【レビュー】 OSTRAY KC06A
総合評価△
OSTRAY KC06Aとなりますので、KC06を中低音寄りにチューニングしたバージョンとなります。
特段の理由が無ければ06Aのこちらのバージョンを購入した方がいいでしょう。
06Aでもまだエネルギーが中高音寄りなので、無印06では低域好きな方には物足りなさもあると思います。
いつも紹介しているイヤホンの価格帯からすると「高額」な製品で、音だけで云えばそれだけの価値は感じますが、その方向性はかなり特徴的で分析的な傾向があります。
音を聞いて「凄い」とはいえますが、音楽全体のバランスやエッジも含めて総合的に考えていく事を考えさせられるイヤホンでもあると感じています。
【OSTRAY KC06Aスペック】
■モデルナンバー OSTRAY KC06A
■ドライバー 1DD/10㎜
■感度110db
■インピーダンス16Ω
■周波数特性20khz-20000hz
■コード長1.2メートル
生体複合膜ドライバーというよく分からないドライバーを搭載しています。
【KC06A音質】
とても分離がよく明瞭で解析的な音に特徴があるイヤホンです。
音の分離感は凄まじいレベルで、この点では搭載された1Dドライバーの高い能力を感じさせられます。
ハイスピードな音の傾向もあり、音の立ち上がりも速い感覚です。
予想から云えば振動板が軽いものを使っている可能性があります。
中域のクリアな音は特筆物で、さすがに価格の高さを反映した製品だと思います。
またボーカルがかなり前に出ます。
中域と高域のエッジはかなり立ち気味で、ほとんど鋭角と云ってもしまっても良いでしょう。
ですが、クリアながらもボーカル域の音のエッジのきつさは問題が多いと感じています。
こちらは帯域バランスが中高音に寄り気味で、低音も出てはいるのですが緩く質も悪いため、低音域は全体的に評価は低くなります。
06Aということで低音強化の方向に改善が図られてはいますが、それでもまだ腰高な音がすると感じます。
【OSTRAY KC06Aまとめ】
このイヤホンの音の明瞭さは衝撃的なレベルではあるのですが、クールにもかかわらず分析的に音を聞くという点だけにかかわらず、それなりに明るく楽しく聴けるのはメリットなのですが、音が荒れているのでかなり「疲れる」イヤホンです。
ただこれだけは云っておきますが、さすがに3000円以下のイヤホンとは音の明瞭さにおいてレベルが違うことは事実です。
やはりこのイヤホンの最大の問題は「音が痛い」という点で、中高音域のエッジがキツすぎるのが難点です。
ドライバーも音を上げやすく、特に重低音と低音が被るとその傾向が強くなります。
また、デメリットというわけではありませんが、このイヤホンを聴いた後では他のイヤホンが「鈍って聞こえる」という状態になるのが辛いと云えばつらいかもしれません。
とても中高音域が明晰な音で驚くべきイヤホンと云うことになり、さすがに安いイヤホンとは違うというところですが、エッジの尖りをどう考えるかという点はやはり無視できません。
このエッジの鋭さだけで云えば欠陥に近い出来映えでもあるので、個々の音だけで云えば解像感が高く輪郭は尖っているが、音楽全体として聴くのならかなり苦しいところがあるのも事実だと思います。
このイヤホンは標準的な音とは違う妙な音質傾向もまた感じられるので、高音質かどうかと言われるとハイエンド品によくありがちな「特性の狂った音」ともいえます。
興味があるのなら1度は聴いておくべきイヤホンとして評価しておきますが、ドライバーかハウジングに問題がある音ということで点数は低めです。
こちらにアンプを合わせるのなら輪郭の優しい真空管アンプやアナログ系が合うでしょう。
追記
生体複合膜ドライバーなどと云う出自のよく分からないドライバーを搭載しているせいでこのどうにもならない音の由来がドライバー側なのかハウジング側なのか判定できません。
どちらにしろ特性の狂った特徴的な音がする事には変わりはありませんが・・・