【2019】今年も一年お世話になりました。ごあいさつ。
どもです。
今年も一年、誰にも忖度せず、販社や読者から借りたものすら容赦なく酷評し、自分の気に入ったものだけを褒め称えるという人間としてギリギリの場所を生きてきました。
そもそもオーディオとは肩肘張るような趣味ではありませんが、そこはピュア出身としてのプライドがあるわけで、伊達にスピーカと格闘して来ていないのは理解していただきたいと思います。
僕がスピーカと苦闘を続けていた頃は、既にオーディオショップに居た先輩方はだいぶ年上の人しか残っていませんでした。僕は相当に若手で・・・・当時の彼女はオーディオショップに試聴のため通う僕を見て、こう云いました。
「なんであなたおじいさんに交じってそんなことやってんの?。あなた一番若いじゃない?。おじいさんばかりの趣味なんか辞めたら」
やはりいつの日かスピーカーまで来て欲しいという思いはありますが、昨今の社会情勢や音楽へのふれ方などを見ているとある意味、スピーカの時代は終わったなと思うわけです。
ただそれでもイヤホンで美しい音を作り上げる人のサウンドに耳を傾けていると、間違いなくスピーカ経験者の音であり、それも長年苦闘してきた人の特徴が出ているので、イヤホンの音やヘッドホンしか知らないと高みへと至るのは厳しいなと勝手に思います。
もちろんオーディオというそのものはいつの時代も廃れはしませんが、聴き方が変わるわけです。スマホの登場は大きく状況を変化させ、ヘッドホンやイヤホンがブームと云えるまでに脚光を浴びました。
ですが、それすら置き去りにする勢いでBluetooth系のワイヤレスが取って代わろうとしています。有線系のオーディオはあとしばらくで終わるでしょう。
僕も少しずつワイヤレス系のレビューも増やしていますが、もはやこの領域はレッドオーシャンの様相を呈し、そうそうたるブランドがシフトしつつあります。
有線は一部のマニアのみが楽しむ時代になりつつあると言うことです。
そんな時代のちょうど節目に当たるのが2020年という年ではないでしょうか。
ただ時代がどう変ろうとも、本質的に人がうつくしいと感じる音色は変わることはありません。
変わるわけがない。
元々オーディオメーカー等ほとんど生き残ることは出来ません。かつて栄華を極めた大手日本メーカの多くも勢いを失い、もはやかろうじてカーオーディオなどの分野でなんとか食いつないでいるのが現状です。
そういう意味ではブームの時に本当のメーカーの実力は推し量れません。大抵が底上げされた偽の人気であり、全てが終わった宴の後に本物だけが残るでしょう。
そんな時代でも「いい音」で聞きたいという奇特な方はいるわけで、そんな人たちに向けていつもレビューを書いていますが、本物は本当に数が少なく、これだけ多くのイヤホンがあっても一流と呼べるものはほとんどありません。
まぁ、商業誌のレビューがほとんど全部汚染され、インターネットの海を泳いでも、販社から提供されたイヤホンを意味も無く褒め称えるポエムレビューばかりで、中華製は素人に商品提供してレビューさせ、日本製は商業WEBメディアにお金を払って提灯記事を量産して貰う。それもPRの一言も書かずに中華アンプやイヤホンをレビューするのですから、本物が欲しい思ってもそう簡単にはたどり着けない迷路のようになってしまっています。
音は確かに映像や写真のような目に見える実体はありません。
ただそれでも音作りにはルールがあり、楽しい音や美しい音を出すには才能が必要です。それも極めて高いレベルでそれが要求されます。
サウンドを作る人は、まずもって「聞く才能」が絶対に必要です。
スピーカーのハイエンドの世界では「偽物」も横行していますが、それは価格だけが高いばかりで音楽がハーモニーを奏でません。高く美しい音色も出てきませんが、ただ価格が高いだけで思い込みにヤラレ、そのような偽物を喜んで聞いている人たちも多いのです。
こう云うハイエンドは意図的に音を崩し、音を強調して派手にします。特性的にもあるべき範囲から逸脱します。
この一年、数々のハイエンドを含めたイヤホンを聴きましたが、やはりやっていることは同じで偽物メーカーほど音を崩しています。
本物はあくまで美しくナチュラルでありたい。
そう思います。
それでは今年も一年ありがとうございました。
来年もまたよろしくお願い致します。
2019年12月28日