そういえばeイヤのサイトでも在庫が常に一個くらいあったような気がしたが、最近ではXシリーズはまったく見掛けなくなってしまった。
ここからは余談であるが・・・
しばらく前にeイヤのサイトがリニューアルしたが、これがどうにも改悪のようで見にくくてしょうが無いのは僕だけだろうか?
以前は中古一覧で適当にサイトを横断しながら在庫の中から探せたのだが、商品検索一覧ページがとにかく使いにくい。
ブランド一覧から新品と中古が同時に見られるのでそっちで見つければ良いのだが、以前の感覚で中古のページから何かを探そうとすることが困難になった。
さて、X5イヤホンである。
中古のX10と比較すると更に半額近い価格で落ちている。元の価格からすれば異様な値落ちだ。ハウジングは太くX10よりも扱いやすい。
本家の大人気KG926ドライバと比べてどんな音なのだろう。
【偽物注意報】クリプシュのX10の真贋鑑定を頼まれた結果
以前、偽物だらけのクリプシュのX10について個人的に「真贋鑑定」を行うよ、という話をしていた。これはウチの読者様が安心して本物を聞いて欲しいと言う願いからだ。
僕としてはクリプシュのX10シリーズは「信頼できるオーディオ販売店から買え」と口を酸っぱくして云ってきた。僕などはEイヤやフジヤエービックなどからしかクリプシュは買わないことに決めている。
もちろん割高だ。
だがしかし、鑑定料を含んでいると思えば妥当だと思う。
事実、eイヤからもフジヤエービックからもクリプシュのイヤホンは購入しているが、すべて間違いなく本物だった。
これらの販売店はオーディオ専門店としてのプライドがあり、もし万が一偽物をお客様に売ったという事になれば店が潰れることにもなりかねない。信用が一気に失われるからだ。
だからオークションや個人売買やネットの怪しいお店でクリプシュやshureを購入するのは非常に危険だと申し上げてきた。
今回、ノート版読者様がクリプシュのX10を個人売買ではなくネットの販売店にて「新品」を手に入れたが、一抹の不安があるので「本物かどうか鑑定して欲しい」とのことで二つ返事で引き受けた。
聞けば本物か偽物かなど5分以内で判別する自信がある。
送っていただいたX10の外観チェックからはじめて見た。
正直に言おう。
外観ではまったく判別不能だ。
コードやコードクリップを含めて、ハウジングもまったく同一のものに見える。
内心、「これ本物じゃね?」と思った。
試しにハウジングの同じ場所の大きさをデジタルノギスで測ってみたが・・・
■僕のX10 5.64㎜
■判定したX10 5.65㎜
0.01㎜で完全に誤差の範囲である。
ハウジングの刻印もまったく同じに見えた。位置も大きさもまったく分からない。
聞く前からいやこれ本物でしょと確信してしまった。
じゃあ音を聞いてみるかとDAPをオンにして判定を頼まれたX10を耳に嵌めてイントロが終わって確信した。
あああ、これ偽物だ・・・。
わずか5秒の出来事であった・・・。
具体的にいおう。
まず低音がブーストされている。本物よりもかなり低音が強いのだ。
それから中高音域がボヤッとする。
主にこれらの違いがあって、特にわかりやすいのはやはり低音のブーストだろう。
本物よりもかなり強いのでこの部分だけで分かってしまう。
しかし問題なのはここからだ。
この偽物X10は実に良く出来ている。
何しろコードや外観ではまったく判別不能。ネットでは偽物のハウジングは磁力でくっつくとか噂があるがそんなこともない。
ハウジングの色もほとんど同じに見える。
更に音だ。
この偽物X10は「音質チューニング」がかけられている。
つまり単に同じハウジングにドライバを適当に詰めたものではなく、一応、音質もちゃんと考慮されていることが聞き取れることだ。
本物はウォームであるが、この偽物X10と同じくウォーム。
ボーカル周りも少しだけ偽物X10が暴れ気味にはなるが、なかなかよく出来ている。
能率もキッチリ合わせてきているようで、聴く限りではおそらく偽物X10の方が1-2デシベル程度高いだけ。これくらいだとほぼ分からないだろうと思う。
エッジも柔らかくなっているのでソースによっては判別が困難な可能性が高い。
これではよく分かっていない人だと判別できない場合もかなりある。
おそらく2020年当たりの偽物クリプシュイヤホンは外観はもちろん音質までも煮詰めてきている。
単なるデタラメなイヤホンではないと思う。
もちろん聴く人が聴けば一発なのだが、比較検討無しでの判別は相当に困難だろう。
今回、偽物X10を聞いてかなり恐ろしいと思ったのが本当だ。
これではオークションやメルカリなど怖くて買えないと思う。
もし、安いからと云ってオークションや怪しいサイトやメルカリなどで買っている人はよくよく注意して欲しい。ほとんど偽物ではないかとさえ思う。
ノート版読者につきましては引き続き「真贋判定」は行わせていただく所存であるので、ぜひこちらをお読みの読者様もノート版をご覧になっていただければ幸いである。
てきれば本物のクオリティを安心して感じ取っていただきたいと思う。
最後に申し上げておくが、確かに偽物X10が本物に色々と似せてきているとは云え、本物だけがもつ再生クオリティは実現不可能だと断言しておく。
【レビュー】Noble Audio M3イヤホンの音を聞いてみた
noble audioのイヤホンである。
お初であるが、読者の方によると「音の魔術師」と呼ばれているジョンモールトンという聴覚学者・聴覚専門医が設計に携わっているらしい。
どういう人なのか分からないが、音の魔術師と言われているくらいなのでその筋の評価は高いのだろうと思う。
確かにnobel audioのホームページを参照してみるとそのようなことが書いてある。
しかもM3イヤホンはその中でもかなり低価格のエントリークラスらしい。そもそもこのブランドはカスタムIEMメーカーのようだ。
M3のハウジングもそのノウハウが投入されているのだという。
カスタムIEMではないが、「補聴器」はとにかく高い。僕も驚いたのだが、10万など安物で30-50万とか余裕でするようだ。補聴器は独自のノウハウが必要で音楽を聴いて楽しいものでは決してないと思う。
だから補聴器が有名でも音楽用のイヤホンとはまるで別物だと思う。
だがこの業界にはER4と云う実例もある。
どうも補聴器メーカーはモニターチックな音を指向する傾向が高いように見えるが、ERで云えばモニターチックなのはER4だけだ。
だからどんな音なのかは聞いてみるまでまるで分からない。
Noble Audioはかなり熱心なファンがいるブランドのようでその音にも期待できるだろう。
それではレビューをご覧頂きたいと思う。
【レビュー】GRADO GS1000e
グラドもここ最近は様々なタイプのイヤホンを出しているが、時代の要請に応じて少しずつ変化しているのが意外である。
といってもちょっとした型番違いなどはどこが変化したのか分からないのだが。
GS1000eは新型の50mmドライバを搭載したグラドのヘッドホンである。
試聴して歩いていたのがだいぶ前になるので、ドライバまで一新されたGSの音には興味があった。もともとグラドらしいかと云えばそうだとは云えなかったのがGS系の音である。
高い割にはあまり良くないという感想を持っていたのだが、先日聞いたグラドの新作がかなり良かったので新しい時代に入ったグラドの音を見直していたりした。
僕の方もグラドの音を色々と聞いてアップデートされた一面があるので、そういう経験を積んだ上でも新たにGSの音を聞き直したいと思っていた。
グラドはフラグシップのGSで何をしたかったのか。
また
どんな音を届けたいと思っていたのかを明らかにしてみようと思う。
finalのエージングでの言い分について
たまにはこちら何か書いておこうと思う。
有料のオーディオブログであるノート版の方の読者専用でslackを開設しているので、有料版の読者の方とは主にこちらでやりとり取りしているが、自己紹介など頂くと大変嬉しいものだ。
特に詳しく書いて頂けると大変励みになる。
どんな方がどんな思いでオーディオという闇と格闘しているのかがなんとなく見えてくるからだ。
多くの人が悩みながら道を歩いてくるのを知る。
そう。
オーディオは救いのない影を内包している。
その影はまるで1度詐欺に遭った人の名簿が裏で取引されていて何度も何度も同じ人が詐欺業者にカモにされるように、オーディオもまたカモや養分にされてしまう。
リケーブルやエージングやハイレゾなどに騙されているような人だ。
最近、finalのE500の記事を書いたのだが、ASMRって何だと思ってfinalのページを参照していたら、150-200時間のエージングが必要だの書かれていたで思わず笑ってしまった。
概ね150~200時間程度、通常の使い方を続けていただけましたら、繊細さが増したと感じられる筈です。
そんなこと感じたことはないのだが・・・。僕は初期バーンインは特にDDで必要だと口を酸っぱくしてもうしあげているが、それ以上の長時間のエージングなど「耳の慣れ」以外ではないと思う。
鳴らし始めのイヤホンの音は明らかに音が違う。コレはもう計測でも確実に出ると思う。それくらい明確に相違が出るが、200時間と云えば1日2時間聞いて100日必要なのである。
100日前の音など記憶しているわけがなかろう。人間の記憶など1時間前の出来事でもあやふやなのは数々の記憶テストが証明している。
返す刀でfinalは云う。
つまり単なる慣れと思い込みと勘違いという事をある意味認めてしまっていると思われる。
また同じ文面でこうも言う。
新たなイヤホンを購入し、ある一定時間使い続けると、そのイヤホンが基準となります。音質の評価はその基準となるまで使い続けた上で判断する方が、長期的に飽きない製品を選択をし易くなります。
何を言っているのかまったく分からない。
音質評価はリファレンスとなる正しい基準に基づくのみであってそれ以外にはない。
finalは「ゴミイヤホン」を一定期間使いづけるとそれが正しい基準となる、とでも本気で思っているのだろうか。
ゴミは幾ら使い続けてもゴミである。オーディオの場合ろくでもない音の製品を使い続けるとむしろ耳を破壊してしまう。
その悪弊が、どれほど多くの低音病の人を生み出したり、ジャパニーズサウンドの妙な基準を生み出してきたのだろうか。
日本を代表するイヤホンメーカのfinalが誤解を招くようなことを言うべきでは無いだろう。正しく啓蒙してもらいたいと思う。
final-audio-design-directshop.com
【レビュー】final E500はエロ専用なのか?
finalのVRイヤホンだとか云うE500である。
発売から随分と経つが、今回レビューするのには理由がある。
実は前回の中華コロナで非常事態宣言によるステイホームが叫ばれていた頃に、読者の方からレビュー依頼があったのだが、この時断ったのである。
なにせこの時、finalがステイホーム応援だかなんだかでe500の大規模なプレゼントを行っていたので、その姿勢に感銘を受けたのだ。
やるなfinal、とは思ったのだが、レビューに手を抜くつもりはなかったので、大して期待できないであろう2000円程度のイヤホンをボロクソにレビューするのも気が引けて、「自粛を応援するfinal」に敬意を表してレビューを辞退したのであった。
しかもこの頃には数人の読者からE500は「しょうもない駄作」との意見も上がっていたので余計にレビューを躊躇したというのもあった。
ところが今回突然E500をレビューしたのは、古い読者から連絡があってE500がいかにすばらしいかと力説するのである。
この方、あまり云いたくないがゴミと名機を同時に聞いているような方でイヤホン評価が特殊でよく分からないところがある。
生返事で「そのうち機会があれば」と返答していたのだが、別な読者様がE500を持っていたのを思い出して他のBluetoothイヤホンと同時にオマケとして貸していただいたのである。
一聴して2Chの音は寝ぼけていて良くはない。
だがこれは2chの音を聞くためのイヤホンではないだろう。バイノーラル音源を聞かなければ意味が無いが、そのバイノーラルの高精度なソースは数が限られている。
そこで仮想5.1CHの音源から聞き始めたのだが、これがまたデタラメな定位と鳴り方になって聞けたものではない。ノーマルのイヤホン以下の定位表現である。
最後に本領を発揮するであろうバイノーラルやらASMRソースを聞き出してそのインプレッションでレビューしておく。
【大人気レビュー】SONY MDR-7506低価格モニター密閉型ヘッドホン
SONYのプロ用モニターヘッドホンはこれで三本目となる。
色々と聞いてきてしまったが、日本のスタジオ標準と言われるSONYの密閉型有線ヘッドホンである今回の7506は外観がまるで900STそっくりなのである。
箱から出して持った感じも900STっぽい。
アレ?これどこが違うのだろうかと思いながら音を聞いてみた。
SONYのこの手のモニター系ヘッドホンはどういうわけなのか「まっとうな音」がしない。モニター系なのに溢れる個性が感じられるので意味がよく分からないところがあるのである。
ノート版では900STとそれに続く後継モデル共にレビューしているが、今回の7506は一体どういう立ち位置にあるのか分からなかったのだが、音を聞いて瞬時に納得してしまった。
エントリー価格帯のモデルで手に入れやすい価格と900STを思わせるデザインと耐久性。900STがああいう感じなのでどのように差別化されたのかを見ていきたいと思う。
アマゾンレビューなどでは相変わらず絶賛の嵐なのだが、僕にはまったく関係ないので、いつもどおり真摯に真面目に7506の本質を分解していこうと思う。
【レビュー】家電批評絶賛!!! shure AONIC50 ノイズキャンセルBluetoothヘッドホン
shureのノイキャンヘッドホンである。
あのshureの・・・・。
有線ヘッドホンは何本か聴いてきたが、今流行のBluetoothでなんとノイキャン入りのshureはお初である。
そもそも家電批評だかの雑誌で「絶賛」されていたらしい。
これを評価して欲しいと送ってくださった読者の方はどうもその激賞する記事を見て購入されたようだ。
その記事はたぶんこれだと思う。
僕も読ませていただいたが、確かに凄い褒めようであった・・・。
プロミュージシャンだのオーディオ評論家だの選者がべた褒めしている。
それもさもありなん。
なんといってもヘッドホンでは定評のあるshureのノイキャン機である。それ相当のものを期待しても責められるものではないだろう。
パッケージもAONICシリーズ特有の丸い大きな箱で高級感もある。そういえば読者の方から教えていただいたのだが、AONICというのはshureのコンシューマーラインらしい。
shureの中ではプロ用と云うよりもより一般人向けの味付けをしたという事なのだろうか。
それではノート版でレビューしたいと思う。