【コラム】 ケーブルで音が変わる? 高額ケーブル詐欺
もしあなたが「ケーブルで音が変わる」などと本気で思っているのなら、おそらくどのイヤホンやヘッドホンを買ってもすべて一緒なので、適当なものをひとつ買えばそれで済んでしまいます。
なぜならあなたは「音を脳内で勝手に都合良く変換できる才能」の持ち主なので、何を買っても一緒です。
どのイヤホンを購入しても「自分に都合の良い聞きたい音が聞ける」でしょうから、選ぶ必要がどこにある?と云いたいくらいです。
おそらく「木製イヤホン」を買えば「木の暖かいぬくもり」とやらが聞こえてくるでしょうし、ベリリウムの金属製振動板のイヤホンを買えば「硬質な音」が聞こえてくるはずです。
銀のケーブルを使えば「深みのある音」がするでしょうし、99.9%のOFC銅線のケーブルを買えば「純度の高い音」にきこえるでしょう。
ですが、そんなものは全て幻想です。
一部のカルトチックなオーディオマニアとオーディオ業界が作り出した「飯の種」に過ぎません。
騙されて養分になりたいのならそれを止めたりはしません。
ある意味、誰にも迷惑をかけていないのでどうでも良いことです。
ですが、SNSで拡散するのはどうか辞めていただきたい。
これは詐欺の片棒を担いでいることと一緒なので看過できません。
特に経験の少ない初心者を騙す行為になります。
これをやるとピュアオーディオが衰退していったように、業界を長い目で見れば衰退させる行為です。
閑話休題。
さて、ケーブルで音は変わるかと云う事なら、答えは簡単です。
ケーブルで音など変わりません。
変わるわけがないのです。
例えばそれを公的に証明した人は世界中に誰も居ません。
にもかかわらずSNSやネットの世界では「数え切れないほどの超人」が見受けられます。
そこのところをどうかもう一度よく考えてみてもらいたいのです。
またもっと直裁に云えば、ケーブルの大本の線材を生産できるメーカーは限られています。
販社は生産元メーカーに仕様書を書き発注を入れて作ってもらいます。
要するに「生産元が同じケーブル」が巷には溢れているわけです。
外装と太さが違うだけのものをありがたがって音が違うと考えているケースも多数にのぼっていると推測しています。
ただし、ケーブルでノイズは確かに変わるのでそこのところはキチンとさせておきたいと思います。
特に強いシールドを使ったケーブルを使うと背景が静かになりますが、細かな音が消えます。
これはケーブルの価格とは一切関係がなく、何本も適当なケーブルを買って試す意外にはありません。
もう一度云います。
ケーブルで音は変わりませんが、ケーブルに施されたシールドで細かい音が消えてしまうケースはよくあります。
これを防ぐためには「適度にウルサいケーブル」を使う方が結果的には好ましいです。
これはケーブルの価格とは一切関係ないので、手持ちのケーブルのノイズを確かめてみると良いでしょう。
ただし、一番良いのは「訳の分からないケーブル」をあまり間に挟まないことです。
注記
もう少し詳しく書くと、シールドが強すぎると細かい音がシールドに吸い取られてしまいます。
また、シールドが弱すぎると今度は細かい音がノイズに邪魔されて聞こえなくなります。
と云うわけで「適度にウルサいケーブル」が一番良いというわけです。
そういう意味でなら、ケーブル選びは結構難しい物です。
ですので初心者の方はあまり気にしないで音楽を楽しんだ方が良いと考えています。
ちなみに僕のメインのスピーカーシステムはケーブルノイズはある程度気にしていますが、ヘッドホンやイヤホンではまったくこだわりはありません。もともと解像度が高めのヘッドホン・イヤホンではそこまでこだわらなくても「細かい音が聞こえやすい」のでそんなに神経質になる必要はなかったりします。
注記2
昔、ケーブルマニア絶賛の高額ケーブルの中身を分解したらベルデンのメーター数百円のケーブルが出てきたことがありました。
当時は話題になり、検証写真なども上がっていましたが、今探してみるとブログが閉鎖されたりしています。
当時絶賛していたケーブルマニアはいったい何を聞いていたのでしょう?
深く疑問です。