【レビュー】SHURE SRH940 モニターリファレンスヘッドホン
前回はshureの840ヘッドホンをレビューしたが、今回はその上位機種である940である。
840の音を聞いてこれはもう一本行っとかねばと思ったものだが、作りは圧倒的に940の方が良いように思う。
気になるのはアマゾンレビューなどでヘッドバンドの破損報告が多いことだが、手にした限りではそんなに壊れやすいようにも思えないので不思議なところだ。
ただこのあたりに関しては長く使うと別な感想を持つものなのかも知れない。
shureのヘッドホンだが、基本的には「モニターリファレンス」と銘打っている。
だが、モニターリファレンスというのは、これはこれで簡単に作れるものではない。自己の解釈を入れずに「第三者的な目線」で客観的な音作りが求められるのだろう。
それは巷に溢れている「自称モニターリファレンス」という音とは全く違うものだ。単にバカみたいな無能なフラットという音作りでもいけないし、音をデフォルメしてもいけないものなのだろう。
国産のスタジオモニターと云われるSONYの900STとその後継モデルは既にレビュー済みだが、さて、世界のモニターリファレンスとはいかほどのものなのだろうか。
【レビュー】クリプシュX10イヤホンは偽物だらけ
先日、ノート版読者の方からクリプシュのX10を購入したので聞いてみませんかというお誘いを頂いた。
ありがたい事に比較用のX12まで同梱してくださった。
その時にくれぐれも念を押されたのがクリプシュの一連のイヤホンにおける「偽物」の多さだ。僕が借り受けたものは音から云っても「本物」に間違いないのだが、中にはオークションや海外から買い付けたものが真っ赤な偽物というのはよくあるパターンだと思う。
僕は幾つかの点をもって「本物」であると云うことを確認しているが、比較試聴無しで検討する場合や経験の浅い方は偽物を本物と信じ込んで聴かれている方もおそらく少なくないのではないだろうか。
もともとこのX10を初めとしたウォーム系イヤホンはクール系と比較して音の判定の難易度が少し上がってしまう。これは付帯音の関係で音の周りに最初からノイズが付着するからだ。
素の音に最初から味付けがなされている分、いろいろと判断が難しくなる。
それでも世界で名をはせたイヤホンや音と云うのは「ちゃんとお約束を守っている」のでキチンとオーディオと向き合っている方なら比較試聴することがなくても本物の判定ができるだろう。
ただやはり経験がないと非常に難しいと思われるので、それができなくても自信を失うことはないと思う。真面目にオーディオと取り組んでいれば時が解決してくれるだろう。
下記にアマゾンのサイトリンクを張っておくが、ここのX10レビューにも「偽物だった」というレビューは幾つも書かれているのでぜひ参考にして貰いたい。幾つか真贋判定のやり方なども親切に書かれている方もいるのだが、正直、これだけだとかなり難しいと思われる。偽物のシリアルナンバーも公式サイトの確認を通過してしまうようなので、ぜひ信頼できるところからクリプシュのXシリーズは手に入れて貰いたいと切に願う。
今回はノート版でX10のレビューを行ったが、コレはもう間違いなく本物のレビューなので安心して貰いたい。
最後になるが、ノート版読者の方でご自身で所有される926ドライバが本物が偽物かでもし悩まれているのなら、送っていただければ真贋判定は行わせていただく所存である。TwitterなりslackのDMにてご連絡を頂きたい。
パッケージだのケースだのシリアルナンバーなど必要ない。
音を聞けば本物か偽物かはわかる。
なぜなら、世界に君臨する本物というのはオーディオのルールを逸脱する様なマネは決してしないからだ。
オーディオとは自分自身との戦い
ピュアオーディオとは何かといえば、それはオーディオと向き合う姿勢そのものだと思う。勘違いして欲しくないのだが、決して高額な機器を使いこなしている人のことではない。
それは成金オーディオという別なジャンルの人々だ。そういう人は人に見せびらかすことを含めて「オーディオは値段が高ければ高いほど良い」と思っている人で、実際のところ、彼らの耳ではそう聞こえるのだからある意味幸せな人たちと云える。
実際のところ、高額な機器ほどとにかく褒めておけば間違いない。というのも誰からも批判されることはないからだ。訳の分からないポエムが書ければ更に良いだろう。
また、大手ブランドになればなるほどヒエラルキーがしっかりと製品ごとに構築され差が与えられていたりするので普通は上位製品を褒めまくっておけば間違いないのも事実だ。
ただ例えば中華イヤホンではこれら従来の考えが当てはまらないことが多々あるので、正確に言えば、製品がキチンと考えられて作られていないと云える。ほとんど行き当たりばったりのような音作りをしたりするで、玉石混淆の混沌とした市場が形成される。
ひとつの目安としてはドライバ数を価格に反映させることだろうか。
素人を騙すにはこれほど有効な手は今のところない。ドライバ数を多くすれば単純に価格を上げられる。利益率を極端に上げることが出来る。
価格を上げればなぜか「高音質だから価格が高い」と勘違いする人が一定数でてくるものだ。そういうカモを狙ったマーケット手法が確立される。
ところが実際に耳で聞くオーディオではドライバ数と音質は反比例の関係にある。
ドライバ数が少ない方が音が良いのだ。
実際に自分の耳で1DDや1BAの本当に優秀なモデルの音を聞いてみれば良い。
音のハーモニーにしろ音色にしろ、どれをとっても多ドラでは太刀打ちできるようなものではない。見かけの解像度や分離は多ドラで上げることは出来るのだが、そんなものは本質ではない。
いや、正確に言おう。
多ドラでもおそらく最も高い位置に来ることは不可能ではないのだ。だがどうして1ドライバモデルで最高の音が設計できないのにより困難な多ドラでその音を実現するというのだろうか。
できるわけがないだろう。
日本のメーカーや中華メーカーが高価格モデルで何をやっているのかと云えば、音を誤魔化している事が大半だ。
要は必要以上に解像度を上げたり、帯域バランスを極端に振ってみたり、やたらと音を鋭くしたり鮮明にしたりして騙しているだけだ。
まともな音ではない。
希に本当に開発者の耳がおかしくないか?というようなメーカーもあるのだが、こう言うのはもうオカルトオーディオの世界に片足を踏み込んでいるような人たちなので、むしろもう言葉が通じない世界にいるようなものだ。彼らに語りかけても彼らの頭の中ではそれが事実なのだから、ねじ曲げられた現実を直視することはないだろう。
そんな「思い込みオーディオ」を実践している人よりも、割り切っているだけ月刊ムーのほうがよほど潔い。
話を元に戻そう。
ピュアオーディオを志向するという事は、自分自身と戦う言う事と同義である。音を良くしたい一心で藁にもすがる思いでオカルトグッズを手に入れて見る、こんなものは実際には何も変わらないのだが、多くの人が「音が変わった」と騒ぎ出すのが現実だろう。
中には悪質なものもあって、ご丁寧に意味不明な科学的グラフを提示していたりするものもあるので厄介だが。
それで変わった音などすべて単なる思い込みや勘違いなのだが、それを振り払う強さがオーディオには必要だ。
オーディオの本当の敵は自分自身である。
ピュアオーディオであると言うことは、もっとも険しきをゆく、と云うことであって山の頂を目指して上り詰めていく人のことを指す。使っている機器の価格などまったく関係が無い。
数千円のイヤホン使っているからたどり着けないとでも?
そんなことは断じてない。
冷静で真摯で誠実である事。それは傷みや苦労を伴うだろう。
それでも行かねばならない。ピュアである、と云うことはそういうことなのである。
【レビュー】ゼンハイザーIE800は本当に名機なのか?
2012年発売なのでイヤホンとしてはロングセラーを重ねたかつての名機であるIE800である。
押しも押されぬドイツのゼンハイザーのイヤホンなのでその音のクオリティは一定の品質を達成していると云いたいところだが、こればかりは聞いてみるまで分からないものだ。
ゼンハイザーのイヤホンはIE40proを既にレビュー済みだが、それよりもはるかに古い製品がIE800といえるだろう。
イヤホンでは古い新しいは関係ない。
世に名だたる名声を得るIE800ではあるが、いつの日か聞いてみたいと思っていたところ、読者の方よりレビュー依頼を受けたので、喜び勇んでさっそく借り受けたものである。こればかりはブロガー冥利に尽きる。
もちろん忖度は一切無い。
そんなものとは無縁なのが当辛口イヤホンブログである。
ところでゼンハイザーのIE800だが、これは「偽物」が横行している。クリプシュもshureも危ない。
そういう訳でこういった特に人気のある製品を購入時は信頼できるお店から購入するのが良いだろう。
今回お借りしたIE800はもちろん「本物」である。ケースのシリアルナンバーのホログラムの写りから確認した。
ゼンハイザーというのは僕の認識ではヘッドホンに強いメーカーである。どのメーカーもそれぞれ得意分野というのがあって、何もかも強いというメーカーはほとんど無い。
イヤホンが良ければヘッドホンはイマイチだったり、又はその逆である事が大半だ。
ひとつでも秀でていれば大したものなのだが、さて、このゼンハイザーはイヤホンでも評判は決して悪くない。ただそれに見合う実力が本当にあるのかどうなのかを聞いていきたいと思う。
ただ値段が・・・これは高い・・・。
【レビュー】Cayin N5ii 中華DAPの真実
久しぶりに活況を呈している中華DAPを聞いてみた。
中華というと国産も真っ青な高価格でDAPを売り出している。
それも「高音質」だの「プロ用」だのという名目を前面に押し出して5万10万という値を付ける。
酷いメーカーになるともっと高い価格を付けるのでちょっとどうかと思っていた。
そこで適当なミドルクラスをレビューしてみる気になったのだが、注意しなければならないのは中華はオペアンプを使うという事実である。
はっきりいうとこれは「アナログ」だ。
本来ならイヤホンには適合しない音がする。
ただし以前紹介したA01中華DAPのようにごく希に問題はあるが良い音の製品もある。確かにそういう製品もあるのだが、そういう製品は意図して作ったと云うよりも単なる偶然ともいえるのでなんとも難しいところがある。
数万円の中華DAPというとこれで二個目なのだが、Cayinといえば高級DAPメーカーである。そんなメーカーが作った音ならばミドルクラスでもそれほど適当な製品は投入しないだろう。
そんな読みが働いたことも事実だ。
このN5がまともなDAPならその上には更に期待できる。
【レビュー】RHA MA650ワイヤレスBluetoothイヤホン
RHAも遂に有線から撤退するのか、しばらく前からディスコンが相次いでいる。
確かしばらく前にCL750等が本数限定で再販されたようだが、アマゾンなどではまだ新品が手に入るようなので必要な方は抑えておくべきだろう。
ただし、このCL750は一筋縄ではいかない。それだけ鳴らし込みが困難な1本ではあるので覚悟をもって望むべきだろう。ノート版ではそれぞれの使い込みに関して幾つも記事をあげているが、それを信じて購入してくださったノート版の方は一様にその音の変化に驚かれている。
こういった気難しい音がするイヤホンというと個人的に非常に好む。
スピーカを鳴らし切る困難さに比較すると比べるべくもないが、それでも「ピュア的な音の追求」のような気がして俄然やる気が出る。
アンプとイヤホンの相性と云うのはイヤホンではそれほど難易度が高くないと云えるが、一部の優れたイヤホンは徹底的に向きあうだけの価値があるので、アンプをとっかえひっかえして「ベストな音」を見いだすのが楽しいのだ。
基本的にイヤホンというのは表現力に幅がないので、極力、余計な音をさせない方が好ましい。
さて、話は変わるがBluetooth版のMA650である。
有線版の650もディスコンであるようで既にアマゾンなどにはiphone対応版しか売られていない。こちらの音は聞いていないが、iPhone版はとりあえずオススメしない。理由はDACがケーブル側に仕込まれているはずなので、このDACの影響を受けやすい。
本来ならDACの音などほとんどが単なる思い込みなのでどうでも良いのだが、iPhoneのDACは違う。しょうもないゴミのようなDACなので危険なのだ。その劣化したエッジが音に現れてしまう。
RHAがどのようにこのDACを処理したのか分からないが、イヤホンであるのならライトニング端子対応版は極力避けるべきだ。
そう考えると既に有線版のMA650は入手困難になりつつあると云う認識で良いだろう。
そういう訳でRHAも時代に敏感にBluetooth版をメインとしつつある。
そのMA650のBluetooth版の音を今回は評価しておきたい。
【レビュー】RHA MA600
RHAの既にディスコンとなったイヤホンであるMA600である。
僕がノート版読者専用のSLACKの掲示板で「次買おうかなぁ」と迷っていたら、ちょうどお持ちの読者の好意でレビューのために借りられたのである。
渡りに船とばかりにその話に乗らせていただいた。
その音はある意味、衝撃的であった。
普通に聞くと音が明らかにおかしいのである。なんだこのイヤホンは?と驚いたのだが、そこは流石にRHAなので、使いこなしが困難な一本なのであった。
なんの説明もなくこういう音を聴かせるのでRHAは不親切だろう。間違って買ってしまった人の大半は本領を発揮したその音を聞くことができない。
普通は鳴らしきれずに手放してしまうだろう。
だがそこはピュア出身の意地がある。
鳴らし切るために何をしなければならないのかはわかっている。
MA600の本当の音を聞きたければ覚悟がいるだろう。その壁を乗り越えてきたものだけが真実に近づくことが許される。
これこそオーディオだろうと思う。
- 価格: 5662 円
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【レビュー】ゼロオーディオ Duoza ゼロが作る音 ZH-DWX10
ゼロオーディオは嫌いではない。
いままで4本ほどゼロの音は聞いてきた。
当ブログではカルボアイをリファレンスとしているので、いつも真面目に取り組んでいるメーカーという印象があるが、目指すべき場所と実力が乖離しているようで、このメーカーは価格が上がれば上がるだけ期待を裏切るところがある。
そんな中でこちらのDuozaはゼロとしてはミドルクラス扱いなのだが、カルボバッソなどの低価格品では一定の評価を世間から得ているゼロのその音をレビューしていこうと思う。
【Duoza ZH-DWX10スペック】
■モデルナンバー Duoza
■ドライバー 2DD/デュアルダイナミック
■感度100db
■インピーダンス20Ω
■周波数特性 7z ~ 40000Hz
低域が7hzからというのはアヤシい・・・。
ハウジングはオーソドックスな筒型なのだが、なにかデザインがちょっと特殊となっている。
ハウジングの側面の突起からコードが伸びているせいだろう。
【DuozaZH-DWX10音質】
基本的な音質は「ウォーム」である。かなり温かみのある音質といえる。
帯域バランスは低域ブースト。
ブースト量は+6.5付近だろう。日本製イヤホンとしては低域はかなり強めに出来ている。
ただし、この低域があまり良くない。
膨らみは大きくブーミー。階調表現も不明瞭。低域は下側がよく出るタイプで量感があるが、同社の3000円程度のイヤホンが低音がまったく足りないのと真逆で低音は多めだが今度は質が良くない。
低音のエッジも非常に緩い。
ボーカルフラットの出来は素晴らしいのだが、そのボーカルが奥に引っ込む。
音色はウォームなので独特な質感が音に乗るが、それ以上に悪い部分が多いと言う印象を受ける。
中高音域は全体的に音が暗くて少し地味。
この音から判断すると派手さを抑えてしっとりと聴かせたいとも云えるが、試みとしては成功しているとは言いがたく、単に暗くて地味な音を聞かせられるだけだろう。
また明瞭度も低く音もボケ気味なのが決定的。
総じて中高音域も低域も見所が何もない。
ひとつひとつの音もそうだが、全体的なハーモニーが悪く、音がボケていて,暗くて地味なら聞く価値があるとは言いがたいだろう。
【Duoza ZH-DWX10まとめ】
ゼロオーディオ。
当ブログの読者の方ならよくご存じの通りで、「リファレンス」として音の基準としているのは同社のカルボアイである。
これはジャパニーズサウンドであるが、いろいろと平均的で中庸なのでリファレンスとしている。熱心な読者の方であれば使われている方もいると思うが、音の基準としては申し分ない。だが、裏を返せば「良くも悪くも無い」ともいえる。
だからこそのリファレンスなのだが。
ゼロオーディオというのは音を聞く限りでは真面目なことは真面目である。某日本メーカーのように「開発者の耳がどうかしているのではないか?」とか「詐欺に近いボッタクリ」とか「音を派手に誤魔化しているよね?」みたいな事は感じない。
なのでやっぱり真面目なんだろうと思う。
だがやはり音は幾ら聞いても「ジャパニーズサウンド」の範疇であって、これでは世界を相手に戦うなど遠い夢のような話しだろう。ただ中華や日本の音を聞くのなら十分に基準になり得るが、僕らが目指しているのは、また期待してやまないのはその程度のレベルで満足することではない。
そういう意味では、このイヤホンの出来映えというのはあまり良くないと云える。
もともとゼロオーディオはこれまで幾つか聞いて評価してきているが、価格が高くなればなるほどこのメーカーもまた音が良くない。ただゼロのために云っておけば、僕が何度も何度もいっているように日本製や中華イヤホンで一万以上の価格帯は極一部を除いて「とにかく買うな」と申し上げているが、このDUOZAの実売価格は約8000円付近。
購買意欲を刺激される価格帯で、お気持ちで購入したくもなる価格のイヤホンではあるが、正直に申し上げてこんな音ではどうにもしょうがないだろう。
確かにゴミではないが、ゴミに限りなく近い。
とにかく良いところや特筆すべきところが何もない。
ただゼロの名誉のためにいっておくが「騙そうとしていたり音を誤魔化している」というわけではなく、単に音が良くないのである。
例えて言えば、ジメジメとした梅雨時の締め切った畳の和室で汗ばみながら音楽を聴いているようなものだろう。DUOZAの音は例えてみるのならそんな不快な音がする。
このDUOZAは音が地味で暗い。しかも音がボケている。
それだけではなく必要な深さもない。
ノート版の読者ならご存じの通りだが、海外製でも音が暗めで大人しいものもあるが、ハッキリ言ってそれとは比較にすらならないだろう。何がと云われると僕も言葉に窮するのだが、一言で「深み」としか云えない何かが違う。
先日もノート版で4万ほどの日本製イヤホンを聴いてみたが、確かに悪くは無いのだがやはりそのイヤホンも深みが足りない。まるで音楽の表面をなぞっているだけの音がするので辟易したが、これはそれ以上に色々と不備があって、そもそも音楽が鳴っていない。
例の如くアマゾンのレビューでは絶賛だが・・・・。
総合評価△ 買うには値しない。
【コラム】ボーカルブースト・イヤホンという罠
最近ノート版でレビューした有名イヤホンのボーカルがブーストされていた。また国産メーカーの1本も極めてアヤシい音がしていた。ようは「軽くブースト」されている疑いが濃厚であった。
イヤホンでボーカルブーストは絶対にやってはならないこと。
スピーカであれば「ホーンタイプ」のように一部ボーカルが増幅されるというよりも「前に出る」スピーカーがあるが、イヤホンではこれは通用しないと思う。
定位や空間表現などが「個人的体験による脳内妄想」でしかないイヤホンの世界ではチグハグな音どころかデタラメな音、というよりも帯域バランス的にも違和感しか感じなくなるのでこう言うことは絶対にあってはならないのだと思う。
もちろん帯域バランスはフラットである必要はないが、フラットだと思わせる努力は必要だろう。
ボーカルブーストされた音作りが極めてインチキ臭いのは、それこそ「素人さん」を騙す行為に近いからだ。
こう言う人たちはボーカルブーストイヤホンを聴いてこう言うだろう。
「ボーカルが聞きやすく前に出る。埋もれない」と。
しかしよく聞けば「弊害しかない」というのは簡単に分かる。イヤホンにはイヤホンの音作りがあってそのルールを逸脱するのは許されることではない。
そもそもボーカルが埋もれないこととボーカルがブーストされている事は全く違う。
低域はある範囲でならブーストしても問題が少ない。中華のイヤホンはさすがに低域ブーストされすぎだが、低域は許容範囲が広い。理由はと聞かれれば僕にもよく分からないが、違和感なく聞ける範囲はそれなりに広いと思う。
いやむしろ屋外使用が前提なら適度に低域ブーストされていた方がむしろ聞きやすい。また普段から「小音量」で聞かれることが多い方もブースト気味の方が良いだろう。人間の耳は小音量で聞くと適正な帯域バランスよりもドンシャリ気味の方が良く聞こえやすいからだ。
ただボーカルブースト。
てめえはダメだ。こんなものを売るのはなんとかして欲しい。
【レビュー】GRADO/グラド SR325e グラド随一のユニークモデル
グラドについては色々な人が色々な事を言っている。
本当のこともあれば、まるきりのデタラメに近い事も多い。
グラドを買うのならグラドの本流の音のモデルを手に入れないと意味が無い。
これはハッキリと言っておく。
単に価格が高いだけのモデルを「音が良い」と無条件に褒め称えるのは愚か者であろう。
オーディオではある一定数、こういった「成金オーディオ」しか出来ない人が居る。
高いものが良い。
オーディオの真実はそこにあるわけではない。思い込みで脳内で変化した音を聞くだけなら何でも一緒である。それだけなら「価格が高いもの」の方が思い込めるので有利だろう。
最近というかしばらく前から読者様によると50㎜の新ドライバの採用が始まっていると聞く。
これがどういうものなのかは分からないが、オーディオは才能だけがなしえることもあるので、新しいドライバなど必要だとはとても思えないが・・・・
大切なことは「変わらない」ということでもあるだろう。
なんでも新しくなって新登場では芸が無い。
こんなことは無能なもののやることである。
新しく変わってしまうグラドの事など興味は無いが、ロングセラーを続ける保守本流のグラドの音を聞き比べてみたい。