【レビュー】 CarotOne ヘッドホン真空管アンプ プリアンプ FABRIZIOLO EX
総合評価★★★★★5.0
イタリア製carotoneの真空管ヘッドホンアンプ/プリアンプです。
特徴的なのはプリ段が真空管ECC802とで増幅し、パワー段がアナログのオペアンプを使用しているハイブリッドアンプと云う事です。
従来のノーマル品に対してEXとなり、日本向けのバイアス調整とECC802Sという「高信頼管」が付属しています。
【真空管について】
6922/ECC802/ECC802S/12AU7を差し替えて使用することができます。
このアンプの利点の1つとしてオーディオプリアンプによく使われている12AU7がディップスイッチの切替によりそのまま刺すことが出来ると云うことです。
12AU7はかなりメジャーな真空管なので比較的手に入れる事がたやすく、ブランドの選択肢も多いため、こちらのプリ真空管の選択肢は他社製に対してとても多くなっています。
現代ロシア管からヴィンテージの日本管まで、いろいろと刺して遊ぶことができるのは本機の大事なメリットの1つだと思われます。
【音質】
驚くべき事にこちらのヘッドホンアンプは「真空管の音色」がでてきます。とても優しい輪郭で、柔らかな音色を聴くことが出来ると云うのは驚くべき事です。
プリ部に実装された真空管の音がしっかりと感じられる希有なヘッドホンアンプの1つだといえるでしょう。
真空管アンプの中でも特に「ヘッドホンで使用することを前提に設計されたアンプ」は真空管の音色がほとんどでてきません。
この理由はヘッドホンの場合「ノイズ」が大きな問題になるため丁寧に取り除くので、その過程で「真空管の音色」まで取り除かれてしまう傾向があるからです。
僕はいくつかの真空管アンプを使用してきましたが、どの真空管ヘッドホンアンプでも真空管のあの音色はスポイルされてしまっています。
このFABRIZIOLO EXの音質を一言で言い表すなら「真空管の優しい音色と柔らかめのエッジを表現しながらも解像度が高い」という希有な音を実現しているといえます。
ただし、スピーカー駆動用のパワーアンプなどから流れてくる音色の濃さはなく、うっすらとした音色であるいえますが、それでもとても優雅な美しい音です。
解像度はしっかりと確保されています。
ソリッドステートと比較すると若干落ちますが、真空管プリアンプとしては十分な解像度が確保されています。
【注意点】
このアンプはボリュームが低いときに左右のギャングエラーが出ます。
またホワイトノイズが大きめの機種なので現代のHI-FI調のソリッドステートアンプの硬めの音色が好きな方には向きません。
【まとめ】
中華製の似たような真空管ヘッドホンアンプがもっと遙かに安い価格で発売しているので、比較対照が中華製ですとたぶん価格的に高く感じることがあると思います。
ですが基本的にはプリとパワーに真空管をおごったタイプのアンプよりもこちらのような真空管と半導体のハイブリッドアンプの方がどらかというと「ヘッドホンでつかう場合には」良い結果をもたらす場合が多いです。
もともと真空管をプリに使うとノイズフロアが上がるのでそれを押さえ込むために真空管の音色まで取り除いてしまうのですが、こちらのFABRIZIOLO EXはプリ段に真空管を実装するというちょっとした冒険的な事をしています。
にもかかわらず真空管の音色が残されているというのは驚くべき事です。
確かに他のアンプと比較するとノイズは多く、感度の高いヘッドホンなどでは相性問題が発生する可能性がありますが、こういった優れたアンプはある程度の見識がないと設計できないと考えています。
こちらのアンプはノイズを多少残すことにより、真空管の音色を楽しむことができるということに大きな意味があります。
CarotOne 真空管ヘッドフォン・プリアンプ FABRIZIOLO EX | ||||
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