【レビュー】パイオニア 密閉型ノイズキャンセルヘッドホン SE-MS9BN
オーバーヘッドタイプのヘッドホンですが、パイオニア製となります。
有線/無線両対応となっているので、今流行のどちらでも使用することができます。
価格的にはエントリーよりも少しだけお高めですが、ヘッドホンの場合、イヤホンとは違いやはり予算を少し増やす必要があるでしょう。
ただ海外製では2-3万も出すとキチンと選べば「それなりのもの」を手に入れる事も出来ますので、激戦区の価格帯でこういったヘッドホンが通用するのかどうか見ていきたいと思います。
【Pioneer SE-MS9スペック】
■モデルナンバー SE-MS9BN
■ドライバー 40㎜ダイナミックドライバ
■周波数特性 5Hz ~ 40000Hz Bluetooth接続時:5Hz~22kHz
まずこちらバーンインに2時間以上かけましょう。ヘッドホンとしてはごく普通のバーンイン時間となります。
エッジや低音の質、バランスなどが大きく改善します。
こちらはノイズキャンセルヘッドホンとなります。Bluetoothとしては接続性も良好で距離も長めで安定しているでしょう。
対応コーディックはSBC/AAC/aptX/aptXHD対応です。
装着感は軽く良好。
【Pioneer SE-MS9音質】
基本的にアナログアンプで音質評価をいたします。そのことは前提として理解しておいていただければよろしいかと思われます。ヘッドホンあたりになるとものによっては低音の駆動力が若干足りなくなるものも出てきますので、そういった事を事前に回避するという事もあり、アナログの音で評価を進めたいと思います。
もし音を聞いて輪郭が緩みがちであったりすればその都度デジタルで聞き直してどちらで評価するか考えますが・・・。
まず「有線」での音ですが、音はかなり明るめとなっています。帯域バランスはいわゆる重低音モデルの音で+7.0程度なので、かなり低音がブーストされていると考えてもよろしい。
低音のエッジは良好です。ふくらみも少なく意外にしっかりとしたもので、階調表現もよい。敢えて言うのなら「低音向け」という事になるでしょう。
ところが中高音域がメチャクチャな音で、特に倍音がなぜかかなり強調された挙げ句の果てに勝手に付加される傾向がありとても聴いていられるようなレベルの製品ではありません。
ボーカルフラットは並。なんだか音色もおかしく、音が非常に安っぽい。
エッジは良好ですが、音の出方が全体的におかしい。
分離も悪く、明瞭度も非常に低く、有線の音は評価に値しません。
全体的にいっても「これは音ではない」という位の代物で、耳がおかしくなりそう。
【Bluetoothの音】
こちらのヘッドホンはノイズキャンセル付きとなっています。それはよいのですが、電源オンと同時に「ノイキャンモード」でスタートするので、ノイキャンが必要ない場合はいちいちボタン操作しないとなりません。
このノイキャンが恐ろしく性能の低いもので、本当にノイキャンなのかどうなのか疑うほどのレベルの低さでもうどうにもなりません。
BOSEのノイキャンを100とした場合、こちらのノイキャン性能は30くらいかもしれません。もしかするともっと性能が低いかも知れません。買うに値しないというか「ノイキャンつき」と云うのがおこがましい。
ところがノイキャンモードを切ると突然音が良くなります。
有線の音は何だったのかという位に音が変わって、至って普通の音。まず帯域バランスでいえば低音が減少してブースト量は+5.5から6.0付近まで下がってバランスが良くなります。
もともとこちらの低音はエッジや階調表現などがなかなか良かったのでそれが更にバランス良くなる感じで好感が持てるでしょう。
あくまでBluetoothの音ですが、有線の音やノイズキャンセルの音がびっくりするほど悪かった分、これが本来のパイオニアのチューニングだと確信しました。
Bluetoothの音なので有線の音の良いものにはとても適いませんが、Bluetoothとしてノイキャン無しで聞くのなら、全体的に音の出方はジャパニーズサウンドといえるのですがこれなら納得です。
倍音も適性で音色もグッと落ち着いて普通に鳴ります。
【Pioneer SE-MS9まとめ】
有線の音はもうお話になりません。
あまりの酷さに涙が溢れてくるレベルで、とてもこれではまともに音を聞いていられません。
そもそも妙な倍音の強調と云うよりも、まったく新たに付加されてしまうのでそれがかなり酷いといえます。この時点でまともに音を聞いていられるような代物ではなく、このヘッドホンしか持っていないのならまぁ「耳が慣れる」程度で何とか聞けるくらいの代物。
ここまで倍音が酷いともうAVアンプかというくらいのものです。
それ以外にも帯域バランスや音の出方を含めてあまりにも酷い。
ちなみに有線ではアンプをデジタルにしてもこの酷い音が変わるわけもなく・・・そもそも「これほど酷い音」は滅多に聞けないレベル。
密閉タイプという事を考慮してもちょっと理解も納得もできません。
そこで、有線では頭から投げ捨てるレベルの製品だとはいえ、チェックのためにBluetoothで接続すると不思議なことに「かなりまとも」。
そう。
このヘッドホン、そもそもの音決めがBluetoothで行われているわけで、有線はオマケと云うよりも「これならBluetooth専用」として売り出した方が良かったというヘッドホン。
何をまかり間違ったのか「有線にも対応」であるので、僕のように間違えて聞いてしまうと「最悪の音」が待っています。それこそ全部がデタラメの音。
と云うわけでこのSE-MS9は「Bluetoothのみ」で聞くことが正しい聞き方となります。
ただし、そのBluetoothも「ノイズキャンセル機能」があまりにも効きが弱く、ほとんど効いているか効いていないのか判別が難しいレベルで、これをノイズキャンセルというのは間違っているのではないかと言う程度のものです。
つまり、こちらはBluetooth専用ですが、ノイキャンではありません。確かにノイキャンモードにするとちょっとボーカルなどを含めて歪みがでで音がおかしくなりますが、そこまでしても肝心のノイズキャンセルが「弱すぎる」のであまり意味はありません。
と云うわけで有線の音は最悪に近いデタラメな音で、なおかつBluetoothのノイキャンもノイキャンというのが憚られるほど効きが弱く、パイオニアはなんでこんなものを売りだしたのかよく分からない製品ではあります。
うーん。
まぁノイキャンを使わないBluetoothだけなら、ちょいと低音がブーストされたバランスなだけで「Bluetoothなら普通」ではあるのでこのヘッドホンの味のひとつである密閉特有の良好な低音を楽しむものでしょう。
総合評価△
有線としてもノイキャンとしてもダメすぎる。Bluetoothとしての評価はサンプル数が少ないので敢えて△としておきますが、良好な低音をベースとして悪い物ではありません。買うのならノイキャンを切ってBluetooth専用として割り切りましょう。
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