【レビュー】KZ ES4
KZの新作であり、1DD+1BAとなっています。
写真上ではZS10のドデカハウジングと同デザインに見えるので懸念していましたが、デザインは同じながらも一回り小さくなっているので装着感はかなり向上しています。
ZS10を見た後ではこれはポイントが高い項目です。
より人を選ばないようなデザインになっているように感じます。
【KZ ES4スペック】
【KZ ES4音質】
基本傾向はクール系ドライバ搭載です。
音は派手で明るい傾向となっています。前提としてまずES3と酷似した音質で、ES3の傾向をもう少し突き詰めていったような音質でしょう。
ただしES3の音に対して突き詰め方が非常にマニアック。
細かい部分のアップデートなのでES3比較で大幅な改善はありません。
帯域バランスはドンシャリ系。
つまり低域はかなりの過剰ブーストと云うことです。
この点に関してはES3とほぼ同じバランスだと思っていただいてよろしいです。
低域の出来はES3と同じくここにフォーカスすればそれなりに出来は良く、ES3比較で低音のエッジが若干ですが改善しています。
ES3と共通でこちらも「重低音」がかなり出にくくなっているので注意が必要でしょう。
バーンイン終了後の階調表現能力はそこそこといったところでこのあたりの実力もほぼES3に準じます。
ただし中域の特性のフラットさ加減は特筆すべきレベルで、見事としか言い様がありません。これと比較するとZS10も悪くないのですが同時に聴くと子供だましに見えるレベル。
ATRと同等くらいか凌ぐでしょう。
ただボーカルの特性ではなく質という点ではATRには及びません。
こちらに関してはクール系特有の「冷たい質感」特有の音ではあると言えます。
やはり「音のうま味成分」というかコクというか、味噌汁で言えば「出汁」が足りない音なのはクール系の音の宿命か?という思いもあるのですが、ES3系統の音という点では確かに大きくは違いませんが、より細かな部分が違いますのでこれはこれで有りです。
音のコクよりも透明度を重視する方向けです。
こちらのES4はドライバーが破綻しやすく、特に音量を高めに取るとその症状が一気に顔を出す傾向があります。
特に厳しいソースではドライバが持ちこたえられません。
帯域バランスが低域過剰ということもあり、幾らか音量を絞って聴くことを想定されているようです。
また激しいソースでは音の混濁が見られやすく、ハウジングかドライバに多少の問題がある音がします。
ロックなどのゴチャゴチャした曲には向かないというか、欠点が大きく顔を覗かせる一面があり、それと同時に厳しいソースでは帯域バランスが過剰な低音に押され気味でボーカルが埋もれやすくなったりします。
音の明瞭度と分離は適正なボリューム範囲内なら許容できるレベルとして1DD受け持ちの帯域ではかなりの明確な音で、特に中高音域でクッキリハッキリとしているのはES3からそのまま受け継いでいます。
エッジは立ち気味で音の攻撃性はそれなりに高いのですが、このあたりもES3と同等のレベルといっていいと思われます。
ボーカルの特性が若干違って向上しているところを見ると非常に細かい部分で特性の改善が見受けられるのでKZの努力が感じられる部分でしょう。
【KZ ES4まとめ】
基本的にまったくもってES3の音です。
ES3から始まったといえるKZのクール系からニュートラル系の一連のイヤホンの中では主にボーカル域を改善してきたと言えます。
個人的にはもう少し低域に手を入れて欲しかったのですが、そこは若干の改善で大きな相違はないのが残念なところです。
もちろん上記に書いたようにさまざまな欠点はあるとは言え、ボーカルのフラットさは文句のないレベルで、クリアで派手で明るい音という傾向を持つイヤホンの中では出来は相当に良いと判断します。
ドライバーが破綻しやすかったり、音が混濁しやすかったり、低音が過剰で重低音が出にくかったりするとはいえ、明瞭度の高いクリア感のある音が好きな方にとってはひとつ持っておいて損はないレベルです。
ES3をお持ちの方は新たに買い足すかどうかという点ですが、ボーカルの特性向上という点で「買い増し」もしくは「買い換え」を推奨しておきますが、飛びつく必要はなく、価格が下がったところで買えばよろしいかと。
特にピークとディップを見事に潰したボーカルはアコースティック系の曲にかなり強く、上記の欠点がかなり薄められるのでオススメです。
ES3の音をより尖鋭に追求した結果の音で、この音でKZのクール系の音が細かいマイナーアップデートでよりよくなった印象を受けます。
これを聞いた後では多ドラのZS10の音に大きな不満を憶えます。
やはりZS10は何かがズレていると判断せざるを得ません。
ES3系統の音の出来映えという意味ではZS10を大きく凌ぐのがこちらのES4となります。
ES3が担っていたクール系の傾向比較用イヤホンとしては新たにES4を採用することにします。
装着感もES3よりもこちらの方が個人的にはしっくりくるので・・・
評価はもちろんES3を引き継ぎますので・・・
総合評価〇
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