【コラム】世に溢れる欠陥品の音 イヤホンとヘッドホンの音が痛い問題について
電子音というのは「基準」がありません。
最近増えているPCなどの音源を使って作られた音は基準というモノがなく、もっと言えば「どういう風に鳴らそうが自由」という事はいえます。
ですが、生の楽器には「基準」が存在します。
ピアノやヴァイオリンは間違いなくそれが演奏されたときの音が基準となります。
例えばベーゼンドルファーの音というものがありますが、これがもしスタインウェイのように聞こえたら、その再生装置は明らかにおかしいわけです。
このように電子音とは違い、生楽器の音には確実に基準というモノが存在していますが、この生楽器を使用して録音された音源を再生すると「本来鳴らなければならない音」というものが存在するわけです。
この生楽器で演奏され録音した音をオーディオで再生したときに「音が痛い」という現象がよく起こります。
直裁に言えば、これは本来鳴らなければならない音ではありません。
特にイヤホンとヘッドホンではスピーカーと比較するとその現象が発現する率が高いような気がしています。
要するに「音が痛い」イヤホンとヘッドホンの数は意外に多いわけです。
では、この音が痛い、と云うことの正体は何なのかというと・・・・
単なる「欠陥品」です。
実際のところ、これが分かっていない方が多すぎるというのが問題です。
キチンと設計されたドライバーとハウジングを使用した音響機器は痛い音を一切出しません。
この事が分かっていないと、音が部分的でも全体的でも痛い機器に高い評価を与えてしまうという事になります。
ではなぜ音が痛いのかというと、ハウジングの設計ミスによる細かな音の反響による「ピークやディップの発生」がこれらの「音の痛さ」を生み出してしまいます。
本来ならあってはならない「痛い音」はこうして生まれてきます。
もう一度言いますが、痛い音の正体はハウジングの設計ミスに起因する可能性の高いモノです。
同じドライバーを使っても、優秀なメーカーが作った機器は痛い音を出しません。
いくら優秀で定評のあるドライバーを使用しても、ハウジングを設計する感性と技術がないと、世の中に溢れる「音の痛いイヤホンとヘッドホン」を新たに増やすだけという事になり、欠陥品を喜んで買う人が増えるだけです。
昔、世界的に有名なスピーカー用のドライバーを適当な設計のキャビネットに入れると「別物のように音が痛くなる」ことがよくありました。
ハッキリ言っておきましょう。
ドライバーの使いこなしは「ハウジング」の設計で決まります。
これはそう簡単なことではありません。
この最も重要なハウジングの設計をミスると「音が痛く」なります。
この事は決して忘れてはいけません。
そもそも楽器の音が痛く感じる、と云うことは普通に考えればあり得ないのは簡単に分かるはずです。