【まとめ】中華イヤホン&ヘッドホンとDAPレビュー辛口のオススメ

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【レビュー】Final E5000 -finalの聖戦-

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読者の方より3本ほどのwestoneなどのイヤホンを含めてお借りしました。その中の1つがたいして期待もしていなかったこのE5000。

 

理由はノート版の読者の方はよくご存じの通りで、かつてこちらでレビューしたE3000はずば抜けていたが、その後に何本もfinalのイヤホンを期待を持って聞きはしても、そこからはe3000以上の音が出てくることはなく、高評価と云える〇イヤホンはE3000を含めて2本だけでした。

 

ひとつも〇評価すら付かないブランドも多い中で立派と云えば立派ではありますが、finalは特に価格の安いモデルで明確に「手抜き」を行うので、よく吟味しないと単なるゴミも多いメーカーです。これでは粗製濫造したと云われても反論できないでしょう

 

「日本製サウンド」はそもそも音が良くありませんが、日本人の耳というかおそらく中華イヤホンを聴いてみてもアジア人の耳もあまり良くないようで、欧州やアメリカなどの白人国家の「音楽にかける伝統と情熱」という点からみてもオーディオ機器には大きな差が出ることになります。

 

一流という名前だけのブランドも多いのですが、そういったメーカーは容易に「日本向け」と銘打ちこぞって「チューニングを変更」してわざわざ音を劣化させたモデルを販売するので辟易としてしまう。

 

僕は何度も書いていますが、もっとも高い場所で戦うスピーカーなどはどう聞いても欧米列強のスピーカーに対して歯が立たず、そもそもまともに同じ戦場に立つことすらできない。せいぜい安物のエントリークラスで戦うのが精一杯で、音を聞いてもそれは納得するしかなく、イヤホンでもそれは変わることはありませんでした。

 

むしろ聴けば聴くほど絶望するだけで、こんな音ではイヤホンですら世界の一角にすら食い込めないだろうと云うのを身をもって再確認しただけのことです。

 

ノート版の方では初期の頃に「行けるとしたらfinalだ」と期待を込めていくつかを聞き込みましたが、結論は「やはり無理」と言うほかなく、E3000の出来は「単なる偶然」という説に傾いていくしかありませんでした。

 

それで結局スピーカの時と同じ事で、気がつけば「海外製イヤホン」ばかりを聞くことになってしまったわけです。

 

そんな折に読者の方よりE5000を借り受けました。

 

【final E5000スペック】

 

■モデルナンバー Final E5000
■ドライバー 1DD/6.4mm
■感度93db
■インピーダンス14Ω
■周波数特性 不明
■コード長1.2メートル

 

読者様から借り受けたイヤホンなのでバーンインの状況は分かりません。装着感はオーソドックスな筒状のハウジングなので特に問題は無いと思います。

 

イヤーピースもそれほどシビアに合わせる必要はありません。このあたりは詳しくは後述致します。

 

E5000はDAPでの音量が取りづらく、音量をかなり上げる必要があります。このため、横一列で他のイヤホンと帯域バランスなどを比較しづらいところがあります。 X1で他のイヤホンよりも10以上音量レベルを上げる必要があるので、スマホなどの方は音量を取るのが難しい場合があるかも知れません。

 

 

【final E5000音質】

 

基本的な音質はウォーム。帯域バランスはほぼ適性バランスと言って良いと思います。高域側が少し丸まり、低音側がブーミーになっているのはいつものfinalチューニング。

 

低音量は+5.0なのでほぼ録音時適性レベルプラスアルファ程度で非常に良く出来ています。中華から比較すれば低音は大幅に少なく、一般的な日本製イヤホンの低域量と比較してもすこし少ないと云えますが、バランス的には正しいと言えます。

 

このイヤホンはイヤーピースや装着で低音量がかなり変化しますが、基本的なバランスはもっとも少なめに聞こえる位置に装着するのが正しい。理由は残念ながら唯一の欠点で「低音」の出来がそれほど良くないため、このクオリティの低音を無理矢理増やしても結果としてあまり良い事とは云えないと思われるからです。

 

また設計時想定のバランスを崩す意味もありません。

 

低音量にほとんどブーストが掛かっていないこともあり、低音の質がとにかく残念。エッジはボケ気味で階調表現も不明瞭となり、低音自体がかなりブーミーで緩い。

 

E5000は明確に中高音向けのイヤホンで、これを聴く限りはある程度「低音は捨ててかかる」と云うことが必要でしょう。低音向けのイヤホンが欲しければ他のものを探した方がよく、これは音を聞く限りではfinalチューニングの根幹に関わる部分もあるような印象なので、無理に低音を増やそうとやたらと装着位置を奥に持っていったり密閉性の高いイヤーピースを使うと音もバランスも破綻しやすいといえます。

 

音楽のベースとなる低音域がイマイチの出来映えなのはどうにもしようがなく、このおかげで音楽のメリハリや迫力や音のパワー感が薄く感じられやすく、激しいソースでは混濁しやすい場面がでてきます。合わせて高域も非常に穏やかないつものfinalの音なので、全体を見れば非常にマイルドな印象を受けます。

 

ただし、この事がこのE5000の真価というか本質を変えるものではありません。

 

実際のところ、一言で評価するのならE5000の音は全体として実に見事と云えます。

 

finalチューニングの最終完成形の音であり、緻密にしてとても柔らかい。中高音域側の音の出し方は聞き惚れる出来映えで、エッジもとにかく柔らかく、かといって輪郭が熔けてしまうようなものではなく、しっかりとした芯があり、スピーカーの音の鳴り方を彷彿とさせてくれる。

 

ボーカルもいつものfinalなら暴れがあるのが通例なのですが、例外的にこちらのE5000は完璧に近い。ボーカルフラットも一流の詰め方。音色もごく自然でわずかに好ましい質感がうっすらとのり、実に好印象。非の打ち所がない。

 

サウンドの明瞭度が若干低いのはいつものfinalなのですが、これもかなり高い位置で調整されているようで他のfinalイヤホンとは一線を画すでしょう。つまり、finalの音としての音のクリア感や明瞭度はかなり高めで、従来のボケやすく感じることもあったイヤホンサウンドがかなり改善されています。

 

全体的に評すると、低域をしっかりと聞き込むイヤホンではありませんが、帯域バランスやエッジなど含めて日本製イヤホンとして最高峰の出来映えである逸品だと評価します。今のところ、相対評価でも絶対評価でも、このサウンドは誇り高き孤高のイヤホンだといえます。

 

価格は少しお高めだが、この音なら決して高くありません。むしろ納得であり、比較するイヤホンのレベルを考慮するとむしろ安いでしょう。

 

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【final E5000まとめ】

 

基本的にE3000の正統な後継機と云えるでしょう。E3000との最大の違いは「音の明瞭度」で、E3000の音のボケ感というか曇りが気になる方はそれが高いレベルで止揚して解消したE5000の音は気に入ることでしょう。

 

E3000の方が低域が少しだけ多めなので、こういった点でも長く聞き込むとE5000の方に軍配が上がると思います。

 

つまりE3000をすべての項目において上回る。

 

その他finalイヤホンとはそもそもこのE5000は格が違う。低域全体の質が悪いのはそもそもこう言う音なので致し方なく、それでもこの低域のクオリティを持ってE5000を評するべきではないと思います。

 

確かにおそらく人によってはこの柔らかさや低音の質から来るメリハリの薄さで「物足りなさ」を感じることもあるでしょう。派手目でイヤホンイヤホンした音に慣れている方にとっては特にそう感じる場面があるかも知れませんが、その場合は自分自身がまだ至っていないという事を恥じるべきです。この音のクオリティは一朝一夕に簡単に出てくるものではなく、苦闘の果てにやっとその姿を現すものだと思います。

 

E5000の本質は、このイヤホンを持って「欧米の音」に真っ正面から切り込めるだけの質を達成した唯一の日本製イヤホンだという事に尽きる。

日本製サウンドが嘲笑されることなく、世界の本物の一流ブランドと肩を並べて堂々とイヤホンの世界において立つことができたと云うことを証明したことにある。

 

僕はこれまで数々の日本製イヤホンを聴いてきましたが、どれを聴いても満足することはなく、特に「質」とか「音色」という点ではとにもかくにも一流の背中がチラリと見える程度で、それすらSONYのイヤホンでわずかに1本しかなく、それも中高音域に限ってなんとかというだけでした。

 

それがこのE5000では同じ場所にたち、肩を並べて最も高い場所で戦っているように見えます。

 

世界でジャパニーズサウンドと馬鹿にされ、それは音を聞けば馬鹿にされてもしょうがない音しか作れなかった日本が、イヤホンという限られた場所ではありますが、やっと世界に追いついた。

 

finalの独自のチューニングと音響に対する見識と苦闘が遂に実を結んだ瞬間でしょう。

 

日本人としてこのE5000を誇らしく思います。僕は断言しておきますが、この音の出し方や帯域バランス、エッジ、ボーカルのナチュラルな質感など、世界最高峰のイヤホンと肩を並べて戦える。

 

このE5000はこれまで聞いた日本製イヤホンサウンドの頂点であり、唯一無二の到達点であると断言しておきます。本当に立派で見事。日本の誇りであり、同時に日本製イヤホンがエントリークラスでしか戦えないという言葉を撤回します。

 

遂にfinalが日本を代表してその心願とも云える苦難の聖戦を戦い抜き、最も高いその場所の一角に堂々と立った。すばらしいサウンドでした。ありがとうございました。

 

 

総合評価◎ 

世界の最前線で戦える音。E5000の音を持ってfinalの音は完成し、世界の第一線のその一角に肩を並べるに至ったといえる。まさに壮挙であり、厳しい場所に決然と立つ凜として誇り高きサムライを思わせる。まねごとではない柔らかさをもった独自の日本の音。

 

 

 

 

 

 

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