【2018年】中華ベストバイ・イヤホン発表
追記
2018年完全版のベストランキングはこちらです。
2018年のクソイヤホンはエレコムの2000が受賞しましたが、本当に碌でもない音がするので国産イヤホンの底上げを願うという意味でも万人に周知させることを目的としました。
finalのアダージョ2はもっと酷い音がするのですが、こちらは聞いた瞬間にどうにもならない音がするので試聴さえすれば避けられます。それに売れていないのでそこまで周知する必要もないでしょう。
それではクソイヤホンは置いておくとして、2018もっとも優れた中華イヤホンといえば、この1年間できいたものの中では圧倒的にUiiSiiのT8sだと思われます。
このイヤホン、他の中華とは中高音域のチューニングが違っていて、かなりの優れもの。帯域バランスは中華特有の低音強めとなっていますが、音のエッジとそこから生み出される優しい感触は特筆ものです。
全体に通底する音の暖かみも素晴らしい。
デジタルアンプはストレートかつ無味無臭ですが、そこにイヤホン側でちょっとした暖かみをグッと付け加えてくれることも見逃せません。
もちろん完璧ではありませんが、かなり良く練り込まれたイヤホンで昨今のメインとなるデジタルの音に対するひとつの解でもあるでしょう。才気溢れる設計者ならではの答えのひとつだと思われます。
これがあるので特性重視のモニター系しか設計できないエンジニアはもっと遙かに下の方で呻吟していることになります。
まぁこのあたりは好みの話でもあるのですが、イヤホンは基本的にアナログアンプと相性が合わないので、このデジタルアンプの時代ではモニター系やクール系の設計を行うとただ単に「つまらないさっぱりとした明晰な音」が出てきます。
ただモニター系の音を突き詰めたとしてもそれはそれで才気が必要なのですが、そういった音ならゼンハイザーやShureあたりが本気になるととてもとても勝負になりません。本場の音でもありますので。
そこでT8sのような少し付帯音が多めなのか、と言わんばかりの暖かい音が音楽を鳴らすという上では評価できるようになります。
もちろんそれ以外の能力も極めてレベルが高い。
弟分のイヤホンには1BAを省いたT6もあるのですが、やはりここは2018年最大の中華イヤホンの驚きとしてT8sをベストバイ中華イヤホンとして評価したいと思います。
KZ ATRやサウンドピーツのB30に連なる音の系譜として、モニター系とは対極の位置にある音質ですが、確かにこのイヤホンにしか出せない個性があり、それはエンジニアの才覚を感じさせてくる音なので、その片鱗がみえたと云うことで、中華イヤホンにおける2018年の到達点のひとつとして惜しみなく賞賛を贈りたいと思います。
【中華イヤホン 特別賞 KZ AS10】
5BAというフルBAドライバの多ドラですが、低価格BA機としてはKZの努力がよく伝わってくる良品です。
細部まで聞き込むとBA機ならではのいくつかの問題が顔を覗かせますし、低音にいかんせんパワーが無いので音楽が平面的になりやすいのですが、もともとBA機はヘッドホンのコンデンサータイプのようにソースを鋭く選ぶので、AS10もソースを選んで聞き込むべきイヤホンです。
低音も自社開発の大型BAドライバーが効果を発揮しているようで量もそこそこ出ていて、これらの努力、チューニングの良さも含めた全体の努力を評価したいと思います。
極めてマニアックなイヤホンですが、1DD+1BAの似たような音の多いKZイヤホンの中では異質な音なので、その点でも面白い。
中華のBAは性能が余り良くないというか何というかでどちらかというとDDに近いような解像度と音なのですが、BAドライバの実装上の問題がかなり少なくっているので、そういった意味でも1本持っておいても良いかなと考えます。
と云うわけで多ドラとしてのチューニングの自然さを考慮して特別賞として評価したいと思います。
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