【レビューまとめ】2017年のベスト中華イヤホンを考える
2017年の1月初旬にサイトを立ち上げてからほぼ1年間運営してきたわけですが、ちょうど一年が経過するという事で「まとめのまとめ」的な事をやってみたいなと思うわけです。
といっても今まで紹介したイヤホンを再度ちよっと語るだけですが・・・
2017年で年末にこれだけは手にしておきたいというイヤホンの事について書いてみます。
【サウンドピーツB30】
1DD機の新たな地平を切り開く、知る人ぞ知る名品です。
このイヤホンから発せられる音の質とレベルの高さは「分かる人は分かる」というレベルでリファレンス的なモニターチックな音の出力ではありませんが、その音のグレードには驚倒する他ありません。
特にZS5などの優秀な多ドラ機と良く比較していただきたい音で、音を真摯に突き詰めていくと結局は1DDにたどり着くという事をこのハーモニー感のある音は証明しています。
もしこの音を聞いても何も思わないのならイヤホンで音を聞くということを根本から問い直した方が良いです。
このB30は必ず1本は手に入れておきたい、2017年に発見した珠玉の1本となります。
静かな夜にこのB30を耳に嵌め、目を瞑り、価格を忘れてその音と向き合う価値があります。
DDとかBAとかを踏み越える、そういった些末な境界線を無意味とさせるのがこのB30の音です。
【KZ ZS5】
KZ社がその本領を遺憾なく発揮した1本です。
マルチドライバなので帯域バランスなど細かいところに不満がありますが、この価格でこの音を実現したことに大きな意味があります。
後継のZS6の出来があまりにも良くなかったので併売されるZS5の価値が大いに上がりました。
安く多ドラ機を堪能したいと云う方には十分にオススメできる選択肢で、この1本もぜひ手に入れておきたいところです。
ただマルチドライバというとやはり設計が難しくなってしまうのでしょう。
そういった事を含めてKZ社に敬意を込めて聞き込むべきだと思います。
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上記の2本は何を置いても手に入れて音を聞いておくべきだと僕は考えますが、特にB30の凄さは「これが1DDか」と云う所にその真価があります。
昨今ではイタズラに多ドラに走りがちですが、B30の音を聞いて僕が何を言いたいのか分からないのならもう云う事はありません。
ですが、それてば不親切なのでハッキリと書きましょう。
良く出来た多ドラは1DDのような音がします。
これは非常に優れた、多ドラのチューニングがバッチリと決まっている極一部のマルチドライバ機で体験できることですが、ZS5でも一部の帯域で確かにそういうハーモニーのある音を体験できます。
ですがそれなら1DDで良いのでは?
僕はB30の音を聞いて確かにそう思ったものです。
2017年の僕のベストバイはこの2本とさせて頂きます。
もちろんアレです。
リファレンスは今のところ普遍ですのでATRや808、低音側のサウンドピーツのB10やVJJB V1など「リファレンスの必要性」は何ら揺るぎません。
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【レビュー】KZ ES3
総合評価〇
KZ の1DD+1BAの新作であるES3です。
半透明のプラスチック製ハウジングでZSTの後継機のようにもみえるデザインとなっています。
評価はかなり迷ったのですが○です。
ただし、中高音域の音の攻撃性がかなり高く、これだけ取るのならば△評価になります。
その他低音部分の出来が良いのと、KZの中ではかなり特異なクッキリハッキリとした音を持っているのでその可能性にかけて○評価としておきます。
そういう意味では1本所有しておきたいユニークなイヤホンだと思います。
【KZ ES3 スペック】
2pinリケーブル対応です。
【KZ ES3 音質】
非常に特徴的な音がします。
一言で言えば明瞭度が高く、ひとつひとつの音の透明度がかなり高いです。
ドライバーの構成的にZSTと同じなのですが、音質やバランスはZSTとは別物で、まったくの異種系統の音に仕上がっています。
この為、ZSTとの比較は適切ではなく、ES3は比較するものがないほどに透明感のある音がするのでその点では唯一無二のKZの新しい音の傾向だと言えます。
帯域バランスはかなり低域が強めのドンシャリタイプ。
この音の基本的な傾向からいっておそらくDDドライバーが立ち上がりの速いハイスピード系の軽い振動板を実装していると判断しました。
低域の階調表現能力はかなり高く低域側に関しては新たな「リファレンス」としても良いくらいの質の良さを持っています。
さして期待していなかったのでこれには驚いたことは事実で、まったくの予想外に質の良い低音でした。
しかしドライバーが限界を超えやすいところが見受けられ、ある一線を越えると重低音域はボケますが、これは致し方ない点でしょう。
この低域の質の良さだけでも購入して聞く価値はあると言えます。
音の粒立ちが良く極めて明晰な音のため、なんともクリアーであるが無味無臭ではないちょっとだけ派手な音質を持っているのがES3というイヤホンです。
ちなみにドライバーはクール系となっています。
ボーカルの質は並の出来です。
クリアー感が高いので錯覚しますが、やはり立ちすぎたエッジが悪影響を及ぼしています。
それでも非常に透明度の高いボーカルでZSTなどの雑味全開のボケ気味のボーカルからすれば非常に良く聞こえると思います。
欠点は以下となります。
■音量を高めに取ったときにドライバーが混濁しやすい
■重低音が不明瞭になりがち
■中高音域の攻撃性が高く非常に疲れる
以上のことから必要以上に音量を上げて聞くべきではなく、低音側の音の混濁を確認しながら少し音量を下げて楽しむべきです。
またES3最大の問題は中高音域の攻撃性で、これは相当に強いと言えるでしょう。
もともと音の明瞭度を上げていくとエッジが尖り出しますが、それがかなり強めに出てしまっています。
これにより長時間視聴がかなり苦しいイヤホンとなっています。
【KZ ES3 まとめ】
もともとZSTは音の雑味が多くこの点で大きく評価を下げざるを得ませんでしたが、いまからZSTを買うのならその選択は辞めておいてES3の方が面白い選択となります。
ES3の登場によりKZの1DD+1BA構成のイヤホンに関してはZSTを選択する理由がなくなりました。
ただし、中高音域のエッジは許される範囲を超えて尖るので、このES3に関してはハウジングの設計ミス、もしくはドライバーの選択ミスを疑うほどであるとは言っておきます。
この為、その音は短期集中決戦型のイヤホンであって、通勤通学などである程度の長時間聞くためのイヤホンではありません。
またZSTのエッジ表現に耐えられなかった方はES3は論外となります。
とにかくエッジの尖りがかなり強烈ですので・・・。
それでもKZイヤホンの中ではかなり特異な立ち位置を占め、この音の明瞭度の高さとクッキリハッキリとしたクールで透明度の高いハイスピード系のチューニングの音は一度は聞いておくベきかもしれません。
低音側の素晴らしい出来の良さと相まって、透明度の高い明瞭な音で集中的にリスニングしたい方向けのイヤホンに仕上がっています。
【ES3のリケーブルに関しての見解】
かなり攻撃性の高いエッジの尖った音なのでリケーブルによる高域側の調整を試みることは「有り」だと思います。
リケーブルの方向性としては「エッジを丸める」方向での調整一択となります。
変化の結果が好ましい方向に変わるとは言えませんが、もしそれが可能であるのなら、挑戦する価値があるでしょうが個人的にはあえてオススメはしません。
KZX4707 KZ ZST/ES3/ED12 イヤホン ケーブル 無酸素銅ケーブル 2pinリケーブル 0.75 4芯 Wooeasy (ブラウン for ZST)
- 出版社/メーカー: KZX4128
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リファレンスイヤホンとDAPについて 11/26日追記版
これまでのイヤホンやDAPの感想について、いったん落ち着いてきたのでこのあたりで再度まとめる意味でイメージを書いておきます。
【リファレンスイヤホンについて】
これはもう不動でKZ ATRとHLSX808を使うべきです。
リファレンスというのは毎日聞き続けるのもよろしいですし、普段は低音強めの屋外向けだったり、音に厚みがあったりするイヤホンを使いながらも、比較検討用にはどうしてもリファレンスとしてひとつは所有しておく必要があります。
どちらのイヤホンも基本的には音が地味でボーカルが少し遠くなりますが、帯域バランスとボーカルなどの質感、音のエッジなど、低音以外の部分はかなりレベルが高いものです。
ただし、低音に関してのリファレンスは別のイヤホンを使った方が結果的には好ましいと思われます。
現段階では中高音域と低音、どちらも素晴らしいというイヤホンはないので、単純に2つの帯域ではバランスと言うよりも「階調表現能力」という意味でリファレンスは分けて考えた方が好適です。
現時点で「低音のリファレンス」は以下の中華イヤホンをオススメしておきます。
■DZAT DR20
■VJJB V1
■サウンドピーツB10
上に行くほど低音強めになっています。
つまりDR20はかなり強いです。
それでもバランスレベルが強いからといって低音の表現力が向上するわけではないので、上記の3つのイヤホンの低音は優秀だと思います。
この中で1つと言えば、VJJB V1がバランス強めながもリファレンスとして使いやすい低音を出してきます。もうひとつとしてサウンドピーツのB10はちょっと異質ながらもかなりタイトでイヤホンではかつて聞いたことのない低音を聞かせてくれるのでひとつは持っておくと良いでしょう。
DR20は音場感はかなり優秀で独特な広がりがありますが、低音のブーストがかなり強めに入り、場合によっては中域にかぶり出すのでその点が難点だと最近は思います。
【リファレンスイヤホンまとめ】
やはりATRとHLSX808の中高音域の出来映えの良さは光ります。
帯域バランスも適正なので、全体的な判断にも使えますので、汎用性がとても高いイヤホンです。
しかし、対アンプのリファレンスとしてはHLSX808はBAドライバを実装しているので使わない方が良いでしょう。
アンプとの間に相性問題が発生するためです。
今のところ、イヤホン最大の問題は適正帯域バランスを保ちながら、低音の階調表現能力を高め上げた万能のイヤホンにまだ出合っていないことです。
これは課題としてはかなり難しいと思われますので、長い旅になるでしょう。
【リファレンスDAPについて】
低価格帯ではAgptekのM20をリファレンスと致します。
スポーツ用ではAgptekのR2かC05をリファレンスとします。
ミドルクラスはAgotek A01もしくはiPhone6S以降はすべて統一基準としてXまで使用できますので、そちらをお持ちの方はリファレンスとしてください。
ちなみにA01Tの音はエッジの出方と高周波ノイズが音に乗らないと云うことでiPhoneを凌ぎます。
ですのでiPhoneかA01で3万程度までのDAP比較ならリファレンスとして使用いたします。
3-5万以上の価格帯についてはONKYOのDP-X1をリファレンスとしています。
ちなみにDAC設定はすべてのDSPはOFFで、DACに関しては最も一般的なシャープフィルターにロックレンジはノーマルで使っていますので参考にしてください。
ただし、ロックレンジはDAP比較の場合は本来はワイドで使用するのが適切だと思います。
最後に書いておきますがDAPの音質テストにBAドライバは使用してはいけません。
相性問題が大きくDDドライバでないと安定して正確にテストできないためです。
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【レビュー】Agptek R2 スポーツ用軽量MP3プレイヤー
総合評価〇
Agptekの低価格で軽量なスポーツ用MP3プレイヤーです。
名品とゴミが混在するカオスなAgptekセレクト品のDAPとなります。
今回のR2は完全にスポーツ用を意識した作りとなっていて、背面クリップ付きの超軽量プレイヤーです。
スポーツ用というと幾つもラインナップがあるわけですが、音質はC05を除いてどれもいまいちどころかそれ以下の出来で、特に軽量なA02とA20に関しては「ほぼ音質はゴミ」という製品でした。
そんな現状でR2の立ち位置を探ってみました。
【Agptek R2 スペック】
■内蔵8GB
■音楽フォーマット MP3/WMA/WAV/APE/FLAC/OGG
■本体寸法:W6.6×H2.8×D1.5cm
■再生15時間
■FMラジオ
■ボイスレコーダー
■1.0 inch LCD スクリーン
■外部マイクロSD対応(32GBまでは確認)
LCDスクリーンが小さいのでマルチメディア系ではありません。
FMラジオの性能は屋外でなんとか地元局が聞ける程度の性能なので、期待はできません。
操作性はあまりよくありませんが、小さく軽いタイプで液晶も最小のモノを搭載しているのでこんなモノでしょう。
多少の慣れが必要ですが中華製としては至って普通です。
【Agptek R2 音質】
帯域バランスは問題ありません。
低域から高域まで普通に鳴らしてきますので、音質的にはスポーツ用としては合格点の出来映えで、その音はほぼスポーツ用として推奨しているC05と同格です。
妙な歪みや低音の減少などもないのでDAPとしての性能は意外に高いものです。
と云う訳なのでC05とこちらのR2でスポーツ用DAPとしては「推奨」を出させていただきます。
ちなみにM20あたりとの違いは「背景が一段ウルサい」というか「音がざわつく」と云うことになります。
ただし、屋外で使用する用途ではこの背景雑音程度では特に気にする必要もありませんので、ランニングやスポーツ用のDAPとしてのオススメは変わりません。
あくまでスポーツ用ですが、低価格品の中ではずば抜けた音質を持っていると評価できます。
【Agptek R2 まとめ】
背面クリップ付きなので持ち運びがとにかく楽です。
いままでクリップ付きでまともな音質のプレイヤーはありませんでしたので、R2の存在意義は大きいです。
ラジオ機能などが屋外では地元局がなんとか聴ける程度のチューナー性能なのでMP3プレイヤーとして使うしかありませんが、わずか19グラムなのでスポーツ用としての付加価値はC05を凌ぐかもしれません。
背面クリップ付きでとにかく軽くて音の良いDAPを探している方にとっては第一の候補としても良いでしょう。
少なくともR2とC05の音に満足がいかない場合は、M20もしくはA01を買うしかなくなるでしょうが、あちらは金属製で重いのでスポーツ用としては適しません。
そういった事を考慮するとあくまで「スポーツ用」というくくりの中ではトップクラスの音質を持った低価格プレイヤーだというのがR2に対する結論です。
特に最近はC05が手に入れられなくなっているようなので、そうなると現状では最高峰のスポーツ用低価格DAPとして欲しい方は早めに手に入れておく良いでしょう。
AGPtek R2 クリップ 8GB MP3プレーヤー 音楽再生/録音/FMラジオ機能 LCDスクリーン付き マイクロSDカード64GBに対応 (ブラック)
- 出版社/メーカー: AGPtek
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【レビュー】iPhone Xと8の音質について
DAPなので性能が拮抗していると非常にプラセボにやられやすいので慎重に時間をかけてiPhone XとiPhone6S/7との音質差をチェック致しました。
なぜこんなことをするのかと言えばiPhone Xに買い換えたので、今まで1-3万クラスのリファレンスとして使っていた事でこの音質が変わってしまうと面倒な事になるからです。
できれば歴代のリファレンスiPhoneと同じであってくれれば高音質で問題ないという判断もあります。
しかも愛用者も多いためiPhoneならばリファレンスとしては申し分のないDAPとなり得ます。
【iPhone Xの音質】
結論から申し上げれば、歴代の6S/7と音質差はありません。
よって6S以降のiPhoneならすべて同一の統一基準として使えます。
もしこれがiPhone Xの方が音が良く聞こえるのなら「単なる思い込み」なので十分に注意して下さい。
iPhone Xはリファレンスとして何ら問題なく使用することができます。
今までもあちこちで書いていますがもう一度iPhoneの特徴だけ箇条書きにしておきます。
■中高音域のエッジはかなり尖る
■通信系の回路からの高周波ノイズが音に乗る
■バックノイズの少なさは高級機に適わないがDAPとして十分に使えるもの
■低音の駆動力もそれなりにあるのでイヤホンであるのなら十分とは言えないがエントリークラスの比較対象としてはかなりしっかりとしている。
と云うことになります。
要するに最近ではおそらく少し小型の高級機の価格が下がっていることも有り3万程度までのDAPのリファレンスとしてはかなり高音質なモノであると判断しています。
これ以上のDAPを望むのなら設計の良い3万以上、確実なところなら5万以上のDAPが必要となると思います。
【iPhone8の音質について】
音を聞いていないのでなんとも言えませんが、iPhone Xで変わらないのなら8でも変わる理由がありませんのでまず間違いなくリファレンスとして使える音質を持っていると思っています。
なので6S以降のiPhoneの方は安心して音楽を聴いて他の比較用DAPのリファレンスとしていただきたい。
【iPhoneをリファレンスとする場合の注意点】
DAPのリファレンスとしてつかう場合の注意点ですが、とにかくアップル製品はエッジをハードに描くので、基本的にはもう少しマイルドに表現してくる方が問題が少なくなるはずです。
ですのでDDイヤホンを使用して他のDAPとの比較検討を行う場合は低音とエッジに関しては十分に注意して音を聞いてください。
iPhoneの描くエッジ表現はこれでは少しキツすぎるのです。
【小話】
実はiPhone Xの評価でプラセボ(思い込み)にやられました。
当初は音質が向上したと判断したのですが、数日聞き込んでいると極めてアヤシくなってきたので「簡易的なブラインドテスト」を行い、音質差はないと最終的に確定させました。
うーん。やはりプラセボは恐ろしい・・・
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【レビュー】VJJB N1
総合評価△
VJJBのN1です。
この2DDは音の評価がかなり難しいイヤホンのひとつなので僕としてはじっくりと時間をかけて聞き込みましたが、前作のV1の出来が良かったため特に期待していたイヤホンひとつです。
ちなみに聞き込みは付属のウレタンピースに変更して行っています。
付属のウレタンピースを使うと低域の階調表現は改善するのですが低域レベルが相当に強くなってしまうことに注意が必要です。
ですがシリコンピースでは音が安定しないので評価できないという事で聞き込みを行った結果、ウレタンピースで評価しています。
N1の評価に関しては「非常に難しい」と最初に云っておきます。
逃げを打つわけではありませんが装着に敏感で音がかなり変わってしまうためとシリコンピースでは音が不安定で基準が出せないためです。
なお、評価に関してですが限りなく〇に近い△評価です。
これはV1比較で低域の下側のブーストの問題と音の雑味で少し下げてあります。
ソースによっては問題なく〇評価です。
【VJJB N1スペック】
【VJJB N1音質】
音質はわずかに明るめです。
ドライバーはニュートラルに近いウォーム。
ボーカルの出来はごく普通で、トップクラスのイヤホンには質で及びません。
ただし、全体としてボーカルを聞く限りでは少し引っ込むことがあります。
中高音域のエッジは立ち気味に描き込みますがこれはV1よりも改善されているようでマイルドになっています。
V1のエッジがかなり鋭角に切れ込んでいたのでよりよい改良だと言えるでしょう。
帯域バランスは低域が強めとなっていて、特に重低音域はブーミーかつかなり強いのでソースによっては低域の曇りが無視できないレベルで発生します。
逆に言えば重低音が少ないソースでは低域が強めくらいでかなり聞かせてしまいますが、帯域バランスとしては問題のあるイヤホンです。
このN1の最大の問題は低域の下の帯域のブースト問題で音数が多くなってしまうことで、これにより解像度が高めに聞こえたり音に広がりが出るようですが、特定帯域の問題なのでむしろこれは正しくないと判断しました。
V1比で明瞭度もわずかに劣化しているようで、全体的に雑味が発生しています。
ちなみに低域のレベルはV1よりも更に強くなってしまっているのでおそらく低域からくる曇りの可能性が高いのかもしれませんが、低音の質は問題なくとも明瞭度の劣化などを考えるとどう評価してもV1の方が優秀だと言えます。
【VJJB N1まとめ】
VJJB V1と同じく装着に音がかなり影響を受けますので、イヤーピースを丁寧に合わせる必要があります。
これにより特に低音側の評価が一変してしまうので、ATRなどのリファレンスの帯域バランスを参考に低音が少なめになるような装着位置を探る必要がありますが、あくまで「シリコンピース」の場合です。
また装着位置を探っている最中にイヤホンが浮き気味になると中域が歪み出すのでVJJBのこのタイプのハウジングは装着位置の敏感さはなぜか相当に神経質なので注意が必要となります。
ですが、僕がテストする限りではこちらのN1でシリコンピースは使わない方が良いでしょう。
音が不安定になることで音質の評価がほぼ不可能になります。
装着で中域に雑味が出たり低音が曇ったりといろいろな症状が出てくるようです。
このおかげでN1に関してはだいぶ時間を使ってしまいました。
同ドライバによる2DDの音なのでハーモニーは非常に優れているのですが、低音側の下の領域の帯域バランスにかなり大きな問題があり、結論としてはV1には及びません。
帯域バランスや音のクリア感などをとっても前作のVJJB V1の方が優れていますので安値で転がっていれば考えても良いのですが、V1をお持ちの方はそれで十分でしょう。
バーンイン時間についてですがこちらのN1に関しては2-3時間程度は必要だと判断します。少し時間が長めなので注意して下さい。
VJJB N1 カナル型 イヤホン 高音質 HIFI 中華イヤホン MMCX 3.5MM 2ダイナミック(2DD)を搭載 Kinboofi (透明黒)
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【レビュー】Agptek A20
総合評価✖
前作のA02に続く、その後継とも言えるモデルナンバーを持つA20です。
中華DAPの中では低価格品を中心に日本に広めているAgptekの新作ですが、A02の方はどうにもならない音だったのでこちらにも期待はできませんでしたが、音を聞いてみるとやはりA02の系統の音で期待外れだったとしか申し上げようがありません。
【Agptek A20スペック】
■内蔵8GB(外部64GBマイクロSD対応)
■1.8インチ液晶搭載
■再生70時間
■対応フォーマットMP3(MP1,MP2,MP3),WMA,OGG,WAV,APE,FLAC,AAC-LC,ACELP(APE/Flac:8KHz-48KHz,1000Kbgs
■録音フォーマットMP3/WAV/AC
■FMラジオ搭載
多機能性はいつも通りなのですが、音質と操作性以外は未チェックです。
操作性は特に問題のないものでしたが、音量ボタンは独立ではなく、M20等の操作性と比較するとやはり一段落ちます。
M20がそのあたりは良すぎるので、中華としてはあくまで普通だと思われます。
筐体は滑り止め加工の施されたスポーツ向けの軽量なプラスチックハウジングです。
【Agptek A20音質】
低音の減少という致命的な問題がなければそれ以外はM20を一段落としたレベルという感覚です。
それでもどうしてこんなものを売るのか理解できないレベルで、間違えて買ってしまった方は窓から投げ捨てた方が早いでしょう。
そもそもA02とまったく同じ問題を抱えているのですが、帯域バランスがおかしいのであり得ないほど低音が少なくなり、これで音楽を聞き慣れてしまうと耳がおかしくなります。
背景雑音はこのクラスの価格帯によくありがちなもので回路設計はありきたりなレベル、逆に言えば低価格品としては「普通」かもしくはもう少し落ちるレベルではあるのですが、一昔前ならいざ知らずM20やらA01などの低価格リファレンスモデルの音を聞いてしまっている以上、今さら勧められるはずがありません。
評価できるのは中高音域がごく普通と言うくらいで、それ以外のあらゆる面でオススメできません。
【Agptek A20まとめ】
A02と同じくお話になりません。
間違えて買わないように注意しましょう。
そもそもDAPで帯域バランスがニュートラルを実現出来ない、というのはあり得ないことで、考慮にすら値しません。
バックノイズのレベルは価格帯として許容できる範囲だとはいえ、低音部が特にダメで、その音はA02を彷彿とさせることから、もしかするとA02と同じOEMメーカーの新作なのかもしれませんが、イマイチ以下の出来映えなのでスポーツタイプのDAPを探しているのなら同じAgptekのC05の方が何倍も良い製品です。
正に低価格DAPのもっとも危ないところを凝縮したような音なので注意してください。
少なくとも音で選ぶ製品ではありません。
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【コラム】BAドライバについて 神経質な音と使いこなし
別な記事で少しだけ触れましたが、検索で来てくれる人のことを考えるとキチンと1記事として独立させておかないとマズいな思ったので、まだ幾つか検証項目が残っているのですがBAドライバについていま感じていることを少しだけまとめておきます。
そもそもイヤホンのBAドライバについては端から疑問がありました。
特にこのドライバを使いこなす上でいわゆる多ドラ・複数のBAを実装する事に関してはかなり初期の段階で僕は疑問を呈してきています。
これはスピーカーの時の経験で6個や8個などのドライバーを多数実装したスピーカーでまともな音のするモノが無いこともあり、いまのスピーカーを見ても大型でも3WAYを基本としてせいぜいが4WAYです。
つまり基本は高域と中域それに低域の3つのドライバーで低音は更にバスレフ等で補完するのが基本となっています。
逆に言えば長い年月で洗練され続けたスピーカーという分野ではこれで十分と云う結論が出ているとも言えます。
この事から考えるとイヤホンという分野で多数のBAドライバーを実装する状況は正に異常で、他の何らかの理由、たとえば「価格を釣り上げて売りつける」などの事が考えられたりするわけです。
そもそもクロスオーバーで被る領域が必ず発生する事などを考えるとドライバー数には必ず「適正数」があるはずで、いまの多ドラはとても「音で決めた」とは云いがたいのではないかと感じています。
ちなみに幾つなら適正かはまだ分かりませんが、おそらく低域のDDを入れたとしても合計で3-4つくらいでたぶん限界なのではないかと推察しています。
それでもたぶん多すぎるのではないかと・・
ですが、ここ最近音を聞く限りでは本当にBAドライバーは必要か?
と云う疑問を感じていることも本当です。
僕の耳ではBAを使って多ドラにする最大の理由は「音の分離」だけであり、音そのものはBAがDDを上回っているようにはとても聞こえないのです。
ただしやはりBAをうまく使ったときの音の分離は明確に違いますが、それでも音のハーモニーをDD並に出すのは結構難しいのではないかと思ったりもします。
それに加えてBAドライバの本質的に持つピーキーな特性と相性が悪い機器との間に発生する「神経質な音」はちょっと目に余るものがあると思うのです。
ちなみにBAドライバはアンプとケーブルとの間に相性問題があり、これがある範囲を超えると明確に音に現れてしまうようで、これでは「音の基準」がどこにあるのかまったく分からなくなります。
こんな不安定なドライバーを使った上で音質も「たいした音は出ない」という事になればBAドライバーの存在意義は何か?と云うことを本質的に各自が自問自答しなければならないのではないかと最近は思うのです。
いまや自分の耳を信じて音が聞ける方は多ドラのマジックに騙されず、プラセボを廃して謙虚に音を聞かなければならないと僕は思うのです。
そういう意味ではBAドライバーの音に関しては少し疑問を持って聞き込んでみてもらいたい、のです。
今の僕ではまだ検証が足りずそれ以上の多くを語れませんが、使いこなしの難易度が高く音が劣化する要素は多い割に良くなる事はほとんどなく、どうにもこうにも最近のBAドライバーの音には疑問が有り、分離に関しては確かに効果的だがそれ以上の「何か」を感じさせてくれないのです。
分離だけが優秀で、音そのものは「この程度」のドライバーのためにより多くの得られるであろう収穫を失っている可能性があると僕は言っておきます。
と云うわけでまずダイナミックドライバー(DD)に対してBAドライバの音は本当に優れている、のかどうかをまず各自で見定めて欲しいと思うのです。
少なくとも僕にとっては優れたチューニングのDDと差異のない音を出しているときのBAは良いのですが、そこからズレて歪みの発生したBAの音はどうにも我慢のできない時があるのです。
これではDDよりも上だとはとてもいい難いのではないでしょうか?
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【次回予告】VJJB N1
次回予告です。
VJJB N1も行くことにしました。
KZ ES3も購入済みなので、到着後に順次レビューします。
しばらくお待ちくださいませ。
なお、ゼロオーディオただいま絶賛アンケート中です。
うーん、途中経過ですが・・・意外な結果でアンケートを取って良かったかなと思っています。
ウチの読者は結構冷静な方が多いのではないかなと言うのが嬉しいところです。
まぁプラセボ(思い込み)全開の人はこのブログを見てもしょうがないので、某タレントではありませんが「嫌なら見るな」と言えてしまうところが個人の書きたいことを書きたいように書けるブログのいいところかもしれません。
さてさてN1の音や如何に・・・という所で興味は尽きませんが、V1との比較などできれば良いなと思っています。
リケーブルの効果判定もほぼ確定できたのが最近の事情なのですが、BAドライバは本当に問題児です。
アンプやケーブルに影響を受けすぎるという事でちょっと疑問符を投げかけざるを得ません。
それでいてBAの高域は「息をのむほど美しい」というわけでもないので、特性がピーキーでありながらたいした音が出ないと云うことでBAドライバに関しては得るものよりも失うモノが多いと言う感想を持ちつつあります。
追記
VJJN N1のレビューが終わりました。 catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
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【コラム】音が良くなるオーディオアクセサリーの件について
これはだいぶ前の話しになります。
僕がスピーカを買い換えたときの話しとなりますが、自宅に数人のスタッフで新品の大型スピーカーを搬入しに来たのです。
その日は休日で、僕は朝からワクワクしてスピーカーの到着を待っていました。
お昼頃にスタッフが到着してなんとか自宅にスピーカを招き入れ、設置が終わったので僕はいつものヘンデル・メサイア(ジョン・エリオット・ガーディナー版)をかけて最初の音出しをしていたときのことです。
オーディオショップの年配のスタッフが突然バッグの中から赤い小箱を取りだして僕に見せました。
見たところ手の平サイズの金属製の赤い小箱で、上面にスイッチがひとつあり、穴が幾つも開いています。
「それはなんですか?」
僕が聞くとスタッフは頷きながらこう言いました。
「これは、空間浄化装置です」
「?」
「すみません、よく分からないのですが今なんと言いました?」
「空間浄化装置です」
「く、くうかん浄化装置 ? あのー、あのー、それは一体なんですか?」
「これはですねー、このスイッチを入れると空間を浄化してくれるんですよ、それにより音が良くなるわけです」
「はい?」
「信じられないのも無理はありません。ですが私はこの装置をもう既に何個も色々なお客様に売らせて頂いています。論より証拠です。今、この装置を作動させてもよろしいでしょうか?」
「いや、あの、うーん、まぁいいでしょう。そこまで言うのなら聞いてみましょう」
この時点で僕は既にもう頭がクラクラしていたのですが、あまりの熱意に押されてとりあえず音を聞いてみることにしました。
「私がハイと言ったらスイッチ入れます。凄いですよ」
「お願いします」
いつもの聞き慣れたメサイアで、初めてのスピーカーとはいえ音が激変するのなら分からないはずがありません。
スタッフは音楽が鳴っている最中に「ハイ」と大きなかけ声と共にスイッチをオンにしました。
当然ですが・・・音にはなんの変化もありません。
「まったく変わりませんけど・・・」
「いや、お客様、そんなはずはないんですよ。これを聞いたお客様はみな音が変わったと驚きます。もう一度やらせてください。まだ慣れていないのかもしれません」
「はぁ」
そのあと、その空間浄化装置のスイッチを何度も入れましたが音はまったく変わりません。
「いや、まったく何も変わりませんよ。もう結構ですよ」
と僕が言うとオーディオスタッフは肩を落として「おかしいなぁ」と言いながらバッグに浄化装置を詰め込んで帰って行きました。
そうそう書き忘れましたが、確か価格は39800円くらいだったと思います。
あんなアヤシいモノを買うオーディオマニアがいることにも驚いた一件でしたが、オーディオアクセサリーというのはたいていがこんなレベルだったりします。
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