【レビュー】KZのハイエンド AS16 合計16ドライバのフルBAイヤホン。
随分お待たせしてしまいましたが、今回は一気にAS16とAS12を購入しました。音が似ている場合、同時に購入した方が分かりやすいので、それならばと一緒に購入した次第です。
AS系はKZのオールBAイヤホンです。
AS10とAS06と続いてきましたがAS10が非常に柔らかくウォームな音を持つので、その系譜が引き継がれているのかどうかなど興味がありましたが、なにしろAS16は高すぎる。
中華で1万超えなどあり得ません。ただ最近ではやたらと中華もドライバを増やして価格を上げるボッタクリ商売にシフトしているので、そう考えると16ドライバでこの価格ならまだ良心的とは言えるかも知れません。
今回は先行してAS16に関してはノート版でレビューを行います。AS12に関しては従来と同じくこちらでレビュー致します。
どちらにしろAS12のレビュー時に書くことなのですが、AS10とは全く違う音を持つのがAS16。しかも良い意味でも悪い意味でも「突き抜けた性能」をもつので非常に興味深かったと云えます。
そのAS16のチューニング違いがAS12と云うことになりますが、今回は先んじてAS16の方をレビューしておきます。
AS16のレビューはこちらへ。
【次回予告】KZ AS12&KZ AS16 フルBAイヤホンを一気聞いてみる
どうもです。
KZの残りAS12とAS16を一気に購入しました。
それで、残っているKZのフルBAイヤホンは一気にすべてやっつけることにしました。
AS10の亜種だとみていますが、AS12は低音のみBAの並列実装。AS16の方は全帯域でBAの並列実装です。
一気にいってしまう事にしたのは、ZS10系の多ドラの傾向を帯びているとするのなら、どのモデルも基本は同じ音で細部がちょこっとずつ違う可能性があるので、そうなると1度に全部聞いてしまった方が分かりやすいからです。
KZの多ドラは違いがあることはあるのですが、相違点が小さすぎてかなり聞き込みが面倒なことになっています。
ちなみにKZの多ドラは基本的に同じ音質なのですが、あとから出た物の方が微妙に改善されています。今のところただでさえ異常に強い低域を更にブーストしてしまったものは厳しいと判断しています。相違点が小さい場合、時間をかけるよりもAS10をベースに一気に聞き込んだ方がいいかなと思いました。
ただなんとも言えないのはAS06の出来がかなり悪かったので、このあたりは聞いてみるまで分からないことは事実です。
AS06とAS10だと低域を中心にまるで別物のように音が悪化しているので・・・。
僕はas10の音をKZの中では高く評価していますが、AS10のみがKZの最近のBAの中では音が柔らかめで多ドラの傾向とは真逆の音作りがなされていて、DDの音ではない繊細さがあると感じているからです。
ただし・・・BA機なのでDAPの影響を受けます。また、背景のクリアなDAPで無いと微妙な繊細さが味わい尽くせないとも考えています。
この為、KZのフルBAイヤホンに関してはリファレンスクラスのDAPを使う事を推奨しています。とにかく余計な音を入れない方がAS系は良いです。そもそも音にパワー感がなく、極めて精細な傾向があるので中華系の安いDAPだと音が悪化します。
AS10の方に近いのなら両機共にそれほど悪い物では無いと推測していますが、BA機は音にDDのような勢いが付きにくいので、エッジの立った中華イヤホンイヤホンした音が好みの人はそもそも向きませんが、マニア好みな楽しみ方になるでしょう。比較的に完成度の高いAS10が微妙に悪化したにせよ改善したにせよ、ここで一気に聞き込んで立ち位置を明確にしておきたいと思います。
あっと、今回はAS16の方はノート版で。AS12はこちらでレビュー致します。今回の購入先はすべてアマゾン。内外価格差がまったくないどころか微妙に日本のアマゾンの方が安いという事で、良い時代になりました。
それでは。
お詫び。
どうもすみません。
最初に謝らせて頂きます。
あのですね、KZ ZS7の評価を書き換えました。これダメですね。
ここの所、ZS10proからZSXと聞いてきたわけで、ZS7の低音が超絶ブーストされているのは分かっていたのですが、ここに来てKZの多ドラをレビューのために比較検討した結果、絶賛するほどの性能は無いと判断しました。
今からなら、ZS10proあたりをオススメしておきます。
やっぱり同じような音でZS7の帯域バランスは悪すぎます。低音の性能もブーストが強すぎるだけで駆動力のあるDAPを使用してもたいしたことは無いと聞き直しました。
それで〇評価から△評価に。
レビューも書き換えました。
エッジに関してもKZは全般的に出来は酷いですからね。
それからニュートラルとクールの音質判定も必要なソースを整えましたので、今後はより正確になるかと思われます。
ウォームだけなら簡単な話なのですが、クール系とニュートラル系は微妙なところで別れているので、特にニュートラルに寄ったクール系はかなり微妙な聞き込みが必要だったりします。
僕自身も日々進化しようと努力はしているのですが、間違いがあれば気がついた時点で訂正していきますのでよろしくです。
【レビュー】audio-technica ATH-AD500X 入門用のオープンエアヘッドホンの音
エントリークラスのオープンエアとしてユーザーも多いオーディオテクニカのATH-AD500Xとなります。
音そのものはオープンエアーの音がするので一聴してそれは判断できるのですが、それ以上の中身というか実力はどうなのだろうという事になります。
アマゾンなどでのレビューはべた褒めに近いものなのですが、ヘッドホンも過去に僕は量販店で視聴してから購入、なんども失敗を繰り返しましたので、たいていの音響機器は自宅でじっくり聞かねばその実力なんとも判定できなかったりします。
audio-technica エアーダイナミックシリーズ オープン型ヘッドホン ATH-AD500X
- 出版社/メーカー: Audio Technica(オーディオテクニカ)
- 発売日: 2012/11/16
- メディア: エレクトロニクス
- クリック: 2回
- この商品を含むブログを見る
今回はノート版ユーザーの方よりご自身の使われるヘッドホンを借り受けましたのでレビューに回します。
ウチの読者さんなどもグラド所有率が高いのですが、オーテクと云えばスタンダードなオープンエアでは人気機種のひとつであり、良いものなら積極的にオススメしたいところです。
ただ・・・懸念点は・・・そのあたりは本文にまかせますが・・・・。ヘッドホンの方が開発や音決めに実力が必要で、イヤホンなどより最低価格帯が上がってしまうということになります。
前から申し上げていますが、「安くて良い音」を探す方が遙かに難しい。
【レビュー】アコースティックリサーチ AR-E100生産完了品
本来ならばノート版にてレビュー予定でしたが、どうも早々と生産完了になったようで、今から購入する人も居ないでしょうから、こちらの無料版にてサクッとレビューしておきます。
聞いてみて驚いたというのもあるのですが・・・・
こちらのE100イヤホンは購入したわけではなく、ノート版読者の方よりお借りしたものとなります。その他多数お借りしましたので順次ノート版にてレビューしていきます。なんとあのCampfire audioもありますので楽しみにして頂けるとありがたいです。
アコースティックリサーチというメーカーは聞いたこともありませんが、メーカーのヒストリーについては以下のページを参照して下さい。ちなみにアメリカのメーカーらしいのですが、僕はスピーカーでの世界でも聞いたこともありません。
こちらはAR-E100は発売当初の実売価格が約2万円なので価格だけはミドルからはハイエンドといえるでしょう。
生産完了という事で「消えたブランド」と言えるかも知れません。
【AR-E100スペック】
■モデルナンバー AR-E100
■ドライバー 1DD/10mmベリリウムドライバ搭載
■感度98db
■インピーダンス32Ω
■周波数特性 20Hz ~ 40000Hz
■コード長1.2メートル
こちらの特徴のひとつとして有線/無線両対応となっています。
あくまで「有線イヤホン」としての評価となりますが、簡単にBluetoothの音質もレビューしておこうと思います。
聴いている最中に大きく音が変わるので、少しだけ鳴らし込みました。まず低音が劇的にブーミー。ボーカルも異様に前に出てきます。音色もおかしかったのですが、鳴らし込むにつれ普通に変貌していきました。
Bluetoothで使えることも考えても価格的にはもう少し頑張るべきだと思います。
【AR-E100音質】
基本的な音質はニュートラル気味のウォームで極めてまっとうで普通の音だと云えます。
帯域バランスは低音ブーストタイプ。音は明るめ。
ブースト量は+6.5から+7.0程度なので中華並みのブーストといえますが、その低域がかなり緩い。エッジも不明瞭でかなり大きく膨らむので低域量が判定しづらいところがあります。
このイヤホンは間違いなく中高音を得意とするタイプ。とにかく低域のユルさが酷い。
ボーカルフラットはよく特性が詰めてあってメーカーのチューニングへの思いがよく伝わってきます。最近のKZやモニターイヤホン並みでキッチリ詰めたと云えるでしょう。
低域量が中華と何ら変わらないくらいのブーストなので実売2万近くを出して買う価値があるかと言われれば、ちょっと微妙、とはいえます。
理由は中高音域のエッジの描き方が若干ですがジャパニーズサウンドチックで少し尖り気味。ただそれでもそこらの日本製イヤホンよりははるかにマシなので、この点は無名に近いメーカーとはいえ得体の知れないメーカーとは言えないと評価しておきたいと思います。
音は全体的に少し硬め。
音質そのものはベリリウムドライバーの使いこなしでしょうか。少し明るめで明瞭度もやたらと高くされていないので実力は侮れないメーカーだと思いますが、無名過ぎて価格が1万以上はキツいでしょう。
最後にケーブルを付け替えるとBluetooth化も可能なのですが、面白い事にBluetoothの方が音が良い。低域のブーストが少し減って+6.0程度まで減少するので聞きやすさがあり、音色は少しウォーム感が増しますが、これがまた良い。
バックノイズも極めて少なく、こちらは一粒で2度美味しいとは云えますが、もともと中高音域が予想に反してかなり良かったので、それがBluetoothでもキッチリと活きてくると云えます。
【AR-E100まとめ】
決してデタラメとか悪い物ではありませんが、中高音域側の音に対して低域のレベルが合わないと云えます。
とにかくこのイヤホンの欠点は低域のブースト量と緩さ。
バーンインで最初の印象から大きく変わりますが、それでも低域の緩さとかブーミーさは如何ともしがたく、中華の質の悪い低音とほとんど同レベルで決して褒められたものではありません。
それでいてブースト気味なので比較的質の悪い低音が量を伴ってでてきます。これが中高音域にも被ってきて多少の悪影響を及ぼすのが惜しい。
ところが中高音域はその帯域を中心としてエッジや音の出し方など聞くと、これがまた今一歩足りないとは言え、とてもそこら辺の無名メーカーがポンと出せるような代物ではなく、クオリティが予想を超えていたのでちょっと驚いた次第です。
このアコースティックリサーチというアメリカメーカーがなぜここまで低域ブーストしてしまったのかに興味がわきますが、この中華並みの低域ブーストさえなければかなり良いものであったのでもう少しマーケティングや価格などを見直せばもう少し売れだのではないかと思われます。
こちらをお持ちの方は少ないでしょうが、できればBluetooth化して楽しむとこのイヤホンの良い部分が楽しめると思いますので、Bluetooth化に伴うウォーム感は残りますが、低域が改善されますので全体的に良好なバランスに近づきます。
このE100はBluetoothで楽しむべきでしょう。というよりも帯域バランスから判定するとこっちがメインの音なのかも知れません。
総合評価△ Bluetoothの場合〇
KZ最高峰の音。
KZを聞き続けてだいぶ立ちますが、最近はノート版が主体となっていることも有り、有名メーカーのイヤホンをそれなりに聴きまくっているわけです。
そんなことをしているとKZや中華イヤホンの立ち位置というのがどうしても見えてきてしまうので、とりあえずKZや中華に絞って書いておきます。
というのもKZの音もそろそろ落ち着いてきたようで、ほとんど全部が「似たような音」ばかりになってしまい、以前のようにワクワクすることもなくなりました。
今回のZSX等もそうなんですが、全部同じような音で・・・聞き込む労力と見合いません。
それもそのはずで・・・基本的に全部同じ傾向の音です。
たいした違いは何もない。特に多ドラはその傾向が強めです。
それでKZイヤホンの正確な立ち位置が世界から見ればどの当たりかと云えば、日本イヤホンのその下に位置するくらいの実力しかありません。
帯域バランスとエッジ。
まずこれがどうしようもなく悪い。
エッジだけ見れば日本イヤホンの標準的な描き方と大差はないのですが、そもそも日本イヤホンの描くエッジのクオリティが低すぎるので、両方を比較しても致し方ありません。
そこで帯域バランス。
これがまた悪すぎる。確かに低音を強化したブランドイヤホンもあるのですが、そもそも低音の質もたいしたことはありません。
それに最近では多ドラにして価格だけ上げていくという極悪商売で、どんどん中華の価格が上がっていますが、どのメーカーだろうが1万以上なんて作れる実力はないと断言できます。日本イヤホンでも1万以上なんてちょっとどころかかなり厳しい音にもかかわらず、帯域バランスが悪化している中華イヤホンでそんな真似されても音の最終的なクオリティが付いてこられるはずがありません。
いいですか?
中華の良さは価格が安いにもかかわらず値段の割にはまともなイヤホンがあるから購入するのであって、5000円の価値だってあるかどうかと言われればかなり怪しい。
catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
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【レビュー】KZ ZSX 最新12ドライバ機の音
どうもです。
本当にお久しぶりのKZイヤホンレビューとなります。
特に思うところも無いのですが、ノート版で散々と国産や海外のイヤホンを聞きまくっていたら中華にすっかり興味を失っていました。
最初に申し上げておきますが、こちらの無料レビューも支えてくれているノート版読者の方と一緒に書いているくらいのつもりですので、そこのところがご理解いだけないというか感謝を気持ちがない場合、ここで去っていただいて結構です。
これはこれ以外の記事もすべて含めてそういうことなので、支えられているので書くことが出来るというのは大前提でそこのところはご理解していただきたいと思います。
と云うわけでKZです。
KZの最後が確かZS10proだったと思いますが、悪くは無いけどこの音にはもう飽き飽きしてお腹がいっぱいになったというのが本当のところです。似たような音ばかりになってしまっていて、特に一線を越えたハイクオリティな音がするわけでもなく、価格からすれば質は低いが多ドラが手に入ってお買い得で明瞭度が高いとかそういう音です。
中華イヤホンはここ数年で一気に実力が向上しましたが、では今後もこのペースで進化し続けるのかと云えばそんなことは絶対にありません。
そろそろ打ち止めでしょう。
ここで少しおさらいしておきますが、KZは2018年初頭頃より音が変わっています。まずひとつはボーカル域の特性が格段に上がったこと。もうひとつはウォーム系の傾向からニュートラル・クール系の傾向に180度近く音質が転回しています。
ボーカル特性の向上に関しては単純に実力の向上ですが、クール系へのベクトルの転換に関しては好みの問題です。また、多ドラを取り扱うようになって、ネットワークのチューニング技術も上がっています。
ただ当然完璧ではなく、詳細に聞き込むとやはり少し顔を覗かせますが、多ドラでこれならもう十分でしょう。
こう考えるとやはり2017年の年末当たりから2018年初め頃に社内的な何かがあったというか音決めの担当者が変わったとか、そう言う事は考えられます。基本的なベースの帯域バランスなどは同じなのですが、確かに大きな変化が音に感じられるのは間違いないでしょう。
あとはKZ、毎度のこと当たり外れが大きい。個体差の話しではなく、モデルごとの出来不出来がとても大きい。ダメなモデルはトコトン碌でもないので注意が必要です。特に価格の安い2ドライバ当たりはそう感じることが多くなります。
こう云うダメなモデルの判別が付かないとゴミを買うことになるのでそれだけは避けてください。
【KZの多ドラの共通の音】
ここでこれまでの経験と蓄積を活かして、KZの多ドラの特徴について前提として書いておきます。これは2018年以降に発売されたオールBAを除いたKZの多ドラすべてに当てはまるので知識として入れておいていただきたいと思います。
■クール系の音
全部同じ傾向の音なのですが、基本的にニュートラル寄りのクール系の音となっています。例外はありません。
■中高音域を受け持つBAの音
基本的にKZの開発したBAは単独ではそれほど優れていません。多ドラになるとBAの傾向が直接的にそのまま出てくるので「高解像度」に徹底的に振った音になります。BAは優秀なブランドが1BAで使いこなすと極めてナチュラルで繊細さを持ったDDのような音になりますが、KZのBAはそのまま出来るだけすべての音を制御することなくほとんど無秩序に出力してしまう傾向があります。
特にBAの多ドラはその傾向がより顕著になります。KZ唯一の例外はオールBA機となるAS系のみが違う出力傾向を持ちます。
以上のことはKZの1DD+5BA以上のすべてのイヤホンに共通した傾向となります。
なのでKZの多ドラはどれもこれも非常に似通った音質傾向を持つ、と云うことが云えます。
【KZ ZSXスペック】
■モデルナンバー KZ ZSX
■ドライバー 1DD/10mm 5BA/中高音域*2 高域30095*1
■感度111db
■インピーダンス24Ω
■周波数特性 7Hz ~ 40000Hz
■コード長1.25メートル
5BA+1DDなのでいつものKZの多ドラ構成。中華BAはイマイチ能力が低い音がするのでその点が懸念点でしょう。
バーンインは念のために30分ほどほど回せば十分かと。DD である低音周りを含めてあまり変化を起こしませんが、鳴らし込み初期において全体的に音が若干曇るので、この曇りが取れて明瞭度が本来の意図した音になるまでが目安となります。
【KZ ZSX音質】
基本的にKZの多ドラの音そのものです。故に、ドライバーはニュートラルに若干寄ったクール系。
帯域バランスはいつものKZで低域ブーストされています。
低域のブースト量は7.5なので、これはZS10などと比較するとわずかに低音量が増えています。KZの中でもほんの少し低域量が増えているということになります。
基本的な音質傾向と中高音域側であるBAの出力傾向はそのままZS10/ZS10pro/ZS7等の最近の多ドラとまったく同じ音。クール系で低音強め、エッジの描き方も解像度や分離などもまったく一緒。
本質的な差異はなく、ただ細部がちょっと変化している程度。
具体的に云えば明瞭度やボーカルの質感や特性的なもののわずかな変化、低域を中心とした帯域バランス。あるいは高域を少し派手目にするとかそんな程度。
ZSXもやはりその軸線にそった小さな変化しか起こしませんのでそれは理解納得する必要があるでしょう。
非常に小さな変化しか起こさないので乱暴ですが簡単にZSXというイヤホンを語ってしまえば、低域量はZS10やZS10proよりも多くZS7よりも低域が締まって少ないという感じ。明確な違いはまずここになります。
ZSXの低域は量が多いのですが少しだけ前に出て、ZS10などよりもタイト感があると云えるでしょう。ただし低域の出方とか全体を見ればいつものKZの低音であまりクオリティが高いとは云えません。
ボーカルフラットは最近のKZなのでとても優秀。これについては国内メーカーも見習っていただきたい。ボーカル周りの特性的な問題は無いのですが、ZS7比較でボーカルのカラーがどちらかというとZS10系。かなり色が乗らないボーカルの音色と質感を持つのがZSX。
これであればZS7の方がボーカルの方が色が載ってコクはあると云えるでしょう。
音の透明度である明瞭感などもZS7比較で一段落ちます。ZSXは全体的に少しボヤッとした印象ですので、ZS10等と比較すると低音域をのぞけばZSXのほうが明瞭度が高めで少し派手でよく聞こえるのですが、バランスが違ってしまっているので、直接的に比較対象とする時に注意が必要でしょう。
低域がかなり強めなのでソースによってはボーカルが奥に引っ込みます。ただこれは限られた場面で発生するので普段は特に気にする必要はないかと思われます。KZは多ドラのネットワークチューニングかかなり進んでいるので明確にクロスオーバー周りの不具合を検知できる場面は減っています。
ただなんでしょう。
もう本当にKZの多ドラは全部同じ傾向の音なんです。うんざりするくらい根本的な差は無くて、単に帯域バランスや明瞭度などの部分が変化するだけ。高域の強弱なども違いますが、単にドンシャリなので他に語ることが何もないと言えます。
こちらのZSX。ようするにKZ ZS10等と比較すると明瞭度を上げ、高域を派手気味にして、ほんの少し低域を更にブーストしただけの代物と云えます。
【KZ ZSXまとめ】
基本的な音の傾向というか、音の出し方はまったくいつものKZの多ドラの音です。それ以上でもそれ以下でもありません。
KZのBAの使いこなしはAS10を中心とした少し柔らかく繊細なDDっぽい使い方と、多ドラの解像度や分離を優先としたBAッぽい音の出し方の2つのパターンがあるわけですが、こちらはいつもの多ドラのBAの使い方なので、極めてBAらしい音がします。
確かに分離や解像度を優先とした中高音域の音の出方をするのですが、いつもの如く非常にクオリティが低い。いわゆるジャパニーズサウンドチックな音の出し方でエッジもきつく、まるで音の輪郭のみを取りだしたような鳴り方をします。
ここ最近、僕は国産や海外のブランド品ばかりを聞いてきたわけで、そうするとやはりいつものKZの音であって、余計にエッジばかりが耳につく低レベルな音となります。
確かに解像度が高くなるのでマルチBAで中高音域を鳴らすと音数は多くなります。それは間違いありません。分離も一見良いと云えるでしょう。しかしそれで音楽が楽しくならせているかというとそんなことはなく、キツく尖ったエッジにフォーカスしたそんな音だと云えます。
もういい加減、解像度や分離を優先したドライバ数=音質みたいな宗教からは遠く離れるべき。1DDや1BAでも音楽を鳴らすために必要な分離と解像度は十分にチューニングで出だすことか出来ます。
こちらのZSXもやっぱり多ドラである事を強調した音で、他のKZの多ドラの音そのもので、やはりよく似ています。ZS10やZS7と極めてよく似た音質傾向を持ち、どちらかと言えば明瞭度や帯域バランスから見てZS10proの亜種とみて間違いないでしょう。
全体のバランスや音質傾向、解像度感や分離などはそのままZSの多ドラ。ただ細部がちょっと違っていて、それが大した差ではないのが痛いところと云えます。この為、本来ならZSXなどという紛らわしい名前にせずZS11とかにすれば誤解がなかったのではないかと思われるのです。
帯域バランス傾向がZS7とZS10/10proのほぼ中間を狙った音で、低域のタイト感などは少しだけ向上しているとかそういうレベル。中域の質感などもZS7の方がコクがあるので、これであればわざわざZSXを購入する特段の理由はない様な気もしなくもありません。
と云うわけで最新のZS10proを所有しているのならZSXは必要ありません。ZS10の方は低域の帯域バランスに更にほんの少しブーストとタイト感がある低域表現が欲しいと言うのでもなければZSXはそもそもいらないと云えます。
ZS10なりZS10proあるいはZS7当たりを持っているのならほとんど同じ傾向と音を持つので、またまた同じような音のイヤホンが増えるだけなので購入は推奨できません。
まったく多ドラを持っていないというのならまずはZS10pro。それで低域が足りないなど云ういう奇特な方はZS7に行ってみてからZSXを買うべきでしょう。明瞭度の向上という点ではZS10proの方に近いのでZS7比でもZSXの方が良いのですが・・・いかんせんZS10比較でほんの少しの低域量アップなので違いが感じられない人も多いでしょう。
まぁ、極言すればKZの多ドラなど大した音は出せないので「いらない」と云えばいらないのですが。
今回はKZの多ドラを聞き込んで、この低レベルなエッジの描き方では音楽を鳴らすことが難しいと云うことで国産や海外の音を多く聞き込んだ経験を加味すると、KZの音の輪郭は全部ダメなのですが・・・これをいってしまうと多くの日本製イヤホンも評価を下げざるを得ないのでZS10proを基準にした評価としておきます。
この音であればZS10pro当たりを狙うのが最も妥当でしょう。
評価は中高音域だけ見ればZS10proと同じで良いかなと思ったのですが、これ以上質の悪い低域を更にブーストされてももはや音楽がならないので。
総合評価△
KZの多ドラの音そのもので質は低いが多少ZS10当たりとの比較なら細部が向上している。
catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
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【次回予定】KZ ZSXやらAS16など。
どうもです。
ずいぶんとお待たせ致しました。
最近は中華イヤホンに飽きがきてしまったようで、KZの更新もストップしていましたが、定期的に再開する予定です。
とりあえずはKZのZSX。
それから今月中のどこかでBA8ドライバのAS16に行こうと思います。
これでとりあえずさぼっていた間の主要なKZイヤホンはコンプリート出来るかと思われます。
うーん。
中華は実力不足をドライバ数で誤魔化すのが頭にくるのですが、時々「当たり」がでるのでそれを探すという感じでしょうか?。
ダメなイヤホンはトコトンダメなのですが、一言で云ってしまうと「アジア人の音作り」そのものではあるので、やはりクオリティがどうしても不足します。ただこれは日本でも大して変わらないとは云えますが、なにぶん帯域バランスに関してはまだ日本製の方がまともではあります。
と云うわけで、ゆっくりと中華イヤホンの方も探求していきますのでよろしくです。
KZ ZSX 重低音 イヤホン 5BA+1DDを搭載 ハイブリッドイヤホン カナル型 高遮音性 イヤホン 高音質 中華イヤホン 2pin リケーブル可能 (黒(マイクなし))
- 出版社/メーカー: Yinyoo
- メディア: エレクトロニクス
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【レビュー】Radius HP-NHR11 妙なデザインの日本製イヤホンの音
初ラディウスのイヤホンです。
印象としてはまずこのメーカーは価格がお高めで敷居がちょっと高く感じます。デザインも珍妙というか奇天烈なデザインが多く、色モノメーカーと感じていました。
メカメカしいと云うか・・・。宇宙で戦うロボットを想起させます。
イヤホン界隈以外では聞いたこともないメーカーで、なんだか食わず嫌いになってしまって避けてきたわけではありませんが、積極的に行く理由もありませんでした。
今回はそのラディウスの初イヤホン。実売価格で7000円程度なのでこのメーカーとしてはエントリークラス。入門クラスでこの価格はやっぱりちょっとお高めな印象。
それで今回聞いた後に一体何だろうこのメーカーは?と云うので初めてホームページに飛んで詳しく見てみれば・・・・
アレ?
随分前にラディウスの据え置きアンプを買ったことがあるのに気がつきました。
それがラディウスがオーディオ業界に初参入したときに作った真空管プリメインアンプのRA-VT11。
radius 真空管式ステレオインテグレーテッドアンプ RA-VT11 RA-VT11
- 出版社/メーカー: RADIUS
- 発売日: 2007/05/10
- メディア: エレクトロニクス
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どうもこのアンプで据え置きアンプ業界に参入して、その後が続かないのでそれっきりになったのでしょう。今でも売られているので一応ロングセラーという事になるのかも知れません。
僕がどうしてラディウスのアンプを買ったのかと云えば、当時、居室で使うサブ用のアンプが欲しくて試聴に行ったらこれとトライオードの15万位の真空管アンプがあって、試聴したらトライオードがしょうもない音を出していたので、ラディウスの方にしたのでした。
ちなみにトライオードの何がダメだったのかと云えばじっくり聞き込むと音にモヤモヤとした嫌なノイズが付帯して、ボーカルを紡ぐ口の周りがなんか汚れているのでうんざりして、次にこっちを聞いたら少なくとも価格を超えた音はしていたのでとりあえずこれでいいやと買って見たのでした。
結局、このアンプは3ヶ月ほど使い込んでから放流してしまいましたが、理由と云えば・・・音がスッキリしすぎている、と云うことが上げられます。比較した15万のトライオードの真空管アンプが酷すぎたというのもあるのですが、僕が試聴して買ってみたくらいなのでラディウスはそんなに悪いものではないのです。悪くないのですが、この音ならソリッドステートのアンプで十分なので手放しました。
半導体のソリッドステートアンプに極めて音が近く、必要なコクや音色がまったく出てこないので飽きてしまったといえます。これはこのアンプの本質的な音なのであとからどうにもならないことに気がついたのでした。
まぁ実売8万程度のアンプにそんなことを期待してもしょうがないのですが・・・・たぶん初心者にはよいものなのです。
こういう真空管アンプは。特に雰囲気だけ真空管が欲しくて、音は半導体の音に近いほうが心地よく違和感なく聞けると思います。しかも価格も良心的ですのでそういう層がターゲットなのでしょう。
そもそもこの価格帯でまともな真空管アンプというのはほとんどないはずなので有りと云えば有りなんですが。よくよく冷静になって自宅で聞いてみたら真空管の良い部分が何もないことに気がついてしまったという事になります。
と云うわけでラディウスとはすっかり忘れていましたが縁があったというのを今回思い出して感慨にふけっています。
そんなラディウスがイヤホンでは高価格帯を中心に妙なデザインで頑張っているのでとりあえず聞いてみた次第です。
【レビュー】RHA MA650は名機750を超えられるのか。
いつもいつもRHAを聞くときには身を清め、その音を正しく読み取ろうと努力します。
それだけの音が出せるのがRHA。
いつも思うのですが、どうしてこれが英国のメーカーなのか悔しくて仕方ありません。いつの日か日本からこう言うメーカーが出てくれるとずっと待ち続けていますが、それはいつも徒労に終わる。
理屈ではなく感性が、努力ではなく才能が、もう既に立っている位置が違うのでしょう。オーディオの高い峰を登らんとするものはこの音に謙虚に耳を傾け、祈りを持ってその音に触れなければならないといつも思います。
努力では持って生まれた才能を凌ぐことはないと僕はいつも思いますが、どうしてこう言う音が出せるのだろうと考えれば、それこそがまさに才覚そのものなのだろうと思うのです。
さて、RHAのエントリーイヤホンのひとつ、MA650です。
海外メーカーの7000円程度のものなのでたいして期待していないのですが、それでもRHAは真剣に聞き込まなければなりません。
彼らしか到達することが出来ない音があるのなら、目を閉じ、深く息を吸って、その音をきくべきでしょう。