【コラム】DAPのコストを考えてみる
ピュアオーディオのプリメインアンプのコストのほとんどはパワーアンプ部にかけられています。
一説によると価格の8割がパワーアンプにかかるコストだという事が言われています。
ようするに、電源部はそれだけ重要だという事でもあります。
その煽りを受けるのがプリ部で、この為、プリメインアンプの音が本質的に悪い原因ともなっています。
非常に雑味の多い音になるのですが、経験のある方は聞いた瞬間にプリ部の出来が悪いことは判別できたりします。
これはある意味致しかたのないことでもあって、かけられるコストが決まっている以上、必然的に重要なパワー部に振り分けられてしまいます。
パワー部のコストを削り込むと、低音が鳴らなくなるので、一般的に想定されるスピーカーの使用に齟齬を来してしまうためです。
今でも格安系のDAPはイヤホンの低音ですらまともにならせないのはこの為です。
ですが、では昨今のDAPのコストはどこにかけられているのかというと、液晶パネルとなります。
ここに7-8割のコストが投入されてしまうので、かつてのアナログプリメインアンプよりも遙かに音が悪い一因となります。
いまの数万クラスのDAPなら当たり前のようにタッチパネルが実装されていますが、これは音には何の関係もありません。
むしろ回路的には音が悪くなる原因でもありますが、まさか今どきタッチパネルや大型液晶パネルを搭載しなければそもそも売れないので、メーカーは競って大型のキレイなパネルを搭載してきますが、ここにいくらコストをかけても音はよくなりません。
と云うわけでDAPのコストのほとんどを吸い取ってしまう液晶パネルは、いくらお金をかけても音は何ら良くならずに価格を大きく上昇させてしまうので、同じ価格で比較するのなら、ショボい小さな液晶パネルを積んで音に関わる中身にコストをかけた見栄えの悪いDAPの方が性能は良いという事になります。
もちろん、今どきそんな売れもしないDAPを開発するメーカーがあるとは思えませんが、DAPのコストがどこに大きく投入されているのかは知っておくと良いでしょう。