【コラム】 中華イヤホン評価とテスト方法、リファレンスについて。
サイトを立ち上げてからほぼ1ヶ月が経過したわけですが、紹介する中華イヤホンのほとんどが「激安」価格でもあり、結構お手軽お気軽に変える価格帯のものを中心に据えてきましたが、これはひとえに僕のポリシーによるものです。
中華で高額なイヤホンを購入するのなら、何も中華である必要はほとんど無いような気がするわけで、単なる中華メーカーの「養分」と化してしまう傾向が出てくると僕は考えています。
イヤホン如きに数万円投資してもそれに見合うリターンというのがどうしても想像できず、特に格安品に限って紹介してきたわけです。
このあたりで一度振り返って「評価のあり方」をまとめておこうと考えましたので、何かの参考にしてください。
【テスト方法について】
途中から「ボーカルテスト」をより厳密に行うためのテスト曲を増やしたので、今のところ「合計2曲」がテストソースとなっています。
これは厳密に選定したので、基本的にはこの2曲だけで音質や帯域バランスを判定しています。
主にチェックしているのは以下の項目となります。
- ボーカルの質
- 各帯域のエッジ
- サ行の引きずり
- 低音の出方
- 全体の音質
- 帯域バランス
今後のテストですが、暫定的に一部のイヤホンの高域の周波数特性が実質的にどこまで出ているのか?という点をチェックするかどうか迷っています。
というのもダイナミックドライバ1発の方が高域が詰まらないのですが、1BAドライバはその性質上、どうしても ダイナミックドライバと比較すると上が頭打ちになるのが早いからです。これは聴覚上のテストでも確認しています。
音楽を聴くと言うことにおいて、高域が詰まっても特に問題なく聞けてしまうので、ハッキリ申し上げて本質的に重要なことでは無いと感じています。
元々高域はダラダラと下がっていくものなので、この頭打ちが少しくらい早くても耳で聞いて判別できるかはまた別なことだとも思います。
スピーカーなどでは「高域」はほぼ全部素材と駆動方式で音色は決まってしまいますが、イヤホンはどれを聞いてもそこまでシビアに音色の違いは描き分けないので、高域側はもう少しテストしてからチェックソースを導入するかどうか考えてみます。
【評価について】
基本的に✖評価は「ゴミに近い」と思っていただいて構いません。
△評価は「普通」です。これはいろいろな意味で一芸に秀でているイヤホンが多いと考えてください。ですので、購入するのなら△以上を目安にしてください。
〇評価のイヤホンに関しては特に一芸に秀でていたり、全体的に優れていたりと、買う価値を感じたものに付けています。
残念ながら、評価は随時変更しています。
といっても大幅に変更することはありませんが、いろいろなイヤホンをテストしているうちにバランスや音質などを再評価することはよくあります。
これはその日のコンディションで音が変わって聞こえたり、更に聞き込みを続けて居るうちに判断を変える場合があるからです。
音響機器の場合はこういったことがよくあるのは避けることが出来ません。
【リファレンス機器について】
いまのところHLSX808をリファレンスとして使用しています。
代用品としてKZ ATRもリファレンスとして使用することができます。
今のところ、この2つのうちのどちらかを持っていればモニター的な音の判定基準に使っても問題はありません。
DAPはDP-X1を使用していますが、デジタルなので音はあまり良いものではないです。
特に音の荒れ方が酷いのですが、昨今のデジタルDAPの音を代表するものとしてリファレンスとしています。
これはX1の問題と云うよりも他のデジタルDAPでも同じように音はダメ、なのですが今多くの方がプレイヤーとして使っているのはデジタルでしょうから、致し方なく推奨しているものです。
少なくともデジタルにありがちなノイズと低音の問題は見かけ上一応クリアしているので、今のところの判定機器としてX1を導入していると考えてください。
少なくともこれはイヤホン専用です。それでも少し厳しいくらいですが、それ以上の判定には音が悪すぎて使えません。
ちなみに良い音を追求するつもりならX1を含めたデジタルDAPではどうしてもエッジがキツくなるので高いレベルの音には「絶対に」たどり着きません。
もっとハッキリ言えばエッジどころか音自体が荒れるので・・・
なので例えば10万のイヤホンを購入しても送り出しがデジタルDAPではその音の限界はどうしても低くならざるを得ません。
良い音を目指すというのなら、DAC以降にアナログ系の機器を間に噛ませてそれで何とかいけるかどうかと云うのが本当のところです。
別にデジタルを全面的に否定しているわけではありませんが、デジタルの場合、そうとうに設計をうまくやらないと「デジタルの問題」を解決するのは難しいと感じています。ノイズとD級スイッチング電源による低音の問題、また音の荒れ、このあたりを解決するにはメーカー側の見識とコストのかけ方が問われていると思います。
もうひとつ言っておきますが、いまのDACはもうどれを選んでもほとんど音は変わりません。少なくともイヤホンやヘッドホン程度では判定はかなり難しいです。
なので、DACに投資してもそれに見合うリターンはありません。いまどきのDACで基音が変わるなどと思っているのならもう一度よく音を聞いた方が良いです。
DACでは倍音のコントロールと微妙なサウンドキャラクターのコントロールを行いますが、最もわかりやすくいうとこれはライブ盤などでコンサートホールでの座席位置の微調整などを主にスピーカーで行うものです。
最後に行っておきますが基音が変化してしまうようなDACは欠陥品です。
安物にはたまにあるようなのでその点だけは要注意です。
要するに低音が増えたり減ったりするようなものがあればそれはもうDACではなく、単なるイコライザです。DACの仕事はそんなことではありません。
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【レビュー】 Inateck BH1105M 木製イヤホン
総合評価✖
inateckの木製ハウジング・イヤホンBH1105Mです。
外観を見る限りは木のテクスチャーなどを貼り付けたものではなく、キチンと木製のハウジングのようです。
ほとんど無名のイヤホンにもかかわらずAmazonでは意外な高評価を勝ち得ています。
価格はわずか1000円ほどで木製ハウジング搭載の実力がどの程度なのか聞いてみました。
このイヤホンの出自はおそらくどこかのOEMだと思うのですが、元のイヤホンにたどり着かずスペック共々不明となります。
1000円でダブルドライバー搭載品で木製ハウジングというのが大きな特徴でしょう。ポートは背面に1つ設置されています。
【BH1105Mスペック】
【BH1105M音質】
木製イヤホンの「ぬくもり」などと云うつもりはありませんが、基本的に音質はスーパーウォームとなっています。
しかも帯域バランスは低域がかなり強めですが、問題なのは籠もったような音なので音自体にヴェールが2枚くらいかかったような雑味のある酷い音がします。
エッジはかなり丸まってしまい、なおかつ解像感が驚くほど低く、評価に値する以前の音だと思います。
特にこのイヤホンは音量を下げるとその傾向が強まるので、音量は上げ気味で使用するのが基本となりますが、間違って買ってしまったというのでもなければわざわざこちらを使用する意味がありません。
HI-FIとかウォームな音などという以前の問題で、こちらのイヤホンは欠陥品レベルの音だと思います。
真剣に聞きこむような音ではない事は確かだと思います。
【BH1105Mまとめ】
音はほとんど「籠もり」に近く、とてもではないですが「評価する以前の音」と云わざるを得ません。ギリギリ籠もってないといえるレベルですが、ソースによっては「籠もる」という事になるでしょう。
そもそもがかなり酷い音質でレベルはかなり低くく、唯一なんとか聞けるのはアコースティック系のボーカルのみだと思われます。
初期の頃の中華格安イヤホンを彷彿とさせる音質で、当時ほどの酷さはありませんが、もはや聞けたものではないというのが本音です。
「返品」レベルの音、それがこのイヤホンの特徴となります。
一応ダブルドライバー実装と言う事ですが、おそらくこの辺りのクロスオーバーなどに問題を抱えている可能性の高い音ではないかと感じています。
【レビュー】 KZ ED3
総合評価〇
KZ ED3となります。別バージョンでyouthバージョンという青少年バージョンが売られていますが、そちらとはまったく音が違います。
youthバージョンを購入するくらいならED3のノーマルバージョンであるこちらの方が音は格段に良いと思います。
【KZ ED3スペック】
【KZ ED3音質】
KZのED3 YOUTHバージョンとの比較ではちょっと落ち着いた音質となりますが、YOUTHバージョンの音が中高音寄りであえて言えば酷すぎる音なので、それと比較するのならば落ち着いたと云うことになりますが、一般的な基準で云えば「明るめ」でニュートラルよりな音質となります。
ボーカルは一般的には前に出るタイプとなります。
ボーカルの質感が正直イマイチなのですが、KZとしては明晰感があるボーカル域を持っていますので、好ましいところだと感じます。ただしボーカル域のエッジが立ち気味なのが気になるところです。
中域のエッジの攻撃性が多少強い分、比較的に音の分離感という意味ではKZの中では優秀な方です。
低音のバランスはいつものKZで多少強めとなっています。
低音域のエッジは比較的しっかりとしているのでそれほど悪い物ではなく、ドライバーの混濁もあまり感じられません。
このあたりはKZはもちろんのこと他のイヤホンと比較的しても優秀だといえると思います。
【KZ ED3まとめ】
一言で言うのならED9とバランスや音質が近似しています。
KZの中では音が比較的に立ち気味で派手目となりますが、基本的な音質は一般的には明るめの方向性と云う事になると思います。
ボーカル域のエッジの立ち方も他のKZと比較した場合はちょっと攻撃性が有り、明瞭なので短時間の試聴向きな音質です。
KZの中では1本持っておいても損するようなことはありません。YOUTHバージョンはどうにもならない音がしていましたが、こちらはKZの中でも比較的レベルの高い音を出します。
ボーカル域の明晰さはkZの中では上位に入りますが、質感が一段落ちることが残念なところとなります。
ちなみにボーカル域だけとればED9の方が上になりますが、全体的にはED3の方が明瞭でレベルは高いと感じています。バランス的にはED9と同程度だと思います。
総じてED3はなかなか分離の良い意外に良いポジションにあるイヤホンだと判定します。
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【レビュー】 JR-E107 JOYROOM
総合評価△
JOYROOMのJR-E107となります。
ハウジングはアルミ製で質感はとても良く、ハウジングが異様なまでに小さいタイプのイヤホンとなります。
イヤホン背面にポート穴がひとつ設置されていて、ここでだいぶ音の調整を行っているようです。
このイヤホンは海外で評判が良かったようなのですが、日本では早々と取り扱いがなくなってしまったものです。
【JOYROOM JR-E107スペック】
【JOYROOM JR-E107音質】
帯域バランスはすこぶる良好で、この点だけで云えば中華の標準的な帯域バランスレベルよりもかなり優秀です。
バランスという点では大きく評価しても良いと思われます。
ですが、このイヤホンは「音がつまらない」という欠点があります。
音が非常に「地味」で、華やかなところがまるでありません。
おそらく高域がハイ下がり気味の音質傾向に思えるのですが、こういう音は日本人にはあまり好まれない傾向の音です。
また全体のクリア感が足らず、どうも背面ポートから音が「抜けている」ような感じで、音にパワーがありません。
低域も表現できてはいるのですが、重低音はかなり弱く、輪郭も緩めです。
まるでオープンエアタイプのように音が抜けてしまっているので迫力がなく、全体的にも雑味が感じられます。
ボーカル域のエッジは少し立ち気味で、音質も地味な808比較でもさらに地味となり、雑味もある為あまり質が良いとはいえません。
【JOYROOM JR-E107まとめ】
珍しいことに5mmという極小ドライバーを搭載しています。
どうもこちらのイヤホンは「音が極めて地味」で、日本人が好む音作りとはちょっと方向性が違う印象です。
しかも背面ポートからの音の抜けが激しいようで、ここを手で塞ぐとちょっと華やかな音に変わりますので、やはりオープンエア並みに音を逃がして音作りしているイヤホンだと思います。
重低音も出にくいところがあるので、音に迫力がなく、元々の性質でパワーもありません。雑味も多いので、総合的に考えると✖評価まではいきませんが、△評価の普通としておきます。
帯域バランスが悪くはないので、駄作とまではいえませんが、あえて買う価値があるかというとマニア向けの音作りだと思います。
このイヤホンはどちらかと言うと海外で好まれるタイプのハイ下がり気味の音作りではないかと思われます。
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【コラム】 ケーブルで音が変わる? 高額ケーブル詐欺
もしあなたが「ケーブルで音が変わる」などと本気で思っているのなら、おそらくどのイヤホンやヘッドホンを買ってもすべて一緒なので、適当なものをひとつ買えばそれで済んでしまいます。
なぜならあなたは「音を脳内で勝手に都合良く変換できる才能」の持ち主なので、何を買っても一緒です。
どのイヤホンを購入しても「自分に都合の良い聞きたい音が聞ける」でしょうから、選ぶ必要がどこにある?と云いたいくらいです。
おそらく「木製イヤホン」を買えば「木の暖かいぬくもり」とやらが聞こえてくるでしょうし、ベリリウムの金属製振動板のイヤホンを買えば「硬質な音」が聞こえてくるはずです。
銀のケーブルを使えば「深みのある音」がするでしょうし、99.9%のOFC銅線のケーブルを買えば「純度の高い音」にきこえるでしょう。
ですが、そんなものは全て幻想です。
一部のカルトチックなオーディオマニアとオーディオ業界が作り出した「飯の種」に過ぎません。
騙されて養分になりたいのならそれを止めたりはしません。
ある意味、誰にも迷惑をかけていないのでどうでも良いことです。
ですが、SNSで拡散するのはどうか辞めていただきたい。
これは詐欺の片棒を担いでいることと一緒なので看過できません。
特に経験の少ない初心者を騙す行為になります。
これをやるとピュアオーディオが衰退していったように、業界を長い目で見れば衰退させる行為です。
閑話休題。
さて、ケーブルで音は変わるかと云う事なら、答えは簡単です。
ケーブルで音など変わりません。
変わるわけがないのです。
例えばそれを公的に証明した人は世界中に誰も居ません。
にもかかわらずSNSやネットの世界では「数え切れないほどの超人」が見受けられます。
そこのところをどうかもう一度よく考えてみてもらいたいのです。
またもっと直裁に云えば、ケーブルの大本の線材を生産できるメーカーは限られています。
販社は生産元メーカーに仕様書を書き発注を入れて作ってもらいます。
要するに「生産元が同じケーブル」が巷には溢れているわけです。
外装と太さが違うだけのものをありがたがって音が違うと考えているケースも多数にのぼっていると推測しています。
ただし、ケーブルでノイズは確かに変わるのでそこのところはキチンとさせておきたいと思います。
特に強いシールドを使ったケーブルを使うと背景が静かになりますが、細かな音が消えます。
これはケーブルの価格とは一切関係がなく、何本も適当なケーブルを買って試す意外にはありません。
もう一度云います。
ケーブルで音は変わりませんが、ケーブルに施されたシールドで細かい音が消えてしまうケースはよくあります。
これを防ぐためには「適度にウルサいケーブル」を使う方が結果的には好ましいです。
これはケーブルの価格とは一切関係ないので、手持ちのケーブルのノイズを確かめてみると良いでしょう。
ただし、一番良いのは「訳の分からないケーブル」をあまり間に挟まないことです。
注記
もう少し詳しく書くと、シールドが強すぎると細かい音がシールドに吸い取られてしまいます。
また、シールドが弱すぎると今度は細かい音がノイズに邪魔されて聞こえなくなります。
と云うわけで「適度にウルサいケーブル」が一番良いというわけです。
そういう意味でなら、ケーブル選びは結構難しい物です。
ですので初心者の方はあまり気にしないで音楽を楽しんだ方が良いと考えています。
ちなみに僕のメインのスピーカーシステムはケーブルノイズはある程度気にしていますが、ヘッドホンやイヤホンではまったくこだわりはありません。もともと解像度が高めのヘッドホン・イヤホンではそこまでこだわらなくても「細かい音が聞こえやすい」のでそんなに神経質になる必要はなかったりします。
注記2
昔、ケーブルマニア絶賛の高額ケーブルの中身を分解したらベルデンのメーター数百円のケーブルが出てきたことがありました。
当時は話題になり、検証写真なども上がっていましたが、今探してみるとブログが閉鎖されたりしています。
当時絶賛していたケーブルマニアはいったい何を聞いていたのでしょう?
深く疑問です。
【コラム】 イヤホンの低音を鳴らすために必要なアンプとは何か? 駆動力のお話し。
。
昨今ではiPhoneなどのスマホもかなり高音質になり、普通にイヤホンを聴く程度ならそうそう不足のない音を出してきます。
iPhone6Sと7の音については以前僕のメインブログである「ぶろぐなんかめんどくせえよ」で何度か語りましたが、ここ数年でiPhoneの音質は劇的に向上していますし、これはもうスマホだからと簡単にバカにできないレベルの音がしています。
通信機能のないiPod touchなら更に良い音になっていたりします。
touchがiPhoneより高音質な理由は「通話機能がない」ことで内部の高周波ノイズがなくなっているからです。
より背景の静かな音がするのがiPod touchの高音質の秘密です。
ではiPhoneが今どのレベルなのかというと、このブログやメインブログで紹介したAGPTEK M20やらIMP程度のプレイヤーならまずもってiPhoneには勝てません。
勝てない最大の理由は「電源部の作りの差」となります。
これがあるので「低音の出方」いわゆる「駆動力」が違うのです。
中高音に関してはエッジの立ち方が違ってきますが、iPhone系は比較的エッジの鋭く立ち気味な荒れた音を出してくる傾向があります。
エッジがマイルドか尖っているかは「好みの差」なのでこちらに関しては良いも悪いもなかったりしますが、低音部分の差はごくわずかでも決定的な差となります。
こちらは好みの差ではなく、単純に「性能の差」といえるからです。
これがあるのでiPhoneを聴いている方はより上位のDAPに買い換えるのなら定価ベースで5万円以上のDAPでないと意味がないと申し上げてきたわけです。
僕などもiPhoneの音を聞いて驚いてしまい、結局、確実にiPhoneを超える音ということでONKYOのDP-X1を買うハメになったくらいです。
その目的であればX1は確実にiPhoneを超えていますが、主に重要な点は2点となります。
- ■低音部の駆動力が違う
- ■背景がより静かになる
ということです。
更に云うのならばX1はその音のキャラクターとして「強烈にエッジが立って」います。
1枚ベールを剥いだようなとても鮮烈な音がするのですが、これが基本的にデジタルアンプに通底するキャラクターそのものとなります。
イヤホンをならす場合、基本的に音のグレードが低いのであまりシビアに音の描き分けができないのですが、それでもM20やiPhoneで鳴らした低音とX1の低音は明確に違います。
もちろんX1の方が低音の表現がよく出てきます。
これは電源部へのコストのかけ方の差そのものです。
ここに必要な物量を投入しているが故に、低音の階調表現などがより明確に出てきます。要するにドライバをしっかりとコントロール出来るわけです。
つまり、イヤホン程度のわずか6-10㎜程度の振動板の低音を鳴らす場合でもしっかりと鳴らしたい場合は最低でもX1クラスの電源部/パワーアンプ部の作りが必要だと云う事です。
イヤホンの低音を鳴らし切る場合に必要な駆動力が満たされている場合は、それ以上にコストをかけた作りの高価なアンプを持ち込んでも低音は既に十分に駆動されているので音の変化はありません。
それ以上必要ならば「ヘッドホンの駆動」も視野に入れる事になりますが、現状ではおそらくヘッドホンの低音は機種にもよりますが手の平サイズの薄型DAP程度ではどうやってもキチンと鳴らなかったりします。
ただし、これはより駆動力のある「真空管アンプ」などを通して低音を比較しないと「完全に低音が鳴らせていない」というのは分からなかったりします。
(ピュア出身の相当なスピーカーマニアでも単独ではそのスピーカが鳴らし切れているのかどうかは簡単に判定できません)
と云うわけでイヤホンの話しに戻りますが、最低でもイヤホンの低音を確実に駆動するためにはどうしてもX1クラスの電源部がひとつの目安になるということはいっておきます。
つまりiPhoneやM20/IMPクラスのプレイヤーではそのイヤホンの低音はまだ完全にコントロール出来ていない可能性がある、と云うことは覚えておく良いと思います。
なのでたかがイヤホンですが、その実力を発揮させるためにはやはりそれなりの駆動力のあるアンプを投入する必要がある事は忘れてはいけません。
注記
カタログスペックを見てもそのアンプの駆動力はまったくもって分かりません。駆動力は見かけのワット数ではありません。
これは実際に鳴らしてその音を聞かない限り判定できないのです。
ですが経験から言わせて頂ければ、半導体のアンプよりも真空管のアンプの方が駆動力は高い傾向があります。
しっかりと低音を鳴らせる真空管アンプの音は低音のリファレンスとして使えたりします。ただし、設計のダメな真空管アンプを持ち込むと低音の音階がなくなってしまうので、その点は真空管アンプなら何でも良いと云うことにはならないので注意して下さい。
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【レビュー】 KZ ATR 名機の系譜
総合評〇
名機KZ ATEの正統な後継機となります。
もともとATEのボーカルのレベルは今でも通用するほどの高い質感を誇りますが、ATEは低域が強すぎるという問題を抱えていました。
それを解決して登場したのが正統な後継機であるATRと云うことになります。
ATEと外観上はほぼ同じでSURE掛け専用となります。
【KZ ATRスペック】
■モデルナンバー KZ ATR
【KZ ATR音質】
一言で言い表すのなら、1DDでの格安中華イヤホン最強クラスです。
ATEから変更された箇所は主に2箇所です。
まず低域の帯域バランスが大幅に改善されました。
これを持ってATE最大の問題だった低域の過剰な演出がなりを潜め、KZの中でもトップクラスのバランスを持つことになりました。
このバランス感の良さはKZのみならず、他のイヤホンと比較してもまったく引けをとりません。
また、質の高いボーカル域が更に改善され、温かみがわずかに減りましたが明晰感が出て、分離が良くなっています。
1DDドライバとしては極限に近いハイレベルな音だと思っています。
基本的な音質はわずかに明るいウォームなドライバーを搭載し、エッジは良くまろやかで、1DDとして考えれば分離は素晴らしいといえるでしょう。
低域に関してですが、ATRよりは改善が図られましたが、他の低域の優れた再現力を持つイヤホンと比較するとエッジが緩くまだ多少のボケ感が感じられます。
【KZ ATRまとめ】
根本的な実力の高さは折り紙付きの名機です。
ハッキリ書くとHLSX808と同レベル程度の実力があります。
それでいて価格は遙かに安く、これを名機と云わずしてなんというか、と云うほどの音質の高さを誇ります。
HLSX808と音質を比較できるほどのレベルにある1DDドライバとしては唯一無二のもので、あえて書くのなら、低域の質感は808を凌ぎ、ボーカルの暖かさでも凌ぎます。
ただし、ボーカル域のエッジの柔らかさとわずかな明晰さの向上という点では808に軍配を上げておきます。
甲乙付けがたいほどの音質の高さで、これは必ず一度は聴いておきたいイヤホンです。
今リファレンスとするものがない方も中華イヤホンの判定のリファレンスとしてもつかえるほどのイヤホンなので、まったく問題なく使うことが出来ると思います。
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【レビュー】 KZ ATE
総合評価△
かつての名機であるKZ ATEとなります。
僕がイヤホンの音を真剣に聴くことになったきっかけともなった機種ですが、あれからいろいろなイヤホンを聴きましたので、再評価しておきます
sure掛け専用でプラスチックのスケルトンハウジング搭載です。
【KZ ATE スペック】
【KZ ATE 音質】
明確な問題点はいつもの低域強めのKZバランスの中でも低域ブーストといえるもので、低音域から重低音にかけての音が過剰であることが最大の問題となります。
特に60hz付近から下の過剰な演出は看過できるレベルではなく、最大の残念な点となります。
この帯域付近の過剰演出は元々低域が過剰なKZの中でも比較すると強いレベルにあると言えるでしょう。
また低域のエッジはかなり甘めな帯域があるのが残念なところとなります。
最も評価すべきは、ボーカル域の質の高さです。
当時この価格でこのレベルのボーカルが聴けると云う事では話題になるのもうなづけるでき映えだと思います。
ただし、よく聞き込むとボーカル域のエッジは極くわずかに立っているので、この点では後継のATRで改善された部分となります。
しかもあまり混濁しない優秀なドライバーのようで、少し温かみのある極めて高いレベルのボーカルを聞くことが出来ますので、当時としてはかなり優秀なイヤホンであったと言えるでしょう。
【KZ ATE まとめ】
今でも名機のひとつとして数えられるかは別として、ボーカル域の質の高さはATRが出るまではトップクラスにあった事は確かだと思います。
HI-FI調の音ではなく、どちらかというと温かみのあるウォームな系統のボーカルを楽しむためのイヤホンのひとつとなります。
発売当初とは違い優秀な中華製格安イヤホンが幾つも出てきたので当時の衝撃などはなくなり、今では後継のATRが出てしまったので、ATEの問題点がすべて改善差されている状況では積極的に推薦する理由はありません。
ATRに対してATEが勝っている部分はほとんど何もありませんので、あえて購入する理由はないでしょう。
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【レビュー】 senfer F05 / KINDEN F05ダブルドライバーイヤホン
総合評価✖
senferのダブルダイナミックドライバー搭載のイヤホンです。
モデルナンバーはF05となっています。
日本のアマゾンではkindenが取り扱って居ますので、欲しい方はアマゾンから購入するのが手っ取り早いです。
【KINDEN F05ダブルドライバースペック】
【KINDEN F05ダブルドライバー音質】
【KINDEN F05ダブルドライバーまとめ】