【レビュー】shanling ME500 中華ハイエンドイヤホンの努力
DAPでおなじみの中華メーカーshanlingの作ったイヤホンである。
DAPメーカーなのでイヤホンを作る実力があるとは思えず、単なるどこかのOEM品であろうと思ったのだが、悪質なDAPメーカになると、そんなものでも10万越えなど普通に販売してくるのに対して4万以下の価格ならまだ良心的であろうと思う。
それでもまぁ高い、とは思う。
何しろ中華なので高額品に手を出すのは自殺行為に近い。
雨後の竹の子のように勢い余って次々に落ち目となった有線イヤホンを開発して投入してくるのは凄いと思うが、このパワー感と探究心は日本の開発者も見習うべきだろう。
このまま行くと日本製イヤホンは程なくして負ける。
というよりもfinal以外のメーカーはもうほとんど負けている。
どう考えても音決めしている人間の耳がどうかしているのだから、中華が幾つかの点で進化改善すれば勝てる要素が無くなってくる。
日本のイヤホンはアンプと同じく「遊び」というか余裕がなく単にくそ真面目な音がする。エントリークラスでならそれでも良いのだが、高みへと至ろうとするときには「創造的飛躍」が必要だ。
迫り来る中華との戦いで負けて欲しくはないのだが、現状を鑑みると、もう時間の問題だろう。
そんな中華のハイエンドイヤホンであるが、先入観無くその音を評価してみようと思う。
【国内正規品】 SHANLING ハイブリッド デュアルユニット カナル型 イヤホン ME500 8芯 着脱式 MMCX ハイブリッドケーブル
- 発売日: 2019/09/27
- メディア: エレクトロニクス
こちらは姉妹品のME100である。
こちらの方が手が届きやすいと思う。
【レビュー】QDC 1LE 中華ハイエンドイヤホンの現在地
手に持った瞬間に驚いたのだが、ハウジングが眼を射るようなキンキラキンなのである。24Kメッキを施したというそのイヤホンは中華のハイエンドメーカーであるQDCの限定生産品で有り、世界で888台限定販売されたものである。
そのうち40台のみ日本で販売された。
当時の価格は44800円なので中華では高い。高すぎる。
金属ケースにはシリアルンバーが入っているが、そのケースもなぜかズッシリ重くキンキラなのである。ちょっと引いてしまうような成金趣味全開の匂いがする。
今日日、日本の成金でもよほどの事でもなければこれほどキンキラであることは珍しいだろう。センスが昭和チックなのが笑わせてくれるところ。
発売は2017年なのでちょっとだけ古いが、ノート版読者様よりお借りできたので、中華ハイエンドイヤホンブランドであるQDCの実力を垣間見るにはちょうど良いと思う。
世界限定生産品なのでメーカーもそれなりに力を入れて作ったものには違いなく、ある意味、その時点でのメーカーの見識はすべて詰め込まれているだろう。
と云うわけでQDCという中華イヤホンブランドの現在地がどこにあり、中華イヤホンの到達点というか実力を見る、という点でもうってつけではないだろうか。
【レビュー】KOSS UR/40ヘッドホン
1958年に創業したアメリカのヘッドホンメーカーである。今回は初めてKOSSのヘッドホンを聞いてみるわけだが、一体どういったものなのか皆目分からないままだった。
たまたまノート版読者の方がお持ちのものを借り受けたのだが、ヘッドホンで一万円以下というのは本来なら避けるべき価格帯だ。これは国産でも同じ事が云える。
国産でもかなり厳しい価格帯なので代理店マージンが上乗せされる「輸入物」ではもっと厳しいと思う。
このあたりの分水嶺というのはイヤホンとは訳が違うのだろう。もっとも構造的にコストがより掛かるので致し方無いのも確かなんだろうと思う。
ただし、KOSSというのは本当の老舗だ。
オーディオではブランドが何十年もそのまま生き残るケースは極端に少ない。
限られたブランドだけだろう。
そのうちの1つがこのKOSSである。
本来は
が著名なのだが、今回はセミオープンドライバ搭載のUR/40である。
さて、老舗の実力を見ていきたいと思う。
【レビュー】ゼンハイザー HDVD800 ヘッドホンアンプ その高き壁
ヘッドホンアンプを買って見たのだが、デジタルアンプだと勘違いしてしまった。
これはアマゾンが悪い。
たまたまアマゾンを見ていたら「デジタルヘッドホンアンプ」とかかれている。ちなみに下位のHDVD600はアナログとかかれていたので800の方はデジタルアンプなんだなと早合点してしまった。
届いて聞いてみるとアナログじゃねーかと愕然としてしまった。
調べが甘いというか、事前にほとんど調べないのは僕が悪い。それは分かるのだが、どうか頭の悪い人にもよく分かるように紛らわしい表記は辞めていただきたい。
800にデジタルと書かれているのは、入力がデジタル可能という事であってこのアンプは純然たるアナログアンプである。
600との相違はDACが付いているかいないかの差で本体は同じものだ。
コスパを考えると600の方が良いかも知れない。
最近発売のものでバーブラウンとはシブいなと妙に納得してしまった。ヘッドホンでDACなど違いがわかるとは思えないのでDACなど何でも良いのだが、最近はESSとAKが幅を効かせているのはよく分からないところだ。
さて、こちらのHDVD600/800はゼンハイザーのヘッドホンアンプである。
ゼンハイザーがアンプなど製造できないはずなのでどこかのOEMとかODMなんだろう。オーディオではどこでも当たり前にやっていることなので特に問題は無い。例えばラックスマンなどもそうだ。
だが、キチンと音を監修して作り込んでいるかどうかはまた別問題だ。
世界のゼンハイザーがキチンと音決めしたのかどうか・・・見てみたいと思う。
【コラム】ハイレゾの定義・・・
僕はハイレゾ否定派である。これは何度も何度も書いている。
ハイレゾなど、どうでもいいのでどうか聞こえる領域の音をきちんとだして欲しいと思っている。多くのオーディオ機器がそれすら出来ないのではどうしょうもない。
そもそも人間が聞こえる領域は20hz-20khzまでであって、その範囲外は耳では聞こえない。
18kh以上の高音すらほとんどの人は聞こえない。たとえ聞こえたとしても年齢的には10代でかろうじて聞こえるだけで「意味のある音」はほとんど出ていないと思う。
20代で18khz以上を聞き取ることが出来るのは希な人だろう。
ちなみに僕の知り合いには30才でまだコンビニのモスキート音がうるさいと文句を言っている人が居るが、これは例外中の例外だ。
ハイレゾ、ハイレゾとウルサい人はコンビニの店頭で流している若者除けのモスキート音にぜひ文句を付けるべきだと思う。
僕は16.5khzまでしか聞こえないので文句の付けようがないが・・・
僕が疑問に思うことのひとつに、このハイレゾという概念の中で「高音域」だけが語られているが、当然、超低音も耳では聞こえないのでハイレゾではなかろうか。
つまり20hz未満の超低音のことも高音域と同じように語るべきだと思うのだが、そういう議論はあまり行われていないようだ。
そもそもハイレゾの定義(アナログ信号で40khz以上の再生が可能)が超高音域にしか行われていないのだが、よく考えてみればおかしな事だ。
日本の開発者はやたらとハイレゾだの超高域にはウルサいが、同じように超低域についても問題にすべきではないだろうか。
耳で聞こえないのにもかかわらず音楽的体験を大きく拡張し、聞こえなくてもニュアンスが増えるなどと意味不明な宣伝文句を散々使ってきたのだから、低域にも同じ事をいってもよいのではないだろうかと思う。
ではなぜ超低域についてはハイレゾとして追求しないのかと云えば、おそらくデメリットが大きすぎるのだ。
低域に関してどこまで出せるのかという点については物理的に振動板の大きさで決まってしまう。そして例え出せたとしても他の音域の音を汚してしまう。アンプへの負担も大きく、物理的な身体への影響も大きい。
このあたりのデメリットは超高域の比ではない。
要するに超低域を出すという事は超高域を出すことに比べてあまりにも難易度が高く、かつメリットが何もない。
超高域は簡単に出せてアンプへの負担も少なく、低域とは違って物理的に身体へのダメージも与えない。
それでいて聞こえないので文句もない。
何よりも1番のメリットは「ウチはハイレゾなんで超高域がだせる」という事を堂々と宣伝に書き込むことが出来る。
なんなら価格も少し上げてしまえるだろう。
オーディオ業界では昔から「高域をやたらと宣伝して強調する」ような輩に碌なものがいなかったが、それは今後もあまりかわらないようだ。
国産や海外オーディオはこちらへ。
【レビュー】GRADO SR60e 40㎜新ドライバ搭載モデル
グラドである。
もっとも安くグラドの音が堪能できるのがこちらのSR系のエントリーモデルであるSR60。
だが2014年にEタイプの新型40㎜ドライバに切り替わっている。グラドはいまでも訳の分からないマイナーチェンジを繰り返していて、モデル名の最後のアルファベットが違う。
だが、どこが変わったのかよく分からないところがあるが、この他にもRS1eはこれとは違う50㎜の新型ドライバらしい。
こっちの音は未確認だが、グラドがエントリーモデルで何をしているのか知る事は今後皆さんにグラドのヘッドホンを勧める上で僕自身が確認しておくことは大事なことだろうと思う。
今回の60eは新型Eドライバモデルでは2本目となる。325の方を先に聞いたが、グラドの下位モデルをじっくり聞くのは今回が初めてとなる。
聞いてみれば、いろいろと興味深いモデルの音であった。
【レビュー】SHURE SRH940 モニターリファレンスヘッドホン
前回はshureの840ヘッドホンをレビューしたが、今回はその上位機種である940である。
840の音を聞いてこれはもう一本行っとかねばと思ったものだが、作りは圧倒的に940の方が良いように思う。
気になるのはアマゾンレビューなどでヘッドバンドの破損報告が多いことだが、手にした限りではそんなに壊れやすいようにも思えないので不思議なところだ。
ただこのあたりに関しては長く使うと別な感想を持つものなのかも知れない。
shureのヘッドホンだが、基本的には「モニターリファレンス」と銘打っている。
だが、モニターリファレンスというのは、これはこれで簡単に作れるものではない。自己の解釈を入れずに「第三者的な目線」で客観的な音作りが求められるのだろう。
それは巷に溢れている「自称モニターリファレンス」という音とは全く違うものだ。単にバカみたいな無能なフラットという音作りでもいけないし、音をデフォルメしてもいけないものなのだろう。
国産のスタジオモニターと云われるSONYの900STとその後継モデルは既にレビュー済みだが、さて、世界のモニターリファレンスとはいかほどのものなのだろうか。
【レビュー】クリプシュX10イヤホンは偽物だらけ
先日、ノート版読者の方からクリプシュのX10を購入したので聞いてみませんかというお誘いを頂いた。
ありがたい事に比較用のX12まで同梱してくださった。
その時にくれぐれも念を押されたのがクリプシュの一連のイヤホンにおける「偽物」の多さだ。僕が借り受けたものは音から云っても「本物」に間違いないのだが、中にはオークションや海外から買い付けたものが真っ赤な偽物というのはよくあるパターンだと思う。
僕は幾つかの点をもって「本物」であると云うことを確認しているが、比較試聴無しで検討する場合や経験の浅い方は偽物を本物と信じ込んで聴かれている方もおそらく少なくないのではないだろうか。
もともとこのX10を初めとしたウォーム系イヤホンはクール系と比較して音の判定の難易度が少し上がってしまう。これは付帯音の関係で音の周りに最初からノイズが付着するからだ。
素の音に最初から味付けがなされている分、いろいろと判断が難しくなる。
それでも世界で名をはせたイヤホンや音と云うのは「ちゃんとお約束を守っている」のでキチンとオーディオと向き合っている方なら比較試聴することがなくても本物の判定ができるだろう。
ただやはり経験がないと非常に難しいと思われるので、それができなくても自信を失うことはないと思う。真面目にオーディオと取り組んでいれば時が解決してくれるだろう。
下記にアマゾンのサイトリンクを張っておくが、ここのX10レビューにも「偽物だった」というレビューは幾つも書かれているのでぜひ参考にして貰いたい。幾つか真贋判定のやり方なども親切に書かれている方もいるのだが、正直、これだけだとかなり難しいと思われる。偽物のシリアルナンバーも公式サイトの確認を通過してしまうようなので、ぜひ信頼できるところからクリプシュのXシリーズは手に入れて貰いたいと切に願う。
今回はノート版でX10のレビューを行ったが、コレはもう間違いなく本物のレビューなので安心して貰いたい。
最後になるが、ノート版読者の方でご自身で所有される926ドライバが本物が偽物かでもし悩まれているのなら、送っていただければ真贋判定は行わせていただく所存である。TwitterなりslackのDMにてご連絡を頂きたい。
パッケージだのケースだのシリアルナンバーなど必要ない。
音を聞けば本物か偽物かはわかる。
なぜなら、世界に君臨する本物というのはオーディオのルールを逸脱する様なマネは決してしないからだ。
オーディオとは自分自身との戦い
ピュアオーディオとは何かといえば、それはオーディオと向き合う姿勢そのものだと思う。勘違いして欲しくないのだが、決して高額な機器を使いこなしている人のことではない。
それは成金オーディオという別なジャンルの人々だ。そういう人は人に見せびらかすことを含めて「オーディオは値段が高ければ高いほど良い」と思っている人で、実際のところ、彼らの耳ではそう聞こえるのだからある意味幸せな人たちと云える。
実際のところ、高額な機器ほどとにかく褒めておけば間違いない。というのも誰からも批判されることはないからだ。訳の分からないポエムが書ければ更に良いだろう。
また、大手ブランドになればなるほどヒエラルキーがしっかりと製品ごとに構築され差が与えられていたりするので普通は上位製品を褒めまくっておけば間違いないのも事実だ。
ただ例えば中華イヤホンではこれら従来の考えが当てはまらないことが多々あるので、正確に言えば、製品がキチンと考えられて作られていないと云える。ほとんど行き当たりばったりのような音作りをしたりするで、玉石混淆の混沌とした市場が形成される。
ひとつの目安としてはドライバ数を価格に反映させることだろうか。
素人を騙すにはこれほど有効な手は今のところない。ドライバ数を多くすれば単純に価格を上げられる。利益率を極端に上げることが出来る。
価格を上げればなぜか「高音質だから価格が高い」と勘違いする人が一定数でてくるものだ。そういうカモを狙ったマーケット手法が確立される。
ところが実際に耳で聞くオーディオではドライバ数と音質は反比例の関係にある。
ドライバ数が少ない方が音が良いのだ。
実際に自分の耳で1DDや1BAの本当に優秀なモデルの音を聞いてみれば良い。
音のハーモニーにしろ音色にしろ、どれをとっても多ドラでは太刀打ちできるようなものではない。見かけの解像度や分離は多ドラで上げることは出来るのだが、そんなものは本質ではない。
いや、正確に言おう。
多ドラでもおそらく最も高い位置に来ることは不可能ではないのだ。だがどうして1ドライバモデルで最高の音が設計できないのにより困難な多ドラでその音を実現するというのだろうか。
できるわけがないだろう。
日本のメーカーや中華メーカーが高価格モデルで何をやっているのかと云えば、音を誤魔化している事が大半だ。
要は必要以上に解像度を上げたり、帯域バランスを極端に振ってみたり、やたらと音を鋭くしたり鮮明にしたりして騙しているだけだ。
まともな音ではない。
希に本当に開発者の耳がおかしくないか?というようなメーカーもあるのだが、こう言うのはもうオカルトオーディオの世界に片足を踏み込んでいるような人たちなので、むしろもう言葉が通じない世界にいるようなものだ。彼らに語りかけても彼らの頭の中ではそれが事実なのだから、ねじ曲げられた現実を直視することはないだろう。
そんな「思い込みオーディオ」を実践している人よりも、割り切っているだけ月刊ムーのほうがよほど潔い。
話を元に戻そう。
ピュアオーディオを志向するという事は、自分自身と戦う言う事と同義である。音を良くしたい一心で藁にもすがる思いでオカルトグッズを手に入れて見る、こんなものは実際には何も変わらないのだが、多くの人が「音が変わった」と騒ぎ出すのが現実だろう。
中には悪質なものもあって、ご丁寧に意味不明な科学的グラフを提示していたりするものもあるので厄介だが。
それで変わった音などすべて単なる思い込みや勘違いなのだが、それを振り払う強さがオーディオには必要だ。
オーディオの本当の敵は自分自身である。
ピュアオーディオであると言うことは、もっとも険しきをゆく、と云うことであって山の頂を目指して上り詰めていく人のことを指す。使っている機器の価格などまったく関係が無い。
数千円のイヤホン使っているからたどり着けないとでも?
そんなことは断じてない。
冷静で真摯で誠実である事。それは傷みや苦労を伴うだろう。
それでも行かねばならない。ピュアである、と云うことはそういうことなのである。
【レビュー】ゼンハイザーIE800は本当に名機なのか?
2012年発売なのでイヤホンとしてはロングセラーを重ねたかつての名機であるIE800である。
押しも押されぬドイツのゼンハイザーのイヤホンなのでその音のクオリティは一定の品質を達成していると云いたいところだが、こればかりは聞いてみるまで分からないものだ。
ゼンハイザーのイヤホンはIE40proを既にレビュー済みだが、それよりもはるかに古い製品がIE800といえるだろう。
イヤホンでは古い新しいは関係ない。
世に名だたる名声を得るIE800ではあるが、いつの日か聞いてみたいと思っていたところ、読者の方よりレビュー依頼を受けたので、喜び勇んでさっそく借り受けたものである。こればかりはブロガー冥利に尽きる。
もちろん忖度は一切無い。
そんなものとは無縁なのが当辛口イヤホンブログである。
ところでゼンハイザーのIE800だが、これは「偽物」が横行している。クリプシュもshureも危ない。
そういう訳でこういった特に人気のある製品を購入時は信頼できるお店から購入するのが良いだろう。
今回お借りしたIE800はもちろん「本物」である。ケースのシリアルナンバーのホログラムの写りから確認した。
ゼンハイザーというのは僕の認識ではヘッドホンに強いメーカーである。どのメーカーもそれぞれ得意分野というのがあって、何もかも強いというメーカーはほとんど無い。
イヤホンが良ければヘッドホンはイマイチだったり、又はその逆である事が大半だ。
ひとつでも秀でていれば大したものなのだが、さて、このゼンハイザーはイヤホンでも評判は決して悪くない。ただそれに見合う実力が本当にあるのかどうなのかを聞いていきたいと思う。
ただ値段が・・・これは高い・・・。