【レビュー】 Little Dot MK2 MKII 6J1 X2 6N6 X2 ヘッドホンアンプ/真空管プリアンプ/
総合評価✖
OTLの真空管アンプであるLittle Dot MK2です。
OTLなので出力トランスは搭載せず、比較的真空管の音が出やすい傾向があります。
トランスの音が出ないため、真空管アンプの中では回路構成が半導体に近いアンプとなります。OTLですと音質的には半導体の音色に近くなると云われていますが、こちらのLittle Dot MK2は部分的にとても美しい音色がでます。
こちらは一言で言うのなら中域がとても優しく甘いアンプだとはいえるでしょう。
【Little Dot MK2スペック】
■シングルエンドプッシュプル クラスA OTL
■周波数特性 20HZ - 50000Hz
■対応ヘッドホンインピーダンス
【Little Dot MK2音質】
まず付属の真空管で評価しています。
こちらは交換前提で考えておくべき物ですがとりあえずの試聴なら特に問題のないものでした。
ヘッドホンアンプとしての使用ですが、一言で言うのなら「価格なりの」の性能だと言えます。
APPJ1502Aなど比較すると、もう中域の質感は圧倒的で、この帯域の色艶はこちらのLittle Dot MK2の最大の特徴と言ってしまっても良いでしょう。
とても良い質感で、ちょっとした「真空管の艶」がボーカル帯域に載ってきます。
中域のエッジもわずかに丸まるようでとても好ましいです。
テストする限り高域側も鈍るようなことはないので特に不満はないとおもいます。
中低域側の駆動力は真空管なのでこちらも不足を感じるようなことは一切なく、HD650をキチンと鳴らせるだけの実力があり、実際に音を聞いてもDP-X1よりも一段上の低音の駆動力を見せてきます。
低音もボケること無くしっかりと出してきますので、真空管アンプにありがちな低音の階調不足ということもなく、低音域の表現力という点に関してはまったく問題ないアンプだと判断しています。
特にポータブルのデジタルDAPを使用している人は、こちらの低音を聴けば単純な出力ワット数ではない本当の意味での駆動力というものが具体的に実感できると思います。
ノイズもほぼ感じられず、それでいてこの中域の音色は高く評価しておきます。
ただし、世の高級なトランスを搭載した真空管ヘッドホンアンプと比較すると背景はちょっとウルサいです。
(ちなみにこのざわつき感はインピーダンス的な相性の問題では無く、安い真空管アンプ特有のものです。
ただし、安くてもこのようなモヤモヤ感がない真空管アンプもあるので、一概には言えませんが、ちょっと許容範囲を超えてしまうことはいえます。
また分離や音の解像度にはちょっと問題があるようで、背景のざわつきと共に注意が必要です。
ちなみにヘッドホンアンプとしてつかう場合は前面の3.5㎜端子では無く分岐ケーブルを使用して背面のRCA出力端子から音を拾った方が音質はわずかながら向上するようです。
【Little Dot MK2プリアンプ】
純粋なプリアンプとしても使用可能なアンプですが、こちらの「プリアンプとしての実力」はプリメインアンプのプリ部程度の実力と言ってしまっても良いと思います。
なのであまり性能が高いものではなく、こちらを入れたとしてもセパレートのプリアンプを入れたときのように圧倒的な音質差を望むのは難しいです。
特にスピーカーで使用すると背景のモヤモヤ感や荒れた音もあまり整理せずにそのまま出力してしまう傾向があるので音の変化にシビアなスピーカでプリアンプとして使用するにはちょっとレベルが低いプリアンプです。
【真空管の交換について】
付属はどうもダメだろうと思います。
僕はまだ変えていませんが、エッジの出方がおかしいのでなにか別な真空管に変えて変化を試してみるべきだと思います。
【LittleDOT MK2まとめ】
電源コードを含めてフルセットで販売されています。
同じストアのAPPJが電源コード無しで販売されているので、そこから比べると別に買い足す物が2P変換プラグだけというのはお手軽で良いものです。
ボーカルに載るこの真空管のわずかな甘い音色だけでも聴く価値がありますが、それでも色々な事を総合的に考えると「お金を出す価値」があるかどうかは極めてアヤシい。
特に駆動力を中心とした低音の表現力は昨今のデジタルアンプではなかなか出せないものとなりますが全体的な能力が悪すぎるところがあり、エッジの出方や解像度、背景のざわつきなどを勘案すると非常に厳しいアンプだと言えます。
贅沢を言えば真空管特有の「背景のざわつき」に価格の安さが出てしまっているので音の雑味としてかなり明確に現れてしまうのが「価格」を感じさせてしまうところでしょう。
アナログの場合、価格=性能のようなところがあるのではっきり申し上げてこの価格で「良い音」にたどり着くのは極めて厳しい。
ちなみにインピーダンスはハイ・ミドル・ローと内部のディップスイッチを開けて変更します。これが少し面倒なのですが致し方ないでしょう。
ヘッドホンの対応能力も高く、価格の安さにも関わらず楽しめる音質と中域に現れる特徴的で妖艶な真空管のツヤに点数を付けておきます。
2万以下では、真空管の艶がボーカルにわずかに載るアンプとして評価すべき性能があると思われるOTL真空管アンプだと思います。
価格優先で探している方にはオススメしたいところではあるのですが、真空管アンプとして基本的な能力が及第点に達していないとはいえます。
性能優先でとにかく良い音で楽しみたいという方はもう少し予算を増やして別なメーカーから選択した方が良いかも知れません。
ちなみにこちらのアンプはイヤホンでは無くヘッドホンでテストしています。イヤホンの方はデジタルアンプの方が結果が良いのでこういったアナログアンプを選択してはいけません。
Little Dot LD1+ I+ 真空管6JI ハイファイヘッドホンアンプ 真空管アンプ プリアンプ | ||||
|
Little Dot MKIV MK4 SE ハイファイヘッドホンアンプ 真空管アンプ プリアンプ | ||||
|
【コラム】 ベリリウムドライバーについて イヤホン振動板
イヤホンの振動板というとここ最近いろいろなものが出てきているようです。
格安系でもよく見掛けるのが「ベリリウムドライバ」です。
ベリリウムというと元々ごく限られたスピーカーの高域を担当する「トゥイーター」に使われることがありました。
今でもスピーカー用のTADドライバーはベリリウムです。
このベリリウムはもともとが「高域用」の素材で、その材質から放たれる音は「美しくて透明感のある」音がする物です。
これは一聴しただけで「ベリリウムの音だ」と一発で分かるほどに音が違います。
ではなぜこのベリリウムドライバーを各社が採用しないのかというとこのベリリウムには幾つか問題があります。
■製造時に「毒」を発生するので高度な設備のある専用の工場で無いとでは加工できない。
■高価
そもそもベリリウムは粉末にしないと加工できませんが、粉末にすると「毒」を発生するため、防護服を着用するなど極めて高度な設備が必要になります。
これほどの難しい素材が数千円のイヤホンに「ベリリウム・ドライバー」と云われてたくさん使われています。
このカラクリを想像するとおそらくベリリウムに多量の混ぜ物をした合金で、実際のベリリウム含有量はごくわずかだったりする可能性があるのではないかとも考えたりします。
これならベリリウムドライバーが格安である理由が分かります。
要するに「名前だけベリリウム」の可能性があると云う事です。
少なくとも僕がかつてスピーカーで聴いたベリリウムの音のするイヤホンは今のところ存在せず、ベリリウムと真逆の鈍った音がしていたりします。
また、おそらくと云うことでいえば「ベリリウムドライバー」を製造する工場は中国にもそんなにたくさんあるとは思えませんので、同一ドライバーを使ったイヤホンがたくさんあるのではないかとも思っています。
こうなると「音の違い」はハウジングの違いと言ってしまっても良いかも知れません。
さて、ここからはドライバーの素材についての余談となりますが、たとえばKC06Aなどは「生体複合膜ドライバー」などと言うよく分からないドライバーを使用していたりします。こういった「一見凄そうな名前の素材」にも注意が必要です。
なぜなら、経験上、こう言った特殊な素材のドライバーで「いい音がしたためしがない」ということがあります。
売り出しの宣伝文句としては使えますがそれ以上では無く、こう言ったドライバーはたいていの場合特性の狂った特徴的な音がしたりします。
だいたいよく考えればすぐに分かりますが、歴史の長いスピーカーの世界でも次から次へと新素材ドライバーが試されてきましたが、生き残っている物はほとんどありません。
このように「新素材」みたいなものはたいていが時の流れに揉まれると、いつの間にやら市場から消えています。
TADドライバーのように一流のメーカーがきっちりと作り上げたベリリウムドライバーは美しい音がしますが、それを中域と混ぜ合わせるのはこれまた至難の業となります。
音はハーモニーが大切で、ある帯域だけが素晴らしい音がしていてもしょうが無いのです。
イヤホンで云えばダイナミックドライバーを基本として、せいぜいがBA程度で十分でしょう。
その素材もごくありふれた一般的な物でも不足がなかったりするわけです。
それですらいまだに使いこなしができていないケースの方が多いわけで、新素材だの新ドライバーなどという言葉に騙されず、キチンと音を聞いて判断していく必要があります。
アーバンユーティリティ ハイレゾ対応 ベリリウム振動板採用 カナル型イヤホン (マイク付き) 簡易パッケージ ケーブルバンド付き UEHE-EP1
- 出版社/メーカー: SiB株式会社
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
【レビュー】 KZ EDR1
総合評価〇
KZ社のEDR1となります。
KZの中ではED9が高く評価されていますが、今回、聞き比べた結果ED9の星を落とし、EDR1の評価を出しておきます。
ちなみにこちらのEDR1とED2は見た目で区別がつきません。
音は違うようなのですが実際のところどうなのかは明確ではありません。
【EDR1スペック 】
■モデルナンバー KZ EDR1
■ドライバー 1DD
■感度108db
■インピーダンス18Ω
■周波数特性20khz-20000hz
■コード長1.2メートル
【EDR1音質】
まず適正帯域バランスから云えば相変わらずの中華のKZで量が多めです。
KZの中でも特に低音が多めのED10の低音を少し量を絞ってエッジを明確にしたようなイメージです。比較するとED9よりも低域のバランスは良いと思います。
低音のエッジの描き方も十分に評価できます。
重低音も出すぎるくらいに出てきます。
ボーカルの質はED9の攻撃的なエッジを薄めてちょっと地味にした感じです。
といっても今回はED9を比較対照としたのですが、後からATEを持ち出すとATEよりも高域側のエッジが立ち気味なのでボーカルの質感は悪くは無いがATEのボーカルグレードから比較すると若干落ちるというレベルです。
ようするにこちらのEDR1のボーカルの質感はKZの中でも平均より上のレベルにはあるといえます。
惜しいのは高域側のエッジがわずかに立ち気味なところだと思います。
また、音数が多くなると全体的にすこしざわつきます。
【EDR1まとめ】
KZのATEあたりに通じるエッジのマイルドさがあります。
KZの中でも音は明るめの部類になりますが、低音もかなり強めです。
輪郭はよくエッジはボケません。
量の多さは別として比較的に低域側の性能は高めです。
帯域バランスで見ればKZらしい低域寄りの音ですがボケ感も少なく、階調表現能力もかなり高いです。
中域の質感も悪くなくATEやATRに通じるボーカル域の質感を持っています。
ATEよりも音はわずかに明るい音です。
音質のところでも述べたようにボーカルの質感だけならATE/ATRには適いませんがKZの中の立ち位置としてはかなり上位に入るとみて良いでしょう。
こちらのEDR1はKZの中では意外な実力機となります。
ED9よりも間違いなくこちらの方が音質は上だと思いますので、高域側のエッジの尖りは唯一気になりますが、性能は高めです。
ATEあたりを少し華やかにして高域側を立たせた物がEDR1の立ち位置となりますのでKZのイヤホンシリーズの中でも実力高めです。
【コラム】 イヤホンの帯域バランスの判断について
イヤホンの帯域バランスの判断基準について書いておきますが、モニターとして使用しているのはゼンハイザーのHD650/6XXを使用しています。
HD650は聴感上のフラット基準であるDF補正で今のところもっともフラットに近い特性を持っているので個々の音の判断基準としてではなく、あくまで帯域バランスの判断に使用しています。
ただし、フラット補正は「聴いていて楽しくない」というのがあるので、モニター的な聴き方はできますが、音楽を聴いてとても楽しいと云うことにはなりません。
スピーカーの世界でも試聴位置フラット調整をさんざんテストしてきましたが、結局のところ「あまりにも退屈な音がする」ということでピュアオーディオのマニアでも最終的にフラット調整は行わず、たいてい緩やかなピークとディップをつけて「音楽が鳴る」ように調整します。
要するに何が言いたいのかというと、音楽を聴いて楽しい調整は多少のドンシャリであるということです。
特に日本人は「高域上げ調整」をとても好みます。
スピーカーでも「日本向けの調整」と書かれている場合はたいていのケースでトゥイーターが変更になっていることが多くなります。
と云うわけで、音楽を聴く場合は低域は多少強めの方が聴感上良い結果を生む場合が多く、日本人の特性として高域は上がり気味の音を好みます。
ようするに弱ドンシャリになります。
と云うわけで、適正帯域バランスの判断は「弱ドンシャリ」を基準として考えています。
なのでこのブログで低域強めと書かれている場合は、適正よりもかなりの低域が強めとなっていると判断してもらって構いません。
もともとこちらのブログで扱っているような「中華イヤホン」は基本的にどれを購入しても基本は低域が強めとなります。
この為、Sureの215SEあたりから流れてくると強烈な低音を感じることになりますが、慣れてくると中華イヤホンの低域の方が聞いていて楽しくなり、低域があまりにも少ないと物足りなくなります。
こういうことなので僕の云う適正帯域バランスとはHD650基準でもう少し低域を上げた状態を基本として考えているということを書いておきます。
ゼンハイザー オープン型ヘッドホン HD650【国内正規品】
- 出版社/メーカー: ゼンハイザー
- 発売日: 2003/12/01
- メディア: エレクトロニクス
- 購入: 1人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
帯域バランスのモニターはこちら。
ONKYO デジタルオーディオプレーヤー ハイレゾ音源対応/DAC・ヘッドホンアンプ内蔵/バランス接続対応/Google Play対応 ブラック DP-X1(B)
- 出版社/メーカー: オンキヨー
- 発売日: 2015/11/30
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
ヘッドホンでは合わないのですがイヤホン用のDAPです。
音は鮮烈ですが荒れ気味です。
【小型】即納OK 正規国内代理店保証対応 HD650 ゼンハイザー SENNHEISER オープンエア型ダイナミックヘッドフォン【楽天あんしん延長保証対象】★ 価格:47,480円 |
【レビュー】 HLSX BK35
総合評価△
HLSX 808イヤホンの開発元であるHLSXのBK35となります。
1DD+1BAのハイブリッドドライバで、価格は少し高めのイヤホンとなります。
完全な中低音寄りのイヤホンで、低域と同時に中域のエネルギー感もかなり強めとなっています。
【HLSX BK35スペック】
■モデルナンバー HLSX BK35
■ドライバー 1DD/10㎜+1BA
■感度112db
■インピーダンス32Ω
■周波数特性8khz-25000hz
■コード長1.2メートル
【HLSX BK35音質】
帯域バランスは中低音寄りです。
ボーカル域はかなり前に出てきます。
音はクリアで明るい傾向がありますが、最大の欠点はボーカル域のエッジが立ち気味なところとなります。
全体的にはかなり低音よりの音作りとなりますが、低音のバランスはDZAT DR20と同程度のバランスとなっています。
要するに結構強めです。
低音側の輪郭と重低音はレベルが高く、そういう意味では階調表現もよく描く優秀さがあります。
ドライバーもさすがに1DD+1BAなので低域が被っても破綻しづらく、よく出来ていると感じますが、おそらく主にBAドライバ側の問題で損をしているイヤホンです。
【HLSX BK35まとめ】
決して悪い物ではありませんが、このバランスでこの音ならDZAT DR20で十分でしょうし、DR20の方がボーカル帯域が優秀です。
そういう意味では悪い物では無いが価格ほどの価値のある音が出ているとは言いがたく、細かなとこを見ていくとレベルか高いイヤホンとは云いにくいところがあります。
もともとイヤホンの差は似たような帯域バランスの場合、細かな差となる場合が多く、神経質にチェックする必要が出てきますが、こちらのBK35は細かくテストしていくとアラが出てくるイヤホンであるといえます。
総じてあえて好んで使う理由は無いといえます。
参考記事
catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
Woting Audio HLSX BK35 トリプルドライバ 1BA+1DD ダイナミック ハイファイ・ステレオ・ヘッドセット (木製の色)
- 出版社/メーカー: HLSX
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
【レビュー】 OSTRAY KC06A
総合評価△
OSTRAY KC06Aとなりますので、KC06を中低音寄りにチューニングしたバージョンとなります。
特段の理由が無ければ06Aのこちらのバージョンを購入した方がいいでしょう。
06Aでもまだエネルギーが中高音寄りなので、無印06では低域好きな方には物足りなさもあると思います。
いつも紹介しているイヤホンの価格帯からすると「高額」な製品で、音だけで云えばそれだけの価値は感じますが、その方向性はかなり特徴的で分析的な傾向があります。
音を聞いて「凄い」とはいえますが、音楽全体のバランスやエッジも含めて総合的に考えていく事を考えさせられるイヤホンでもあると感じています。
【OSTRAY KC06Aスペック】
■モデルナンバー OSTRAY KC06A
■ドライバー 1DD/10㎜
■感度110db
■インピーダンス16Ω
■周波数特性20khz-20000hz
■コード長1.2メートル
生体複合膜ドライバーというよく分からないドライバーを搭載しています。
【KC06A音質】
とても分離がよく明瞭で解析的な音に特徴があるイヤホンです。
音の分離感は凄まじいレベルで、この点では搭載された1Dドライバーの高い能力を感じさせられます。
ハイスピードな音の傾向もあり、音の立ち上がりも速い感覚です。
予想から云えば振動板が軽いものを使っている可能性があります。
中域のクリアな音は特筆物で、さすがに価格の高さを反映した製品だと思います。
またボーカルがかなり前に出ます。
中域と高域のエッジはかなり立ち気味で、ほとんど鋭角と云ってもしまっても良いでしょう。
ですが、クリアながらもボーカル域の音のエッジのきつさは問題が多いと感じています。
こちらは帯域バランスが中高音に寄り気味で、低音も出てはいるのですが緩く質も悪いため、低音域は全体的に評価は低くなります。
06Aということで低音強化の方向に改善が図られてはいますが、それでもまだ腰高な音がすると感じます。
【OSTRAY KC06Aまとめ】
このイヤホンの音の明瞭さは衝撃的なレベルではあるのですが、クールにもかかわらず分析的に音を聞くという点だけにかかわらず、それなりに明るく楽しく聴けるのはメリットなのですが、音が荒れているのでかなり「疲れる」イヤホンです。
ただこれだけは云っておきますが、さすがに3000円以下のイヤホンとは音の明瞭さにおいてレベルが違うことは事実です。
やはりこのイヤホンの最大の問題は「音が痛い」という点で、中高音域のエッジがキツすぎるのが難点です。
ドライバーも音を上げやすく、特に重低音と低音が被るとその傾向が強くなります。
また、デメリットというわけではありませんが、このイヤホンを聴いた後では他のイヤホンが「鈍って聞こえる」という状態になるのが辛いと云えばつらいかもしれません。
とても中高音域が明晰な音で驚くべきイヤホンと云うことになり、さすがに安いイヤホンとは違うというところですが、エッジの尖りをどう考えるかという点はやはり無視できません。
このエッジの鋭さだけで云えば欠陥に近い出来映えでもあるので、個々の音だけで云えば解像感が高く輪郭は尖っているが、音楽全体として聴くのならかなり苦しいところがあるのも事実だと思います。
このイヤホンは標準的な音とは違う妙な音質傾向もまた感じられるので、高音質かどうかと言われるとハイエンド品によくありがちな「特性の狂った音」ともいえます。
興味があるのなら1度は聴いておくべきイヤホンとして評価しておきますが、ドライバーかハウジングに問題がある音ということで点数は低めです。
こちらにアンプを合わせるのなら輪郭の優しい真空管アンプやアナログ系が合うでしょう。
追記
生体複合膜ドライバーなどと云う出自のよく分からないドライバーを搭載しているせいでこのどうにもならない音の由来がドライバー側なのかハウジング側なのか判定できません。
どちらにしろ特性の狂った特徴的な音がする事には変わりはありませんが・・・
【コラム】 イヤホンチェックの基本的な考え方について
【コラム】 イヤホンのメリットとデメリット
僕はスピーカーの世界にいたのが長いのですが、そこから順当にヘッドホンへと渡り歩き、やっとイヤホンまで下ってきました。
最近は格安のイヤホンばかり聴いていますが、そこでちょっと気がついたことがあるのでいろいろと書き散らかしておきます。
【イヤホンの音はグレードが低い】
残念ながらもともとの音のグレードが低いと云うことはどうにもしようがありません。
例えばパワーアンプなどの音色も出にくいところがありますし、荒れたデジタルDAPを使用してもその尖った部分などは表現しにくいところが見受けられます。
基本的にこう言った微妙な差を描き分けるにはどうも振動板は大きければ大きい方が良いみたいな気がしています。
つまり、イヤホンよりはヘッドホンの方が音にシビアですし、ヘッドホンよりもスピーカーの方が更にシビアな音がします。
例えばDACの差などを判定するにはどうしてもスピーカーで無いとわかりにくいことが多いです。
なのでイヤホンではアンプにこだわっても価格ほどの差は出ないことが多く、お金をかけてもそれに見合うだけの差はありません。
電源部の差で低域は違いがさすがに出てきますが、ヘッドホンほどには分かりません。
【イヤホンはジャンルを選ばず鳴らすことができる】
イヤホンの音はシビアな描き訳が難しいと書きましたが、この事と連動してイヤホンはあまりジャンルを選ばず「そこそこ平均的に鳴ってしまう」という特性があります。
実はスピーカーというのはそれぞれ得意ジャンルがあり、そのジャンルから外れると途端に鳴らしにくくなるという傾向が出てきます。
ですが、水準の低いダメなスピーカーほど「アコースティック系の音数の少ない静かな曲」だけはうまく鳴らせたりします。
こういうスピーカを購入すると綺麗に鳴るという理由で家のCDはアコースティック系の曲ばかりになったりするわけです。
僕も今までいろいろなスピーカーを鳴らしてきましたが、ある水準以上のグレードの高いスピーカーは「得意分野はあるが、それ以外のジャンルでも平均的に鳴らすことができる」という事に気がつきました。
スピーカーの鳴らす音のレベルが高ければ高いほどそういった傾向が出てきます。
特に鳴らしにくいジャンルとして「ROCK」や「JPOP」などスピーカーでうまく鳴らすのは結構難しいと感じていますが、そういった難易度の高いジャンルでもそこそこ鳴ってしまうと云うのがグレードの高いスピーカーの証でもあるといえます。
たいしてアコースティック系の静かな曲はどんなダメスピーカでもたいていの場合そこそこ鳴ってしまうと云うことはいえます。
ではヘッドホンはどうでしょうか?
ヘッドホンも振動板がイヤホンよりも大きいのでジャンルに対してはシビアだと思います。
ですがスピーカーほど厳しい一面はありません。
ROCKなどを楽しく聴きたい場合はへたなスピーカーを買うよりもヘッドホンの合うものを見つけて聴いた方がだいぶ簡単に鳴らすことができます。
ところがイヤホンは、スピーカーやヘッドホンと比較すると「ジャンルをあまり選ばない」ということはいえます。
特に僕がスピーカーなどで苦労してきましたので、イヤホンを聴いてもジャンルを選ばない汎用性の高さというか、そういった細かなことに神経質では無い、という一面を特に強く感じています。
むしろイヤホンの利点のひとつだと思っているくらいです。
と云う訳なので、イヤホンはあまり得意ジャンルを分けても意味が無いと感じています。
何でもそこそこ鳴ってしまうのがイヤホンの良いところでメリットのひとつです。
【イヤホンは低域が出過ぎるものが多い】
イヤホンのもうひとつのメリットに「低音がよく出る」と云うことが上げられます。
スピーカーをやってきた人間は皆「低音が出ない」ということでさんざん悩んでセッティングしてきています。
質の良い低音を聞こうと思えばどうしてもバカでかいスピーカーを用意するしか方法が無く、ウーファーは単純に大きければ大きい方が質が良いです。
ですがこうなると今度は巨大なパワーアンプを用意する必要があり、もう泥沼に陥ります。
ところがイヤホンは1000円程度のものでも「低音が出すぎて困る」という場面によく出くわします。
例えばこのブログでもこき下ろしたジリコンなどもある特定の帯域の低音は素晴らしい質感を持っていたりするわけです。
こういう音をスピーカーで聴こうと思うとそれ相当の覚悟が無いと聴けないでしょう。
しかもスピーカーではなかなか出すことができない重低音なども比較的簡単に出てきます。
これはイヤホンの良いところのひとつです。
【イヤホンに定位はない】
イヤホンには分離はあっても定位はありません。
左右の耳に嵌めるものなのでスピーカーのように眼前にオーケストラが「見える」などと云う意味での定位はある筈がありません。
もし本当にそんな物を感じるとしたら脳内で処理された単なる都合の良い思い込みです。
右で鳴っているのか左に位置しているのか、それとも中央付近かという位の意味でしかイヤホンの定位はありません。
これはヘッドホンでも同じ事です。
それが証拠にイヤホンで「定位」を語る人は「帯域バランス」をあまり語りません。
帯域バランスが崩れているのに「定位が良い」など云う事はあり得ないのです。
帯域バランスが崩れるというのは例えば「低音だけが異様に強い」などバランスが適正で無いことを指します。
この状態であればその強い突出した帯域を持つ楽器だけが前に出てきてしまうからです。横一列に並んだ状態で演奏していることを考えてみて下さい。
本来は左右一列に並んで聞こえてくるべき定位の良い状態が、例えば低域が強ければその帯域を持った楽器の音だけが前に出てきてしまいます。
これは適正では無く、また定位が良いとはいえません。
そういうわけで、イヤホンでの定位はあまり重要ではありませんが、定位を語るためには最低でも帯域バランスは適正である必要があり、これは全ての音楽を鳴らすために前提となる事だと僕は思っています。
【レビュー】 UiiSii GT800
総合評価〇
UiiSiiというこれまた玄人好みのメーカーのイヤホンです。
GT800というモデルナンバーとなります。
ハウジングからコード1本までとても高い品質を維持していて、中華というのを疑いたくなるようなクオリティーです。
【UiiSii GT800スペック】
■モデルナンバー UiiSii GT800
■ドライバー 1DD/12㎜
■感度100db
■インピーダンス32Ω
■周波数特性20khz-20000hz
■コード長1.2メートル
【UiiSii GT800音質】
ハッキリもうし上げるとかなりの個性派の音質です。
中高音域のレベルの高さはトップクラスに並ぶ物で、底力は相当なイヤホンとなります。
音質の特徴は、厚みのある音にあります。
分厚く躍動感があり、しかもパワーのあるドライバーを搭載しているようで音数の多いソースでもまったく破綻すること無く鳴らしてくるのには驚きます。
残念な部分は「帯域バランスが少しおかしい」ところがあり、このGT800の特徴のひとつでもあるのですが、重低音域と低域の下側だけがかなり持ち上がっています。
これは他のイヤホンには見られない部分で、重低音が出ないイヤホンはあってもこの部分が突出しているイヤホンというのはあまり聞いたことがありません。
おそらく厚みのある音の主因はこの音楽を支える低音域の過剰なパワーではないかと思います。
この為、かなりピラミッド型のどっしりとした音楽を鳴らしてくるのですが、正確かどうかと言われるとかなりの疑問符が出てきます。
低音部分の輪郭はかなり緩みますが、中域の質感はとても高いです。
音は明るめで、ドライバーはニュートラル、音のエッジはかなりマイルドで好感が持てます。音の分離も1DDの標準を超えています。
【UiiSii GT800まとめ】
重低音部分と低域の下の方の帯域バランスが正確では無いので、モニター系の音の出方はしません。
ですが、不正確ではあると認めた上で、このイヤホンの中高音域は高い価値があります。
重低音多めのソースでもまったく破綻すること無くドライバーが動作するところ、またボーカル域も高いレベルを維持していることが上げられます。
この価格でこれだけ重低音を鳴らせるイヤホンは他に聴いたことがなく、低音に定評のあるジリコンなどよりもずっと素晴らしいです。
かなり低音よりのエネルギーバランスなので本来なら評価は△になるのですが、このバランスの悪さという一点で評価を下げるのは忍びなく、破綻しないとドライバーと音の厚み、中域の質感を高く評価して〇としておきます。
聴いていてかなり楽しい部類のイヤホンで低域の下側のエネルギーがもう少し絞られていたら・・・と思うと残念です。
とにかく中高音域のレベルは高く、いつもとは違った個性的な1本として所有しておきたいイヤホンのひとつではあります。
Uiisii イヤホン、ノイズキャンセル、絡まり防止、マイク搭載、MP3/MP4/MP5プレーヤー/スマートホン/タブレット/ノートパソコン等に対応 GT800 (ピンク)
- 出版社/メーカー: Uiisii
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
【レビュー】 Astrotec AM700 (VGP 2015summer受賞モデル)
総合評価△
Astrotec AM700です。
結構有名なVGPの2015年入賞モデルとなります。
これを知ったときに最近は中華イヤホンも賞の末席とはいえ入賞していることに感慨を覚えました。
このVGPという賞は以前、発売前のモデルに「金賞」を与え話題になり、僕はこのモデルの発売後すぐに音を聞きに行きましたがちょっと首をかしげることなどがあったため個人的に権威は感じませんが、誰でも知っている有名な賞であることは事実です。
アルミ削り出しのハウジングで丸っこいフォルムが特徴的なイヤホンです。
外観のクオリティは高く、価格並みの質感はあります。
【Astrotec AM700 スペック】
■モデルナンバー AM700
■ドライバー 1DD/9.8㎜
■感度106db
■インピーダンス不明
■周波数特性10khz-27000hz
■コード長1.2メートル
感度が高めのイヤホンなのでアンプによってはノイズが気になります。
【Astrotec AM700 音質】
基本的な音質は躍動感があり、明るめの音です。
柔らかい音なのですがエッジはマイルド気味で好感が持てます。
このイヤホンの最も問題なのは「低音の量がちょっと少なく、特に重低音がほとんど出ない」と云うことになります。
この為、帯域バランスが中高音寄りになり、明るい音と相まって腰高な音楽に聞こえます。
ボーカル域のクオリティは結構質が高く、ウォームな音質で優しく聞こえます。
【Astrotec AM700 まとめ】
どうしてこの音でVGPが受賞できるのかというと疑問がぬぐえませんが、低音好きな方が選ぶものではありません。
帯域バランス的にも適正とは言いがたく、低音多めのソースを流すとスカスカになります。
音質はこのままでバランス的にもう少し低音がでてくれればまだ良かったのですが、とにかく低音域の量と質にちょっと問題を感じるイヤホンです。
低音多めのソースを鳴らすと結構聞こえてこない音があり、問題が多いでしょう。
Astrotec イヤホン カナル型 密閉型 有線イヤホン HIFI重低音 高音質 AM700 シルバー「VGP 2015 SUMMER 受賞」モデル 日本語説明書付き
- 出版社/メーカー: Astrotec
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る