【2019】クソイヤホンオブザイヤー artio CR-M1
今年も遂に毎年恒例のクソイヤホンオブザイヤーの季節がやって参りました。
この1本を選ぶのに心血を注いでいるわけですが、今年は候補が2つほど。
年々レベルが上がっているのか、簡単には受賞できません。
ですが、まぁ、ダントツというか何というかで・・・今どきこんなしょうも無いイヤホンを出すか?
それも1万以上で・・・。
バカなんじゃねえのと思いつつ、コレはもう音楽でもなければ音でも無いなと感じ入りました。
オーディオの長い人はこういうものに決して騙されないのですが、スピーカーの音を再現したという訳の分からないキャッチコピーとともに登場したartioのCR-M1。
読者様から評価して欲しいとのことでお借りしたものですが、あまりの酷さに泣きながらゴミ箱に捨てようかと思い、すんでの所で思いとどまりお返し致しました。
このレビューはノート版のものですが、お借りした人に許可を得てそのままこちらの無料版の方で一般公開させていただきます。
それではお楽しみくださいませ。
ちなみに12月にはこちらのイヤホンは「全国一般販売」が盛大に開始されます。
Eイヤで2019年11月22日から販売される日本のartioというメーカーが作った「スピーカーのような聞こえ方を再現する」というイヤホンです。
正直、あまり興味はありませんでしたが、読者の方がクラウドファンディングへ参加したので出来上がったイヤホンを判断して欲しいとのことで送ってくださいました。
【artio CR-M1スペック】
■モデルナンバー artio CR-M1
■ドライバー 1DD/10mm
■感度106db
■インピーダンス30Ω
■周波数特性 20Hz ~ 20Hz
ハウジングがかなり大きめです。装着感は悪くありませんが、このイヤホンはそういった事はどうでも良く、出てくる音がどうなのかがすべてでしょう。
スピーカーの音を再現する、という意味不明なうたい文句と共に登場しましたが、普通に考えれば「情弱」というか素人さんを騙す気満々の感じがいやらしい。
実装された音響技術(爆笑)は実際の音で判断したいと思います。
【artio CR-M1音質】
まず帯域バランスは異常な低域ブースト
それもメチャクチャな低音でブースト量は+10程度かと。もはや比較する物がないほどの異常な低音ブーストなので正確に判断できませんが、中華でもこれほどブーストされたデタラメなバランスのイヤホンは見たことがありません。
その低域もまるでデタラメ。
階調は不明瞭でエッジは熔けて無くなり、ただただ低音らしきものが異常なブーストで出てくるだけとなります。
基本的な傾向はウォーム。
音にクリア感はなく曇ったような音で明瞭度が極めて低い。
帯域バランス的に低域の異常ブーストのおかげでボーカルが奥に引っ込みます。
それから音の出方や音色が普通のイヤホンのそれではなく、中高音域は一聴するとキレイめに聞こえはするのですが、よく聞けば聞くほど「まともなイヤホンの音」ではなく、まるでおかしい。他の一般的なイヤホンの音の出方からかけ離れた音がします。
特にピアノの音などきくと酷い。
これでは素人さんを騙した、と云われても仕方がないでしょう。一昔前のゲーミングヘッドセットのような音で、もはやこれは音楽では無いと云えます。
敢えて言うのならDSPを使ったような音でまともな音ではありません。全くの不自然な音だと言えるでしょう。
【artio CR-M1まとめ】
スピーカーの音場を仮想的に再現したなどと宣伝するのが最初から怪しさ満点であり、こういった文句を売り文句として使った時点で「まともなイヤホン」とはとても言いがたいと言えます。
最初にこのイヤホンは読者の方から「クラウドファンディング」に参加しました。というのは聞いていて「とても楽しみにしていた」のは知っていたのですが、僕としては「日本製で無名メーカー、しかも訳の分からない技術に1万以上の価格」普通に考えれば怪しすぎる、と申し上げました。
おそらくそう言われて気分が良いわけはなかったのですが、まともな技術やチューニングを持ったメーカーがこのようなまるでDSP技術をつかったようなイヤホンなど販売するわけがなく、デタラメも良いところ。
音もまるでデタラメで、特にピアノの音など原音とかけ離れたもので単におかしいと云えます。
帯域バランスも完全にデタラメ。低音のブースト量が並の中華を超えていて日本イヤホンではこれまで聞いた中ではもっとも低音量が多く、もはやこれは音楽ではないといえます。
このartioと云うメーカーはとてもまともなメーカーではなく、仮想5.1chのゲーミングヘッドホンでも作った方がまだ良かったかも知れません。ゲーミングヘッドホンならこれほどデタラメな代物でもそれほど文句は出なかったでしょう。
総合評価✖
不自然な音で低音もめったやたらに質が悪く超絶ブースト気味。デタラメもいいところ。これは音ではない。こんなものを聞いていたら耳が腐る。結局のところ、このイヤホンを聴いて宇宙の広さについて思いを巡らせ、人生ってなんだろうなと半笑いで人に問いかける、そんなオシャレなイヤホンです。
追記
音の悪さだけで云えばwestone30の方が一聴して酷いのですが、こちらのM1の方は経験の浅い人は低音以外は聞けないことはありません。
DSPのような音なのでよく聞くと「おかしい」という事になり、音の出方ひとつ取っても普通のイヤホンのそれではなく、不自然もいいところ。
ただこれを2019年に新発売するというのがとてもオシャレ。
オシャレすぎて2019年クソイヤホンオブザイヤーの筆頭候補です。
うーん、artioの開発者というかサウンドエンジニアは耳が聞こえているのでしょうか?それともこれだけがデタラメなのでしょうか
追記
意外に反響があったので更に思うことを書いておきます。無料版でも書きましたが、この技術も「亡霊」のようなもので定期的に忘れた頃「新技術」という触れ込みで現れるので、オーディオの長い人は「またか」と云う感想を持つと思います。
僕が初めて見たのはもう10年以上前だとおもいますが、その時は「ヘッドホンアンプ」に使われていました。
左右のチャンネルに音を少しずつ流し込むのでどのヘッドホンにも立体感が出る、と云う触れ込みだったはずなのでたぶん同じようなものです。
当然まったく売れませんでした。
雑誌で見たのですが遂に実物にはお目にかかれず、あっという間に消えたと思います。
何度も言っていますが、オーディオというのは研究され尽くされているので新技術等と云うものはまず持ってありません。
そもそもartioの云うように音の位相や帯域やレベルをいじってしまえばそれはもうある意味単なるAVアンプのようなものであって、当然音は劣化します。
AVアンプの音が最近良くなっているのは「そもそも最初からロスレス音源をそれ向けに作り込んでいる」からであって、単なる2chの音をいじくれば音は単純に劣化するだけです。
なので音が綺麗になるようにいじくって誤魔化すわけです。
ですので経験のある人が聴けば当然のことながら「不自然さ」を感じるわけで・・・一般的なイヤホンとはかけ離れた鳴り方になってしまうのも当然と言えましょう。それに音源はそもそも2ch向けのものを無理にいじるわけで良くなる道理がありません。
HUAWEIのスマホやタブレットをお持ちの方がいればDSPであるSWSモードというのが実装されているのですが、それをONにすると途端に綺麗で不自然な音になるのが分かると思います。アンドロイドスマホも素の音がメチャクチャ悪いのが普通なので、DSPを入れて誤魔化して売っているわけです。
こちらのM1も似たような音です。少し効果が弱めになっている印象があるとは言え、普通の音ではありません。
オーディオの歴史を知る、と云うことは2度騙されることがなくなるのでしっかりと憶えておきましょう。