【まとめ】中華イヤホン&ヘッドホンとDAPレビュー辛口のオススメ

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【レビュー】RHA MA390 いつかの少年たちの為に

 

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 RHA。

イヤホン界に燦然と輝くその名は光背を背負った美しい音の名前そのものでしょう。

その名はオーディオ界の最も高い場所で優雅に舞う姿そのもので、時には気まぐれに人間界に舞い降りる。

 

そんなRHAは僕らに媚びたりしない。

 

そんな下卑た事は他の凡庸なメーカーに任せておけば良い。RHAは自由に最も高い場所を歩いて行くべき。それを支えることこそが使命の1つ。

 

こちらの390は既に有線版はディスコンとなっています。

 

【RHA MA390スペック】

 

モデルナンバー RHA MA390
■ドライバー 1DD/130.8ドライバー
■感度89db
インピーダンス16Ω
■周波数特性 16Hz ~ 22000Hz

 

中古で購入したのでバーンインの変化は判然としませんが、中高音域が時々ガクンと不安定な音を出すときがあるので、その現象が解消するまで回しましょう。1時間程度を推奨しておきます。

 

ハウジング形状は上位のMA650と大きさも形も違い、390は非常にハウジングが小さく、そのため、装着感がすこぶる良好。耳の小さな女性にも適合しやすいと言えます。

 

【RHA MA390音質】

 

基本的な音質はウォーム。

帯域バランスは低域ブーストタイプ。

 

低音のブースト量は+7.5から+8.0程度なのでそれなりに強めのブーストという事になるでしょう。一般的な重低音モデルとほぼ同格となる量だと云えます。国産や海外製イヤホンとしては中華を除いて確かにかなり多めで、明確にこの音は若者を狙ったバランスとなっています。

 

RHAに詳しい読者にわかりやすく説明するとMA750と低音量はほぼ同じ。

 

その低音の出来映えはあまりよくありません。質よりも量を重視した音でとてもブーミーで輪郭が崩れ気味。独特な膨らみと質感を持っていますが、決して褒められるものではなく、緩めで少し異質な質感を持った低音です。

 

ボーカルフラットは並。少し暴れ気味で、問題なのは声色が少し変色気味なところ。ボーカルは奥に少し引っ込みます。

 

音のエッジはかなり優秀。比較的、音が柔らかいでしょう。

 

このイヤホン、低域強めですが、本質的には中高音向けのイヤホンです。

 

明瞭度はかなり落とされていて、他の性能追求したイヤホンと比べると少しパッとしない。1音1音があまり明晰ではなく、全体としてまとめて聞かせてくるところがあります。このあたりに価格の安さというかエントリークラスというのが出ていると云えます。

 

全体的な音質はMA750と同じくウォームなのですが、750よりも更にもっと突っ込んだウォームな音質を持ち、音の質感が少しザラッとしているところがあります。これは390の明瞭度の低さと関係してるようで、個々の音を聞かせると言うよりもやはり全体で鳴らしてくるところがあります。

 

RHAらしいよくデフォルメされた音ですが、この390に関しては細かいことを云わずに奏でられたその全体を聞き込みたい。価格を考えるとそこら辺の凡庸なイヤホンの音ではない。

ところどころで思わず唸る音が現れ、曇り硝子に透けて見える晴れ間の庭を見るよう。 

 

最後に鳴らすDAPはたとえエントリークラスと言えどもスマホなどは論外。これはRHA。最低でも国産のリファレンスクラスのDAPで鳴らして欲しい。そうすることがRHAに対する礼儀。

 

音量はすこし高め高めで。

 

【RHA MA390まとめ】

 

 この390の音の本質は、その後に続くMA750へと繋がるもので、基本的な傾向や帯域バランスが非常に良く似ていると云えます。

 

ハッキリ申し上げるとMA750の音を適度にいろいろと細かく劣化させたものだと云えるでしょう。やはりRHAなのでこれほどの低価格イヤホンでも聞く人が聴けばそこに刻印された美への確固たる意志は感じ取れるはずです。

 

確かに音の明瞭度が低いところがあり、どうしても最終的なリスニングのための音の解像度とか明瞭度が平均的に少し足りないのでしょう。

 

ですが、その合間に奏でられる一瞬のその音は確かにRHAの音そのもので、ただただ輪廻の彼方で身を任せたいと思わせる音の片鱗がそこに現れる。

 

しっとりと濡れた雨上がりような湿度の高い音で、その音は瞬間に現れて消えるのでこのエントリークラスの390といえどもその部分はしっかりと聞き取って欲しい。

 

またしばらく聞き込んで耳が慣れたあとの、この音のまとまりというかハーモニー/調和をよく見て欲しい。この390の真価はこの音楽としてその全体を聞かせる事にあります。

 

評価はエントリークラスという事を鑑み、価格と音質を総合的に考えました。

 

それでも愛するRHAの事だと甘くすることはありませんが、海外製でなおかつこの価格を考えると実に立派。

 

このエントリークラスの価格帯には日本製でもfinalのE3000やintimeのSORA lightなどがひしめいているので、それらとはまた違う本物の才能が作り出した音の美しさの本質に迫るRHAの音に敬意を表しつつ、RHAという高みを登るのならもう少し上の価格帯を狙うべきですし、そうする義務と責任が僕たちにはあると思います。

 

ただそれは後の楽しみで十分でしょう。まずはここから。RHAが差し出した手を取るべきです。

 

この390は帯域バランス的にも低域ブーストされているので、あとからこの世界に息を切らせてやって来る少年たちの為の贈り物のひとつ。

 

本音を言えば彼らには例え時間が掛かってももう少し上のクラスのRHAの音にぜひそのうち耳を傾けて欲しい。

 

ただこの中高音域の音にはRHAの才能の片鱗がハッキリと現れている事だけは間違いありません。それは断言しておきましょう。このようなエントリークラスのイヤホンからでも、もっとも高い場所から語りかけてくる、翼を持ち銀色の炎に覆われて高みをひた走るRHAのその姿を垣間見ることも出来るでしょう。

 

総合評価〇 

美しい音を持った良品ですが、必要なだけの明瞭度があと少し足りない。ただこれだけ聞いていたら十分に満足するでしょう。こういった美しい音からイヤホンを始められる人は幸せだと云えます。ですが、出来ることならRHAの為にもう少しだけ予算を増やして欲しい。あと少しだけ。あなたの眼前にいつの日か展開するであろうその音のために。僕らは扉を開けたその先で待っているのだから。