【レビュー】final E1000 遂に放たれたエントリー機
finalが放つ新作で、価格がとても安いところに大きな特徴があります。これでfinalのイヤホンは5つめとなりますが、finalというメーカ自体は当たり外れがとても大きく、一言でいえばかなり音にムラがあります。
ダメなイヤホンは徹底的にダメで、ものによっては聴くに堪えない音を出してきます。もう少し全体のレベルを上げて欲しいところですが、音の輪郭というかエッジに関してはプライドのあるメーカーで、その点はどのイヤホンにも共通した信念のある音作りがなされています。
【final E1000スペック】
■モデルナンバー final E1000
■ドライバー 1DD/6.4mm
■感度102db
■インピーダンス16Ω
■周波数特性 16Hz ~ 45000Hz
■コード長1.2メートル
ハウジングがABSなのでかなり軽いです。右と左は数秒凝視しないと分からないタイプ。
バーンインは音の眠さが多少取れるまでなので1時間ほど回したい。低音の緩みも多少よくなります。
【final E1000音質】
基本の音質はウォーム傾向、ちょっと暖かめな音となっています。帯域バランスは低域少なめ、適正よりも更にちょっと少ない印象です。もちろんカルボアイより少なく、低域の特定帯域が特に少なくなっているようです。これでだとすこし少なすぎるかもしれません。
低域のエッジなどは普通と言えば普通なのである程度の膨らみとエッジのボケが感じられますが、音量レベル的に無理をさせていない低域で、これはこれで好感が持てます。ただ中華になれているとかなり少なく感じるでしょう。
ボーカルフラットは並。よくあるボーカル部分の特性の暴れ方が見受けられ、ごく普通の出来映え。このあたりは良くも悪くもなくというところ。適当に特性を詰めた感じでしょうか。E1000は中域に関してはちょっと暴れやすいところが見受けられます。
エッジの描き方はまさにfinalで、聞いた瞬間にfinalの音だと確信できるほど柔らかなエッジで、高域側の音の出し方に非常に大きな特徴があり、安心感があると思います。
E1000は価格を考えれば良く出来ていると言えますが、とにかく音の明瞭度が低く、音にクリア感が感じられません。実際、こういった部分に価格の安さが現れていると言えるでしょう。
特にE1000はウォームな傾向を持っているので、エッジの柔らかさも関わって、音の解像感がかなり低く感じられると思います。
全体として聴かせるタイプで細かな音などを楽しむイヤホンではありません。
【final E1000まとめ】
finalでもっとも安いイヤホンで、2500円以下という価格をかんがえれば中華と真っ向勝負できる価格帯でイヤホンを出してきた事にfinalの矜持を感じます。
それも低域がかなり少なめという中華の音作りとは正反対の音作りで、中華の中心となる価格帯に切り込んできた事がもっとも重要なことかもしれません。
本当に悪いイヤホンではなく、かなりまともな音を出してきて、日本製でこの価格という事を考えると文句を言えるものではないのですが、いかんせん低域が少なすぎ、更に音質のクリアさが決定的に足りません。
この為、何を聴いても音が眠いところがあって、解像感も最近の中華の優秀なイヤホンを聴いていると決定的に足りないでしょう。
finalの志は買いたいところですが、はっきり申し上げて、これならKZのZSNやZSTカラフルあたりを購入しておく方がよほど楽しい。確かにエッジの出方や音のマイルドさなどはfinalの音で、その点は間違いないものです。
ただこの音のクリア感が足りないところなどは今どきのイヤホンとしてはさすがにちょっと厳しいところはあります。元々の音質がウォーム気味なところに明瞭度が低いので解像感に問題があるほど低く感じられ、どうにも音が眠くなります。
と云うわけでE1000はfinalの音が感じられはするのですが、敢えて購入する必要は薄く、これならE3000をお金を貯めてでも購入するべきだと個人的に思います。
総合評価✖