オーディオ、だましのテクニック 【メーカー編】
昔、良く店頭で「オーディオコンポ」を聞き比べると、詐欺のような音のする製品がよく見受けられました。
今でもこういった「詐欺すれすれの音のする製品」というのはよくあるので、書いておきます。
これはどういうことかというと、同種の同価格帯のオーディオ製品では「音の区別」が付けづらいので、差別化のために「ワザと異様な音作り」をするというものです。
音質のキャラクターを部分的に突出させるような音作りをして、ユーザーを驚かせて買わせるという手法となります。
この手口は昔からある古典的な手法のひとつで、ハイエンドの製品でも見受けられます。
やたらとハイスピードな音にしたり、やたらと明瞭な音作りをしたり、部分的にキャラを立てる事で「今まで聞いたことのない音」を演出して「ビックリさせて買わせる」ということです。
ほとんどの場合で、この手の音作りのなされた製品でまともな音のする事は残念ながらありません。
特性が大きく狂い、特に長時間や長期間の視聴に耐えられない「短期売り切り」の製品となります。
ですので、キチンとした「リファレンス」となる製品をお持ちの方は、何か新しいスピーカーなりヘッドホンなりイヤホンの音を聞くときには、試聴時に「あまりにも音が違う」という場合はまず警戒した方が良いのです。
基本的にメーカーが、熟成されていない新素材のドライバー等を使用する場合、もしくは「他の機器とあまりにも違う音」がする場合、詐欺とまでは言いませんが限りなくそれに近いケースが多いと思います。
僕の今までの拙い経験から言わせていただければ、スピーガだろうがヘッドホンだろうが良い音がするものは一聴して極めてオーソドックスな極ありきたりな音がします。
ところが倍音がとても美しかったり、低音の階調や出方、帯域バランスが突き抜けて優れていたりと、聞けば聞くほど音に深みを感じたりするものです。
ところがこういった「深みのある音」の評価はちょっと難しいところが有り、特に店頭などでのざわついた環境や短時間の視聴では判断するのが極めて困難です。
メーカーはこういったことをよく知っているので、そういった限られた環境で自社の製品を際立たせるために「ワザとそういった異様な音作り」の製品を世に出してきます。
こういった際だった音がする製品は、一聴すると明らかに他の製品とは違う音がするので、何も分からない方は「音が違う」と驚いてその製品を買ってしまうというわけです。
ところが、こういった異様な音の製品は自宅で愛用していくと不満ばかりが溜まり、そのうち音を聞くことを辞めてしまいます。
長くオーディオを嗜んでいると、こういったメーカーの馬鹿げた、売りたいためだけの差別化を優先して作った製品という事がすぐに分かるようになりますので、騙されるようなことは少なくなります。
と云うわけで、あなたが音を聞いたときに従来のものと「あまりにも音が違う」という場合は、特に注意して音を判別していかないと、メーカーの思惑通りにあなたは騙されることになる場合が多いといえます。